
NEWS
2026.06.26
キャリアデザイン科目(Seijo Career Program)「キャリア・プラクティスⅠ〈ホスピタリティ〉」1)では、2026年6月12日(金)に帝国ホテル東京(日比谷)にてフィールドスタディを実施しました。本科目では「ホスピタリティ」を、職業人・世界市民としてのおもてなし・歓待と広義に捉え、専門家・実践家より学び、自らも体現しながら、人としての在りようを追究していきます。今回の目的は、ホテルで活躍される先輩のキャリアや働きがい、帝国ホテルの歴史とコンセプトを体験的に学ぶことで、学生自らのキャリア構築とホスピタリティ実践に生かしていくことです。
当日は、株式会社帝国ホテル執行役員の加藤俊也様(本学卒業生、成城学園同窓会ホテル成城会会長、以下;加藤さん)の案内でウエディングチャペルに移動し、加藤さんの講演と、後半には学生たちが質問をしながら全員で対話の時間をつくりました。
フィールドスタディに参加して:学生のコメント(抜粋)
フィールドスタディの準備として讀賣新聞オンラインの記事2)を読んだ際には、帝国ホテルのコンセプトは何か、正直ピンときませんでした。旅行の経験が少ないせいかもしれませんが、どのホテルも大体一緒だと思っていました。しかし、帝国ホテルに伺う前にクラスメイトと近隣のホテルを巡ると、その違いが明確に分かりました。帝国ホテルは、外観は確かに主張が控えめでしたが、中に入ると他とは異なる高級感がありました。宮殿のような煌びやかさで床がふかふかでした。特に印象に残っているのは照明です。当然さまざまなところに照明があるのですが、シャンデリアなどの装飾がどれも違っていて、こだわりを感じました。お手洗いにも行きましたが、こちらも海外のお城の中みたいで、建物の雰囲気すべてが統一されていました。お手洗いに行った時にホテルのコンセプトが理解できました。クラスメイト全員でチャペルに移動し加藤さんのお話を伺いました。加藤さんが以前に飛行機のファーストクラスに乗った際、「帝国ホテルに泊まるお客様はこういうサービスを受けるのか」と考えたそうです。すべての経験をホテルでの仕事に役立てようという意識に驚きました。帝国ホテルの従業員皆様は帝国ホテルを愛しているという話が印象深いです。歴史を学ぶ研修が多くサービスのマニュアルはないとお聞きしました。それでも素晴らしい仕事ぶりが話題になるのは、やはりみなさん自身が、大好きな帝国ホテルにプライドを持って、それぞれが帝国ホテルの格を守る意識で働いていらっしゃるからこそだと思います。好きなことに関わることは大きなモチベーションになると思います。将来自分が好きなことを仕事にできるかわかりませんが、加藤さんが仰っていたように目の前の仕事に一生懸命取り組み、その仕事を好きになり、生き甲斐にしたいです。
私は地元が北海道なのですが、幼い頃に旅行で東京に来た際、帝国ホテルに泊まったことがあります。当時は旅行がすごく楽しみで、ホテルに行くわくわくした気持ちは今でも忘れずに覚えています。そんな思い出の場所に、今回は成城生として訪れて、キャリアについての貴重なお話を聞く機会をいただけたことに、とても深い縁を感じました。東京の大学に進学して、上京して本当に良かったと心から思えました。上京してから、色々な選択肢が増えてたくさんの経験ができていますが、時には自分に合わないことや上手くできないことがあり、つい自分を否定して落ち込んでしまう時もありました。でも、加藤さんの言葉を聞いて、失敗を恐れずに色々なことに挑戦していく中で、自分の長所を活かせて自分らしくいられるような仕事を見つけて生きたい、と前向きに思えるようになりました。
加藤さんのこれまでのキャリアをうかがい、外から見える華やかなイメージの裏側にある、現場での揺るぎない努力や心身の限界、トップとしてのプレッシャーなど、様々な苦難を乗り越えてこられた歩みに胸を打たれました。その果てに「アート」と出会い、優秀な人々を巻き込みカタチにするプロデューサーのような仕事に辿り着かれたお話は、非常に刺激的でした。ホテルにはサービスとビジネスの両面の世界があり、表舞台の接客だけが仕事ではない。これからのホテル業界を引っ張っていく人材は様々な経験をし、幅広い視点を持つことが共通して重要であるというお言葉には、まさに核心を突かれました。長年のキャリアを積まれた加藤さんの実体験から紡がれた言葉だからこそ、非常に重みがあり、私の今後の姿勢を正されるような深い学びとなりました。
私が強く感銘を受けたのは加藤さんご自身の姿勢でした。お話をされている間、常に背筋が真っすぐ伸びており、その姿勢が最後まで少しも崩れることがありませんでした。その堂々とした立ち居振る舞いからは、長年にわたり培われてきたプロフェッショナルとしての誇りや責任感が感じられ、大変印象的でした。実際にお話の内容だけでなく、そのお姿を拝見しているだけでも自然と私自身の背筋が伸びる思いがし、仕事に向き合う姿勢について改めて考えさせられました。
講師 加藤俊也氏より(株式会社帝国ホテル 執行役員 ホテル成城会会長 本学卒業生)
みなさん、このたびはフィールドスタディとして帝国ホテルにお越しいただき、ありがとうございました。提出いただいたレポートから、みなさんが私の話に真剣に耳を傾けてくださったことが伝わり、胸が熱くなる思いです。
みなさんにはこれから先、人生での重要な選択を迫られる場面が何度かあるでしょう。その時、自分の選択に自信が持てないこともあるかもしれませんが、恐れずに選んだ道を進み、そこで懸命に取り組んでみることをお勧めします。選択の成否は、選択そのものによって決まるのではなく、選んだ先でどのように向き合い、努力するかで決まります。成否は、その後の自分次第なのです。
