成城大学

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  • 2026.09.14

    第35回経営学合同ゼミナール~成城大学・境ゼミナールが優秀賞を受賞~

 8月29日~31日[大会は8月30日(10:00~17:30)],第35回経営学合同ゼミナール研究発表大会が,京都市中京区の宿泊場・こうろを会場として京都女子大学・江 向華 先生,関西大学・中尾 悠利子 先生ならびにゼミ学生の主宰・運営で行われました。今回は台風の直撃もなく,スムーズに合宿形式で行われました。

 経営学合同ゼミナールは,1990年に開始され,学生が企画運営する合宿&研究発表の形式で行われ,教員&学生(学部生,大学院生)が大学の枠を超えて学び,相互に交流を図ることを目的としています。今年の参加校は以下の11大学で11の研究発表(1ゼミ1発表),130名を超える参加者となりました。
<参加校>
 大分大学 松谷 葉子ゼミ,金沢大学 張 婧ゼミ,関西大学 中尾 悠利子ゼミ,京都女子大学 江 向華ゼミ,甲南大学 奥野 明子ゼミ,静岡大学 大塚 祐一ゼミ,實踐大學(台湾) 羅 瓊娟ゼミ,就実大学 小柳 智裕ゼミ,成城大学 境 新一ゼミ,法政大学 宇野 斉ゼミ,麗澤大学 寺本 佳苗ゼミ(※50 音順)
 特に今回は,主宰より招待を受けて,台湾の實踐大學から羅 瓊娟 先生,宋 玫怡 先生ならびにゼミ生が初参加されて一部英語で研究発表が行われ,グローバルな大会となりました。
 また,研究発表終了後には,元京都府副知事・京都府参与 山下 晃正 先生による特別講演「京都の歴史文化と経営哲学」も開催され,非常に興味深いお話しがうかがえました。

 今年度の共通テーマは「未来社会における企業の価値創造と持続的成長」です。近年,「超スマート社会(Society 5.0)」やポストSDGsなど,社会のあり方は大きく変化しています。こうした中で,企業だけでなく地域や組織においても,新しい価値の生み出し方や持続的に成長するための工夫が求められています。本大会では,企業戦略・会計・組織・マーケティングなど,各専門分野の視点から,各ゼミが関心のあるテーマを自由に設定し,課題研究を行います。「どのような組織を対象とするか」「何を課題とするか」も含めて各ゼミに委ねられています。発表と議論を通じて,多様な視点を共有し,理解を深めることを目的とします。そして実際に,今年度の各研究発表を通じて現代社会や企業,地域等が抱える様々な問題に対する知識と問題意識の共有を図り,熱心な議論が展開されました。

 合同ゼミの進行は発表15分,質疑応答5分で構成され,各発表に対して,学生による質疑・評価ならびに各先生からの講評がなされました。また,ゲストとして経営学合同ゼミの創始者,日置 弘一郎 先生(京都大学名誉教授),澤野 雅彦 先生(元北海学園大学教授),廣山 謙介 先生(甲南大学名誉教授)による講評も行われました。
 境ゼミの研究テーマは「未来社会における病院の価値創造と持続的成長:3つの病院経営に対するフィールドワーク&インタビューによる比較を通した検証」です。

 当ゼミでは今回の研究にあたり,問題意識の発端になったのは,2026年5・6月,NHKテレビ番組(4本)を視聴し,ゼミ生がコロナ禍,天変地異に直面した医師が「患者の命を守る」「他人の命と幸せのために働く」という究極の役割を担い,強い気持ちで現場に立ち向かっている姿を見て,過酷な医療現場を認識したことがきっかけです。また,丁度放映中だったNHK・連続テレビ小説『風,薫る』が, 明治期日本初の正規訓練看護師「トレインドナース」 として実在した大関和・鈴木雅の2人をとりあげ,彼らが貢献できる場のひとつが病院であったことです。研究調査の問題意識は2点,(1)病院が提供する価値とは何か (2)病院が持続的成長を支える条件は何か です。
 分析対象,分析枠組みについては,公開情報・フィールドワーク・インタビュー(事前質問を含む)から対象病院を分析し,価値創造と持続的成長の可能性を検証しました。公開情報・フィールドワーク・インタビュー(事前質問を含む)から対象病院を分析し,価値創造と持続的成長の可能性を検証しました。
 今回対象となる3つの異なるタイプの病院,杏林大学医学部付属病院,長野県飯綱町立飯綱病院,在宅総合ケアセンター成城が選定された理由は,ゼミ教員とのつながり,ゼミの継続的なフィールドワーク先,大学近隣の立地などです。特に在宅総合ケアセンター成城は当ゼミが「砧地域 ご近所フォーラム」実行委員会と関わることも関係しています。
 本研究の結論は,病院を中心として各地域に応じた価値創造と持続的成長の3つのモデルが導かれるということです。杏林大学医学部付属病院は,1,000床を超える大学病院であり,医療技術・教育・研究のイノベーションを生み出す拠点です。住民・行政・教育研究機関と結ぶ,都市型地域ケア・知識ネットワークと名付けました。飯綱病院が立地する長野県飯綱町は,人口1万人ほどの中山間地域です。農業と自然環境,衣食住の資源に恵まれ,医療と自然を起点に住民の暮らしを支える,農村型生活基盤ネットワークです。在宅総合ケアセンター成城は,急性期の治療を終えた患者の機能回復を担う施設です。住民自治・文化・教育機関・地域経済と結ぶ,成熟住民都市型ネットワークと名付けました。
 次に,研究の展望です。病院と地域主体が相互に連携することで,「治す医療」から「生活を支える医療」への転換が実現し,高齢化・人口減少社会でも持続可能な提供体制を構築できる可能性があります。その鍵が医療DXと医療AXです。AXとは,AIトランスフォーメーションのことで,人工知能を使う高度化のことです。患者の医療情報を蓄積・共有するDXを超えて,病院が他主体と連携し地域の健康課題を予測するAXへ進むことが,価値創造と持続的成長を高める要件となります。
 最後に,未来社会の医療支えるのは,DX・AXをすすめる主要技術で,電子カルテ,生成AI,医療画像AI,検体搬送,手術ロボット,ウェアラブル端末などが相当します。タイプの異なる3病院はいずれも地域の各主体と連携して医療を行い,地域医療と生活データのネットワーク=「病院を核とする地域共創ネットワーク」を形成することによって,人の命と健康を守り幸せを育む,すなわち価値創造の質を高め持続的成長を促進する。これが本研究の結論です。
 最後に審査結果が発表され,SNSによる投票の結果,成城大学・境ゼミは優秀賞に輝きました。19回目の参加となり,2年ぶりに受賞しています。なお最優秀賞は地元の京都女子大学・江ゼミ,3位は大分大学・松谷ゼミ,教員特別賞は台湾の實踐大學・羅ゼミでした。
 境ゼミでは先輩(上級生および卒業生)からの成果を継承しつつ,6月から準備を開始しました。ただし,新ゼミ制度にて最初の専門ゼミ3年生によるチームで臨みました。昨年課題の多かった研究発表の反省をふまえ,チームワークと集中力を発揮し,研究の総括・提案に至りました。今後の教育,研究,就活に大いに役立つものと思われます。