成城大学

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グローカル研究センター

沿革

グローカル研究センターは2008年10月に開設されましたが、設立に至るまでには、成城大学民俗学研究所における数年間の準備期間がありました。

成城大学民俗学研究所では、柳田國男以来の民俗学の伝統を継承しつつも、民俗学や民族学、さらには隣接する人文社会諸科学を今日の変動する社会や文化に対応させて再構築ないし再編すべく、2004年以来、断続的にではありますが、数度にわたって公開シンポジウムを開催し将来構想を検討してきました。

2004年12月には、「『地域』をどうとらえるか—ローカル文化の継承と再創造」と題する公開シンポジウムを開催し、グローバル化が急激に進行する現代の社会・文化状況において、ローカル(地方ないし地域)文化をいかに継承し、創造的に再創造するかという問題に取り組みました(報告書として、『「地域」をどうとらえるか—ローカル文化の継承と再創造—』を2006年3月に刊行)。

2007年1月には、「戦後民族学/民俗学の理論的展開—ドイツと日本を視野に」と題し、第二次世界大戦以降の日独の民族学と民俗学の理論的回顧を行い、あわせて、今後の民族学・民俗学の研究の方向性を模索索する公開シンポジムを開催しました(報告書として、『戦後民族学/民俗学の理論的展開—ドイツと日本を視野に』を2008年2月に刊行)。

さらに、翌2008年2月には、公開シンポジウム・「歴史としての人類学・民族学・民俗学—フランスと日本の場合」を開催し、人類学・民族学と民俗学が日仏で担った歴史的役割の検討を行い、将来的な可能性を論じました(報告書として、『歴史としての人類学・民族学・民俗学—フランスと日本の場合』を2009年3月に刊行)。

以上のような3回にわたるシンポジウムでの議論を通して、今日の人類学や民族学、民俗学の理論や方法が、1990年代以降ますます顕著となってきている政治や経済、社会、文化のグローバル化という現実に十分には対応できていないということが明らかになりました。人類学や民族学、民俗学は確かにこれまで、グローバル化に対置され、対抗するものとしての「ローカル」(地方的)な現象や状況にはそれなりに注目してきました。しかしながら、「ローカルな視点」を強調するあまり、それがグローバルな現象、地球規模の全体の現象とどのように「接合」しているかということまでには研究調査が及んでおりませんでした。

そこで、民俗学研究所では、グローバル化とローカル化を同時に視野に入れた「グローカル化」(glocalization)という言葉・概念に注目しました。グローバル化やローカル化だけではない、グローカル化をキーワードとする「グローカル研究」を構想することこそが新たな研究の開拓につながるのではないかと考えた次第です。

ちょうどその頃、2008年の5月、文部科学省の新規事業として、「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」の募集がありました。そこで、私たちは、民俗学研究所を研究拠点とし、グローカル化をキーワードとする独創的な研究プロジェクト、「グローカル化時代に再編する日本の社会・文化に関する地域・領域横断的研究」を立案し、事業申請を行いました(通称「グローカル研究プロジェクト」)。その結果、幸いなことに、グローカル研究プロジェクトが、人文・社会科学分野では数少ない支援事業の一つとして採択されました。それを受け、成城大学では、2008年10月、成城大学民俗学研究所の下部研究組織として「グローカル研究センター」を新設し(同センター長には上杉富之学文芸部教授が就任)、センターを拠点として、グローカル研究プロジェクトを本格的に開始しました。

なお、文部科学省の事業支援を受けたグローカル研究プロジェクト(第1期)は2010年度末をもって終了しました。当センターでは、第1期事業をさらに発展させた形の新規事業として「社会的・文化的な複数性に基づく未来社会の構築に向けたグローカル研究拠点の形成」を申請し、2011年度から2015年度までの「研究拠点を形成する研究」として採択されました。引き続き、当センターの今後の活動にご期待下さい。

2004年12月18日 公開シンポジウム・「『地域』をどうとらえるか—ローカル文化の継承と再創造」主催
2007年1月13日 公開シンポジウム・「戦後民族学/民俗学の理論的展開—ドイツと日本を視野に」主催
2008年2月29日 公開シンポジウム・「歴史としての人類学・民族学・民俗学—フランスと日本の場合」主催
2008年9月 文部科学省「平成20年度度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」(研究拠点を形成する研究)に採択
2008年10月1日 成城大学民俗学研究所グローカル研究センター開設(初代センター長・上杉富之文芸学部教授)
2008年12月11日 文学研究科学術講演「Kakure kirishiatan(Hidden Christians)and Globalization」(Dr.Dorothea M.Filus)後援
2009年3月9日 公開シンポジウム・「グローカル研究の可能性—社会的・文化的対称性の回復に向けて」主催
2009年11月21日 記念講演「『文化遺産』の拡大解釈から統合的アプローチへ」(愛川‒フォール紀子元ユネスコ本部無形文化遺産部長)
2009年11月30日 駐日サウジアラビア大使就任記念講演「駐日サウジアラビア大使の就任にあたって -グローバル化時代のサウジアラビアと日本の懸け橋をめざして-」(アブドゥルアジーズ・トルキスターニ大使)共催
2010年5月15日 公開シンポジウム・「共振する世界の対象化に向けて-グローカル研究の理論と実践」主催
2011年4月1日 民俗学研究所より独立し、「成城大学グローカル研究センター」となる。
2011年5月 文部科学省「平成23年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」(研究拠点を形成する研究)に採択
2011年7月28日 民俗学研究所との共催により、「ブルガリアにおける日本文化:教育と受容」(ゲルガナ・R・ペトコヴァ博士、ソフィア大学日本研究学科主任助教授)開催