そのためにも、学生時代は自らの可能性を限定せず、あらゆることに興味を持ち、多様な経験を重ねてください。そうして幅広い教養を身につける素地を養い、加えて多くの人びととの出会いを大切にすることは、この先どのような道に進もうとも、卒業後の人生やキャリアを豊かに支える財産になるはずです。
みなさんのこれからのご活躍を、心より応援しております。
帝国ホテルについて
帝国ホテルは1890年に日本の迎賓館として誕生しました。国内外の賓客を迎える役割を担いながら日本を代表するホテルとして発展を続け、130年以上にわたり、世界水準のホスピタリティと日本ならではのきめ細やかなおもてなしを追究し続けています。帝国ホテルは、日本で初めて本格的なブッフェ形式の食事「インペリアルバイキング」を導入したことでも知られています。そのほかにも日本で初めて、ホテルでのウエディングやディナーショーの開催、ショッピングアーケードの併設、サービス料の導入、パンケーキの提供、カレーライスに福神漬けとらっきょうを添える提供方法、さらには柿の種とピーナッツの組み合わせなど、日本のホテル文化や食文化に大きな影響を与えてきました。
こうした伝統を支えているのが、従業員一人ひとりの存在です。帝国ホテルには詳細な接客マニュアルが存在せず、「おもてなしの基盤—帝国ホテル十則」を拠り所として、従業員それぞれが目の前のお客様に最適なおもてなしを実践しています。「帝国ホテルが好き」「帝国ホテルで働くことに生きがいを感じる」と語る従業員も多く、長く勤務する従業員も多いのが特徴です。また、祖父、父、本人と世代を受け継ぎ働く従業員もいるといわれ、その愛着と誇りが受け継がれています3) 。
加藤さんは成城大学卒業後、新卒で帝国ホテルに入社しました。ベルマン、ハウスキーパー、レストラン厨房等での研修を経て、営業(国際セールス)をはじめ多様な現場を経験した後、管理部門へ異動。帝国ホテル大阪や帝国ホテル京都の立ちあげに続く現在は、「東洋の宝石」と称された帝国ホテル新本館建設プロジェクトを手がけています。フィールドスタディ当日は加藤さんに、執行役員としての現在、「ビジネスとホスピタリティの両輪」で歴史ある帝国ホテルをどのように発展させていくのか、その思いやキャリアについてうかがいました。
成城大学のキャリア教育 Seijo Career Program(SCP)
正課科目「キャリア・プラクティスⅠ〈ホスピタリティ〉4)
本科目では、授業15回の前半はゲストスピーカー3名よりそれぞれのホスピタリティ実践について学び、授業後半には、羽田空港と帝国ホテルへのフィールドスタディを実施、併行して学生たちはチームでホスピタリティの現場を自ら選定しアポイントをとり、各分野のスペシャリストにインタビューに参ります。インタビューのテーマは『ホスピタリティを仕事にしている人たちは何をモットーにキャリアを築いているのだろうか』。授業の終盤には、ゲストスピーカー・インタビュイーを招聘し、各々の「ホスピタリティ」の持論を語りあいます。
成城大学には、宿泊業界や航空業界で活躍する卒業生も多く、交流に恵まれています。また、キャンパスが世田谷区に位置し、帝国ホテル東京(日比谷)へは小田急線・千代田線直通を利用して約30分間で移動ができることから、通常の授業時間にこのような都内へのフィールドスタディが実現できています。
注)
1) 成城大学のキャリア教育 Seijo Career Program(SCP)
https://www.seijo.ac.jp/career/news/cvt4qu000000h94b.html
2026年度「キャリア・プラクティスⅠ〈ホスピタリティ〉」シラバス
https://lc.seijo.ac.jp/lcu-web/SC_06001B00_22/referenceDirect?subjectID=202900705711&formatCD=1
2) 読売新聞オンライン 帝国ホテルの挑戦
https://www.yomiuri.co.jp/column/henshu/20211206-OYT8T50043/
加藤俊也氏の帝国ホテル新本館建築への考えが述べられています。
3)帝国ホテル東京
https://www.imperialhotel.co.jp/tokyo
加藤さんの講演と社史『帝国ホテルの120年』(非売品)より一部引用
4)成城大学のキャリア教育 Seijo Career Program(SCP)
https://www.seijo.ac.jp/career/news/cvt4qu000000h94b.html
2026年度 羽田空港フィールドスタディの様子
https://www.seijo.ac.jp/career/news/cvt4qu0000019bx3.html
2025年度 羽田空港フィールドスタディの様子
https://www.seijo.ac.jp/career/news/cvt4qu000000ls9s.html
2025年度 活動報告会の様子
https://www.seijo.ac.jp/career/news/cvt4qu000000pku9.html
2024年度 活動報告会の様子
https://www.seijo.ac.jp/career/news/cvt4qu000000gdob.html
2023年度 活動報告会の様子
https://www.seijo.ac.jp/career/news/jtmo42000001dcit.html
2022年度 活動報告会の様子
https://www.seijo.ac.jp/career/news/jtmo420000017dhy.html
2023年度 滞在型キャリア教育プログラム『禅のおもてなし -寺泊を通した体験学習-』
https://www.seijo.ac.jp/career/news/cvt4qu0000004tca.html
文責・科目担当者 勝又あずさ(成城大学 キャリアセンター)