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2025.06.11
2025年5月30日(金)、キャリアデザイン科目「キャリア・プラクティスⅠ〈ホスピタリティ〉」1)では羽田空港にてフィールドスタディを実施しました。
本科目では「ホスピタリティ」を、職業人・世界市民としてのおもてなし・歓待と広義に捉え、専門家・実践家より学び、自らも体現しながら、人としての在りようを追究していきます。フィールドスタディの目的は、航空関係で活躍される諸先輩の現場での実践を通して、ビジネスの仕組み、仕事のながれ、チームワーク、個々のやりがいを体験的に学ぶことで、学生自らのライフ・キャリアの構築と今後のホスピタリティ実践に生かしていくことです。
この授業は金曜日第5時限に設置されているため、学生らは第4時限の授業を終え、キャンパスより羽田空港に出向き、第1旅客ターミナルビルに集合。講師柴﨑雄一氏(エールフランス航空 シニア アカウント マネージャ—、本学卒業生)のエスコートにより機内食の調製を行なう株式会社ティエフケー2)(TFK、敬称略:以下同)に空港循環バスで移動し機内食の調理、流通、管理といった一連の工程を見学しました。その後、羽田空港国際線第3旅客ターミナルに移動し、エールフランス航空3)のファーストクラス「ラ・プルミエール」チェックインカウンター前にて搭乗手続きのながれを見学し、客室乗務員3名とグランドスタッフ2名への質疑を行いました。
TFKにて酒井陽介氏と市川勇気氏による機内食工場見学オリエンテーション
TFKにて土岐祐介氏のトークセッション
エールフランス航空チェックインカウンターでの柴﨑雄一氏によるガイダンス
グランドスタッフみなさんへの質疑
客室乗務員みなさんとの集合写真
フィールドスタディに参加して:学生のコメント(抜粋)
今日は待ちに待った羽田空港へのフィールドスタディでした。このためにこの授業を履修したと言っても過言ではないくらい楽しみにしていました。自分は国内線の飛行機にしか乗ったことがなく、機内食も見たことがありませんでした。TFKでは、衛生や温度や環境に広く気を配っているところが一番心に残りました。床を見ても本当に綺麗でびっくりしました。また働かれている人の表情も、仕事にやりがいを感じているように見えました。外国人の方も自分たちを見たら手を振ってくださり心が温かくなりました。仕事への向き合い方から心に残るものがありました。
飛行機に乗るたびに毎回機内食を食べていましたが、TFKの方の話を聞き、機内食一つにたくさんの人が関わっていたんだと気づきました。特に印象に残っているのは、多国籍料理の機内食を決める際の話です。香辛料の量を多くしないと、現地の人に味が薄いと言われてしまうが、飛行機に乗っている人全員が自国の方ではないためそこの兼ね合いが難しいと考えたところ、シェフが現地の人の味に合わせようと提案した話を聞けました。私はこのことから、ホスピタリティとは万人受けを狙うだけではなく、誰に届けたいのかという視点を持ち、その人たちにとっての美味しさや快適をさ追求する姿勢だと感じました。今まで機内食を食べるときに完成までの工程などを考えたことがなかったので、これから機内食を食べるときはより一層美味しく感じると思います。
国際線で働くには、英語をはじめとした外国語の習得は不可欠であり、それは単に言葉を話すというだけでなく、文化や価値観の違いを理解し、柔軟に対応する力が求められるということです。「伝わらない」ことが不安になるのではなく、「伝えようとする姿勢」が相手の心を動かすのだという言葉には深く共感しました。今回の経験を通して、ホスピタリティとは「目に見えるもの」だけではなく、人の想いや努力、そして真摯な姿勢が積み重なった結果として生まれるものだと学びました。私自身も今後、人と関わるあらゆる場面において、この姿勢を大切にしていきたいと感じました。
空港内ではエールフランス航空のクルーの皆様にお会いする機会があり、実際に働いているキャビンアテンダントの方々の姿を見ることで、大きな感動を覚えました。「夢をあきらめないで頑張って」という言葉をかけていただき、改めて自分の夢を追い続ける勇気と覚悟を持つことができました。フランス語を第2外国語として選んだことにも自信が持てました。
国際線のターミナルでキャビンアテンダントさんやグランドスタッフの方に話を聞くことができました。姿勢や顔つき、話し方から何か違うものを感じました。あの姿勢の良さはどこからきているのか気になりました。見た目から良い印象を持たれるのは姿勢が大事だと気づきました。存在するだけでホスピタリティを目指すには姿勢から入ることが大事だと考えました。他にも柴﨑さんの流暢に外国の方と話しているのも見学することができました。シンプルすごくカッコよくて見惚れていました。色々な方が口を揃えて英語は話せた方がいいと言っていらしたので英語の勉強のやる気が出ました。
今回の羽田空港での見学を通して、特に心に残ったのは僕たちを案内してくださった柴﨑さんの行動です。僕たちを誘導しながらも、近くで困っている外国人のお客さんに気づいて自然に声をかけ、丁寧に道案内をしていました。空港という忙しい場所で、あれほどさりげなく気遣いができるのは、本当にすごいと感じました。また、その後のキャビンアテンダントさんへのインタビュー中も、僕たちが気づかないようなタイミングで周囲のお客様に対して自然な気配りをされていて、改めてプロのホスピタリティを実感しました。普段授業で教わっているホスピタリティという言葉が、こうしたリアルな場面で具体的な行動として見られたことで、自分自身の理解も深まった気がします。
