社会イノベーション学部の目指すものは何ですか。
社会系、人文・教養系、情報系などさまざまな学部の創設の可能性について検討してきました。その際に最も重視したことは、これからの21世紀の日本社会にとって必要不可欠な学問分野とは何かということでした。 戦後の日本社会は欧米先進国を目標としてキャッチアップを目指し、その結果、多くの分野で世界的に見ても最先端をゆく社会に発展してきました。もはや欧米先進国を「お手本とする」のではなく、自らが「手本を示す」状況になっています。このように21世紀の日本が向かう方向は、一人ひとりが創造性を発揮することにより独創的な知識を生み出し、それを広く世界に発信することにより、国際社会をリードしていく存在になるということにあると思います。 以上のような認識から、成城大学では一人ひとりの創造性の発揮の結果としてのイノベーションを教育の中核領域とする社会イノベーション学部を構想しました。社会イノベーション学部は2学科で構成され、イノベーションをその「推進」と「普及」という2つの局面からとらえます。政策イノベーション学科では、イノベーションがどのように生み出されるのかを、国や企業のレベルで政策・戦略の問題として取り上げます。心理社会学科では、成果としてのイノベーションが個人の心理や行動を通じてどのように社会に普及していくのか、またその結果、社会や文化のあり方にどのような影響を与えるのかを考察します。
社会イノベーション学部には独自のカリキュラムがありますか。
学部独自のカリキュラム上の大きな特色として、①コース制、②問題志向型教育、③使える英語教育、の3点が挙げられます。 社会イノベーション学部では、イノベーションについて「国の政策」「企業の戦略」「心理と行動」「社会と文化」の4つの視点から考える教育を行います。そこで、この4つの視点に準じて「政策コース」「戦略コース」「心理コース」「社会コース」の4つのコースが設定され、各コースとも一定単位数以上を履修合格することにより卒業時にコース修了認定がなされます。各学科ともこの4コースから自分のやりたいコースを自由に、しかも複数選択することができます。 問題志向型教育という点では、3、4年生でのゼミナールと卒業研究があげられます。4年間の勉学の最終成果が卒業研究です。自ら問題を発見し、その解決策をゼミナール教員の指導の下に研究します。また2年次からも、この問題志向型教育を行うためのベースとなる各種調査技法(社会調査法、心理実験法、市場調査法など)についての講義も開講されています。 社会イノベーション学部での必修外国語は英語だけですが、その内容は大変濃いものとなっています。1、2年次におけるネイティブ・スピーカーによる少人数での授業、3年次におけるテーマ別に授業のすべてを英語で行う英語セミナー、1〜3年次まで毎年義務づけられるTOEIC受検等、「聞く、話す、読む、書く」の4つの英語スキルをバランスよく身につけることを目的とした「使える英語」教育を実施しています。
社会の先端的研究にふれたり、インターンシップを体験すると聞きましたが、具体的にどのようなことをするのですか。
政策・戦略系科目として「政策イノベーション特殊講義」、心理・社会系科目として「心理社会学特殊講義」という科目を置いていますが、この2科目とも大学の研究者だけではなく、政府機関や公的研究機関、企業、非営利団体などの第一線で活躍している役人、研究者、経営者、実務専門家の方々を講師に招き、最先端の事柄について講義していただきます。 職場での就業体験を通じて、よりよいキャリア形成を目指しての意欲向上を図ろうとするのがインターシップです。主に夏休みを利用して1、2週間、企業や団体に赴き、実際の業務を体験します。その内容はインターンシップ先によって異なります。パソコンによる資料作成、顧客向けのセミナー運営、ホテルでの接客、新聞社での編集・企画など、業種によりさまざまです。 インターンシップについてはOCA(Off-Campus Activity)という科目を設置しており、事前講義、実習、事後報告会により単位認定を行います。
ゼミをするにあたり、先生方が工夫していること、 または徹底していることは何ですか。
問題志向型教育が基本ですから、ゼミナールにおいても机上の議論だけで終わらずに、実地の現場感覚を重視しています。ゼミナールのテーマによっては、市場調査や社会調査、企業のインタビュー調査などを実施したり、他大学や外部の機関と共同研究を行うなど、現場感覚を養うことに努めています。
社会イノベーション学部ではどのような国際交流を考えていますか。
現段階では学部独自のものはありませんが、成城大学として実施している海外大学との国際交流(交換留学制度)に参加することができます。
国連など国際関係の職業を目指すことができる聞きましたが、社会イノベーション学部ではこれからどのような国際貢献を行っていくつもりですか。
社会イノベーション学部では、政策の観点からイノベーションについて勉強しますので、一つの方向として、技術移転の問題が取り上げられると考えています。発展途上国の現状を考慮した技術のあり方、環境にやさしい製品の開発、人間に安全な製品の開発、などもテーマになります。 また国際的な活動を行うためには、その地域ごとの文化、慣習、風土なども十分に理解しなければ実効ある行動は取れませんので、まずは国際交流を活発化させて相互理解を深める努力をしていきたいと考えています。 国際的な視野を持ち、道具としての英語(外国語)を身につけた人材、すなわち、国際貢献できるような能力を持った優秀な人材の育成が、現在のところ社会イノベーション学部の国際貢献と考えています。
AO入試はありますか。
あります。社会イノベーション学部のAO入試は、書類審査、英語についての基礎学力審査、課題図書を用いた論述審査、面接審査により合否を判定する入試制度です。詳しい資料は入試広報部へ請求して下さい。
社会イノベーション学部に入学するには、どのような知識を身につけ、 備えたらよいでしょうか。
入学前に何か特別な知識が必要であるということではありません。必要なのは知識よりもむしろ「取り組み姿勢」であると思います。イノベーションを通じて21世紀の新しい社会について考えるという学部ですから、当然、社会のあり方について「興味」を持っていることが必要です。 社会イノベーション学部では、学生諸君が自分で問題を見つけ、先生方の指導の下、自分なりの解答を創り出すことを学部教育の最終目標にしています。ですから、何にでも興味を持ち、ものごとを観察する眼を持つことがまず必要になってきます。日々の生活の中でどんな些細なことについても疑問を持ち、しつこくその理由を考える、そんな「取り組み姿勢」が最も重要なのではないかと考えます。
この学部を卒業する学生はどのような職業に適していると思いますか。
社会イノベーション学部では、やりたいことを自分で探し、企画し、実行するプロデューサー的な人材を養成したいと考えています。 公務員でも、銀行員でも、営業マンでも、製品企画担当者でも、はたまたベンチャービジネスの経営者でも、何か新しいことを自分の頭で考え、それを企画にまとめ上げ、最終的に人をリードして実行していく人材。そういう人材を養成することが社会イノベーション学部の目的なのです。 パンフレットなどにはキャリアプランを載せていますが、それは考えられる例の一部であり、強いて言えば、あらゆる分野のプロデューサーということになるのかもしれません。
国際社会進出を目指す高校生へ何らかのアドバイスをお願いします。
世界に出ると自分が何者であるかということを強く意識させられます。いわゆるアイデンティティの問題です。世界ではアイデンティティの確立されていない人間は相手にされません。「自分は何者か」、「日本人とは何か」ということをじっくり考えてみてください。海外で日本人があまり尊敬されないのは、生き方に自分の思想なり哲学がないからだとよく言われます。大学4年間で解答が見つかるわけではないですが、それを集中的に考えるにはいい時間ですので、客観的な視点から厳しく自分を見つめ直してみてください。好奇心を持って自分で考える。人の言うことを鵜呑みにしない。自分の意見を持つということが大切です。
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