「成城 学びの森」コミュニティー・カレッジ
講義内容
柳田國男をして「日本人の可能性の極限」と言わしめた南方熊楠(1867-1941)の国際的且つ学際的な知的活動について、その輪郭を紹介したい。熊楠の事績は、多くの伝説に取り巻かれているが、最近20年ほどの間に旧南方邸資料の調査が進んだ結果、多くの新事実が明らかとなり、その人物像は面目を一新しつつある。
<参考書>中瀬喜陽監修『別冊太陽南方熊楠:森羅万象に挑んだ巨人』平凡社(2012年1月刊)2,520円(税込)
各回テーマ
(1) 伝説に包まれた巨人 — 南方熊楠像の変遷
(2) ロンドンの東洋語り — 『ネイチャー』投稿と「ロンドン抜書」
(3) 慶応三年生まれの明治人 — 熊楠とその時代の知的背景
(4) エコロジーと神社合祀反対運動 — 生物学と「日本のタブー・システム」
(5) 世界の中の日本民俗学(1)— 『ノーツ・アンド・クエリーズ』という舞台
(6) 世界の中の日本民俗学(2)— 柳田國男との遭遇・交錯・離別
講師紹介
専攻 : 比較文学比較文化(近代日本美術史・文化史)平成12年にイギリス留学から帰国後、南方熊楠旧邸(和歌山県田辺市)での熊楠蔵書・資料調査に参加し、『南方熊楠邸蔵書目録』『同 資料目録』を編纂。編訳著書『南方熊楠英文論考[ネイチャー]誌篇』『南方熊楠とアジア』『南方熊楠大事典』等。