講師 柴﨑雄一氏より(エールフランス航空/ KLM オランダ航空 日本地区旅客営業部 シニア アカウント マネージャ— 本学卒業生)4)
35年前に在籍していた大学の後輩達31名と日本の空の玄関口、羽田空港でエールフランス航空の表側・裏側を一緒に見学できたことが感慨深かったです。私のモットーは、チームワークを何より大事にして、お客様に安心して楽しく快適にご利用いただくことです。国際線での機内食ご提供は、特に美食の国フランスの会社のカラーを前面に出せる売りです。ホスピタリティあふれるスタッフの結束力・協力がお客様へ感動をもたらせると確信しています。
成城大学のキャリア教育 Seijo Career Program(SCP)
正課科目「キャリア・プラクティスⅠ〈ホスピタリティ〉5)
本科目では、フィールドスタディの他、授業15回の前半はゲストスピーカー3名よりそれぞれホスピタリティの実践について学び、授業後半は学生たちがチームでホスピタリティの現場を自ら選定しアポイントをとり、各分野のスペシャリストにインタビューに参ります。インタビューのテーマは『ホスピタリティを仕事にしている人たちは何をモットーにキャリアを築いているのだろうか』。授業の終盤には、ゲストスピーカー・インタビュイーを招聘し、各々の「ホスピタリティ」の持論を語りあいます。
成城大学には、航空業界で活躍する卒業生も多く卒業後の交流に恵まれ、また、キャンパスが世田谷区に位置し都内各所のアクセスも良好なため、授業時間中にこのようなフィールドスタディが実現しています。
2023年度と2024年度に「ホスピタリティとサービス」というテーマで学生みなさんの前でお話をさせていただき、その後にそのテーマについて話し合いの場を持ちました。みなさんは若い感性を持っていて素晴らしい、時には面白い。想像がつかないようなコメントもいただき、活気溢れる授業になりました。何より私自身の大きな学びになりました。
ホスピタリティはサービスとは違い、対価を求めない自発的な行為であると思いますが、例えば、相手の立場に立って気持ちに寄り添ってみる。寄り添い方もそれぞれ違う。是非みなさんの個性を発揮して欲しいです。そして沢山経験して失敗を重ねて、自分らしいホスピタリティを自然に持てたら、そして、お客様にその気持ちが届いて喜んでいただけたら素敵です。2025年度「キャリア・プラクティスⅠ〈ホスピタリティ〉」の演習に今からワクワクしています。肩の力を抜いて自分らしく楽しく取り組みましょう。
本科目では、ライフ・キャリア教育の中の、特に人格教育として、「ホスピタリティ」(おもてなし、思いやり、優しさ、歓待といった意味合い)について専門家・実践家より学び、自らも体現しながら、人としての在りようを追究していく(シラバスより抜粋・一部改編)。
このようなホスピタリティ教育は、教育理念を継承していくキャリア教育の一つと位置付け、2017年度よりキャリア教育に実装している。
注)
1) 2025年度「キャリア・プラクティスⅠ〈ホスピタリティ〉」シラバス
https://lc.seijo.ac.jp/lcu-web/SC_06001B00_22/referenceDirect?subjectID=202700695707&formatCD=1
2)株式会社ティー・エフ・ケー
https://satstfk.com/
3)エールフランス航空 / KLM オランダ航空
https://www.airfranceklm.com/fr/nos-engagements/people-culture
4)柴﨑雄一氏(エールフランス/ KLM オランダ航空 シニア アカウント マネージャ—)
世界でたった13人の「会社の顔」:ファーストクラスの顧客対応で身についた,洗練されたサービス提供 (AERA dot.の記事より)
https://dot.asahi.com/articles/-/5202?page=1
5)成城大学のキャリア教育 Seijo Career Program(SCP)
https://www.seijo.ac.jp/career/news/cvt4qu000000h94b.html
2024年度 活動報告会の様子
https://www.seijo.ac.jp/career/news/cvt4qu000000gdob.html
2023年度 活動報告会の様子
https://www.seijo.ac.jp/career/news/jtmo42000001dcit.html
2022年度 活動報告会の様子
https://www.seijo.ac.jp/career/news/jtmo420000017dhy.html
2023年度 滞在型キャリア教育プログラム『禅のおもてなし -寺泊を通した体験学習-』
https://www.seijo.ac.jp/career/news/cvt4qu0000004tca.html
文責・科目担当者 勝又あずさ(成城大学 キャリアセンター)