共通教育研究センター開設10周年記念事業

記念事業のねらい


日本の高等教育の変化は、この20年余りで国立大学の教養部解体、大学院重点化、独立行政法人化といった制度にかかわるものに見られました。同様に、高等教育の「現場」に集う学生にも変化は顕著に見られました。2000年代後半には、大学への進学率は55パーセントを超えたにもとどまらず、内実は、ゆとり教育を背景とした学生の学力低下など、これまでの教育では、立ちゆかなくなってきているのが現状と言えましょう。それゆえに、教育の質保証が大学に求められ、日本の高等教育の歴史のなかでは、これまでにないほどの教育改革が多くの大学において、推進されつつあるのは周知の通りです。
 こうした状況のなか、成城大学共通教育研究センターでは成城大学の母体である成城学園が創立した大正時代の自由教育や成城大学の特色の一つであるリベラルアーツを重視した教育の伝統を2007年の開設以来、強く意識して、初年次教育、教養教育、I C T、スポーツ・ウエルネスに関わるカリキュラム開発、管轄、運営を行ってきました。成城大学の自由な学風のなかで学生たちは、幅広く教養を身につけ、卒業後は個性豊かな市民として社会で活躍しております。
 このような伝統は、たとえば初年次教育では「問うことの重要性を前面に押し出した」科目設計を施した科目(WRD)の設置、教養教育では学生が日々の生活を営んでいる「現代・日本(イマ-ココ)から俯瞰する教養を幅広く身につける」ことを目的としてデザインされた系列科目と成城大学独自の内容で構成された成城学の設置、スポーツ・ウエルネス科目では、それまでの体育実技科目からスポーツ・スタディーズ、ウエルネス・スタディーズ、身体表現・スタディーズといった今日的な内容への再編、と活かされております。しかしながら、現状に甘んじることなく、よりよい教育を学生に提供していくことが共通教育研究センターには求められております。
 共通教育研究センターでは、開設10周年を契機として、次の10年に向けて、「表面的な教育改革にとどまってしまうことなく、各学問領域に蓄積された豊富な専門知を今日的な教育に活かすことで、教育の質保証を高める」ことが重要な課題であり、さらに「共通教育に関連する教育実践も含めた研究を進め、その成果を広く学内外に発信していく」ことが必須だと考えます。
 今回、これらの課題を高次元で達成する一助として、一連の記念事業を企画しました。ぜひとも会場に足をお運びいただき、議論の輪に加わっていただきたいと思います。また、これらの成果報告の刊行物を発信することによって、クリティカルな議論を展開していただく機会を提供したいと思います。

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