「成城 学びの森」コミュニティー・カレッジ
講義内容
中学校で学んだ負の数。(-)×(-)=(+)と教えられて、納得できないまま計算した記憶はないだろうか。実は人間が負の数と出会い、(-)×(-)=(+)と結論するまでには、2000年あまりの大変な騒動があった。この講座では、負の数の歴史を紹介し、数学という学問の本質を伝えたい。
<参考書>
吉田洋一著『零の発見』岩波新書赤版 本体760円+税
各回テーマ
(1) 人間と負の数の出会い:古代中国の『九章算術』
(2) 中国とインドの数学に見るゼロの概念と負の数
(3) ヨーロッパに渡った「偽りの数」
(4) (マイナス)×(マイナス)を(マイナス)と考えた人々
(5) ダランベール・カント・スタンダールの負の数の考察
(6) 19世紀半ばの決着:(マイナス)×(マイナス)はどうしてプラスか
講師紹介
専攻:科学史・数学史
数学およびそれを積極的に使う自然科学の歴史が研究課題です。これらの学問は、当時の社会・経済から制約を受けて発達する一方で、人間の考え方に大きな影響を与えてきました。研究を通じて知りえた、数学・自然科学を多彩な側面を幅広い世代の方々に伝えています。