NEWS
2023.08.23
成城大学では、小田急電鉄株式会社様(以下;小田急、敬称略)との連携・協力協定によるキャリア教育科目を開講しています。
対象となる「キャリア形成Ⅳ〈チームワーク・協働〉」(正課科目 全学部・全学年対象 前期開講1))は、学生が「協働」(co-production)を通して社会を理解し、卒業後も視野に入れたキャリアデザインを行うことを目的に、2018年度より継続的に開講しています。
2023年度は小田急の有識者を招聘し、学生はESG経営2)と「WOOMS」3)について学び、授業の前半・後半2つのテーマをもとにチームを編成し活動を行いました。前半のテーマは『小田急電鉄とどのような協働をしたいか』(経営戦略部より提示)。後半のテーマは『どうしたら、成城学園の中のゴミをなくせるか』(デジタル事業創造部より提示)。学生は、学内外のフィールドに足を運び、積極的にヒアリング、アンケート、文献調査、企画書提出・交渉等を行い、小田急や成城学園と協働してできることを考えました。
後半のテーマの活動成果発表会は、7月14日(金)に学内グローバルラウンジにて開催しました。発表内容の例として、コンポストの設置と幼稚園児との協働、学園内ウォーターサーバーの導入、教科書のリユース、学生食堂での成城Payの開発、パン販売にバイオパック(海藻からできた包装紙)の使用提案などが挙がりました。
成果発表会には、小田急電鉄の有識者と、学長をはじめ学内教職員、合計9名が来場し、各発表ブースを巡回いただき、問題意識と課題解決について語りあいました。
また、当日は高校生対象キャンパスツアーが催され、来学した高校生にも発表の様子を見学してもらいました。
一連の活動を通して学生は、マイボトル、マイ箸、エコバックの持参、ごみの分別等の習慣化、一方、教員もDX化による教材や出席表のペーパーレスを徹底するなど、サステナビリティがこのクラス全員の日常になりました。
昨今、サステナブルな企業が、商品の購買先としても、就職先としても、投資先としても評価され、また、その担い手となるサステナブル人材が必要とされています(村上2021) 4)。企業ではSDGs5)を達成するためのESG経営6)が推進され、また、人々も単に利益のためだけでなく、自らの貢献が社会にどのようにインパクトを与えるか考えながら仕事をする時代となりました。本科目では小田急に協力をいただき、このようなESD7)・グリーンガイダンス8)を実現しました9)。
学生のコメント1
この科目では、高校まででは体験ができない実践的なプロジェクト活動を行い、正直面倒だと思うこともあった。授業時間外の活動があり、チームで行動するため難しい場面もあった。でも社会にでたらこれが日常茶飯事だと思う。集団の中で自分の役割を見つけて、様々な組織と協働していくのが私たちの未来だと思う。その練習ができたし、仲間とつくりあげた分、達成感も大きい。この科目を通して自分に何が出来るのかを見つけられた気がした。
学生のコメント2
実際に社会で活躍する小田急の皆様に、発表を生で聞いてもらい、フィードバックをもらうことで、次に活かす意識を持てました。そして、学長もおっしゃられていたように発表に対する振り返りの大切さをすごく感じました。この授業の最大の醍醐味である「発表」の後に、チーム内はもちろん別のチームの人とも話し合うことで、より深い振り返りができたと思います。一年生の前期でこの経験ができたので、次のゼミ活動や幅広い活動で、この成果をアウトプットしていきたいと思います。
学生のコメント3
1回目、発表は確かにみんなで作り上げたものだった。しかし、「協働」に囚われ、考えたことを作業してもらう形になってしまった。2回目の発表ではチームの「個人」を大切にした。自分たちは何をしたいのか、何を明らかにしたいのか。どこをよくしたいのか。みんなが発言しやすく、活動しやすい環境を整えることに自分は徹した。自分が意見を発すると言うよりかは、場をファシリテートする感じでチーム活動を行った。みんなでフィールドワークに出向き、実際に聴いて感じて、見て感じるという経験をした。互いを尊重し意見を出し合うことで各々に主体性が生まれ、自然とモチベーションを保つこともできた。しかし、提案内容にはまだまだ改善の余地があった。
全チームのブースに毎回ゲストが巡回。学生は発表と他チームの参観とを交代しながら計9ラウンドを体験。
活動成果発表会を終えてゲスト皆様と学生と全員で
注)
1)「キャリア形成Ⅳ〈チームワーク・協働〉」シラバス
2)小田急のサステナビリティ(経営ビジョンとESG) https://www.odakyu.jp/sustainability/
3)WOOMS(資源・廃棄物の収集・運搬・排出作業の効率化と資源循環を高めるサービス) https://www.wooms.jp/
4) 村上芽(2021)「サステナビリティ人材を育成する」JRIレビュー ,日本総合研究所10, 94, pp.114-126
5) SDGs(Sustainable Development Goals):持続可能な開発目標
6)ESG(Environment Social Governance):環境・社会・企業統治を考慮した投資活動や経営・事業活動
7)ESD(Education for Sustainable Development):持続可能な開発のための教育
8)グリーンガイダンス:下村英雄・高野慎太郎(2022)「グリーンガイダンス -環境の時代における社会正義のキャリア教育論-」『キャリア教育研究』日本キャリア教育学会40,2 pp.45-55
9)参考:2022年度の本科目の実践報告
文責 勝又あずさ(成城大学 キャリアセンター)