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2026.10.23
2026年10月7日(水)、成城大学において、学生サポーター主催のクレプトマニア勉強会を開催しました。クレプトマニア(病的窃盗、窃盗症)とは、物を盗みたいという衝動や欲求を制御することが困難な状態になる精神疾患を指します(大石クリニック)。
当日は、『わたしは盗らないクレプトマニア』(2026)の著者である高橋悠氏を講師としてお招きし、ご自身のご経験等に基づき、発症に至るまでの複雑な背景や回復に向けた道のりなどについてお話いただきました。当事者だからこそ伝えられる言葉の重みを通じ、窃盗症への理解を深めるとともに、当事者の方々が抱える悩みや課題、回復に向けて治療に取り組むことの重要性、その歩みを支える周囲の理解・サポートの大切さ、司法の場における課題などについて学ぶ大変貴重な機会となりました。また、社会全体で理解を深め、関係者が連携・協働して当事者を支える体制を構築することの重要性についても認識を深めました。
以下、参加した学生サポーターの感想を紹介します。
法学部2年
「依存症には回復責任がある」という言葉がとても印象に残りました。病気であることを言い訳にするのではなく、自ら回復のためにできることに取り組む姿勢が大切なのだと分かりました。また、実際に当事者の方のお話を聞き、自分にはまだ考えが及んでいない点が多くあることを実感しました。例えば、クレプトマニアの方が回復を目指す上で、実際に回復した人の事例を知る機会が少ないというお話が印象に残りました。回復した人は社会に戻っていくため、現在クレプトマニアを患っている人にとっては、回復した人と関わる機会が少なく、本当に回復できるのか分からないという問題があるのだと知りました。確かに、回復できるかどうか分からなければ、回復に向けて努力することに不安を感じるのも無理はないと思いました。勉強会を通して、依存症からの回復には本人の努力だけでなく、回復の見通しを持てる環境や周囲の理解も重要なのだと感じました。実際に経験した方のお話を聞かなければ気づけなかったことも多く、今回の貴重な機会を通して、依存症についてより深く考えることができました。
法学部1年
お話を聞かせていただくまでは、窃盗症は、他人事だと考えていました。自分や身近な人が、そのような病気になることは、絶対にないとも考えていました。しかし、窃盗症の原因を詳しく知るうちに、誰にでも当てはまり得ることなのだと気づかされました。他方で、仮に、身近な人から窃盗症の相談をされた場合、私は、怒りの言葉をぶつけてしまいそうだとも思いました。しかし、そのような相談をすることは、本人にとっては、勇気を出して、たくさん悩んだ結果だと知り、「よく話してくれたね」という言葉をかけることが重要だと知りました。法学部生として、司法にできることは何か、課題点は何かについて、引き続き考えていきたいと思います。
法学部1年
私はこれまで、クレプトマニア(窃盗症)をどこか遠い存在の話だと捉えていました。しかし今回の勉強会を通じて、これは誰もが当事者になり得る身近な問題であり、社会全体がもっと関心を持つべき事柄なのだと強く実感しました。高橋さんは本来、非常に真面目な方です。しかし「自身の理想」と「社会から求められる役割」との乖離から生じる承認欲求を抱え、それを仕事を通じて満たそうとされていました。だからこそ、仕事という人生の大きな柱を失った際の喪失感は計り知れず、それがクレプトマニアという形で行き場を失ってしまった背景を学びました。この事例は、日本社会全体の構造的な課題を浮き彫りにしていると感じます。本来、人間は生まれながらに価値があり、自分を認められる心を軸に生きることが重要です。しかし現代の日本では、学歴や収入といった目に見える要素で人を測る「比較意識」がいまだ根強く残っています。こうした見えない比較が多くの人に劣等感を植え付け、社会の閉塞感を生んでいるのではないでしょうか。このような比較社会を克服するためには、まず自分自身を愛し、そして他者を愛することのできる教育や土壌が必要です。クレプトマニアの本質を考えることは、私たちがどのような社会や教育を目指すべきかを問い直すことにつながるのだと深く思わされました。
社会イノベーション学部
私は、そもそもクレプトマニアというもの自体を知らなかったため、クレプトマニアになってしまうまでの流れや、他の依存症とは異なる点などを知ることができとても興味深かったです。しかしながら、司法の場において、クレプトマニアをどのように扱うのかについてはまだ難しいところが多いのだなと感じました。高橋様もおっしゃっていたように、本当はクレプトマニアではないのに、刑罰を少しでも軽くするために、クレプトマニアだと偽る人がいた場合、クレプトマニアの判断基準は第三者ではなくあくまでもその人自身でしかわからないもののために、そこの境目をつくるのは非常に難しいと感じました。
参考
大石クリニック「クレプトマニア(病的窃盗)とは」
成城大学治療的司法研究センター提供
「 DAIGO先生と学ぶ クレプトマニア入門」 高橋悠氏・前編
成城大学治療的司法研究センター提供
DAIGO先生と学ぶ クレプトマニア入門 高橋悠氏・後編