成城大学

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  • 2023.03.01

    小田急電鉄株式会社との連携・協力協定によるキャリア教育の実践

 成城大学では、小田急電鉄株式会社様(以下;小田急、敬称略)との連携・協力協定により、キャリア教育科目を2022年度も開講しました。対象となる「キャリア形成Ⅳ〈チームワーク・協働〉」(正課科目 全学部・全学生対象 前期開講)は、学生が「協働」(co-production)を通して社会を理解し、卒業後も視野に入れたキャリアデザインを行うことを目的に、2018年度より小田急にご協力をいただき、継続的に開講しています。
 2022年度は小田急の有識者を招聘し、経営ビジョンとCSRの講義に加え、前半は「ONE」について、後半は「EMot」について学び、学生はチームを編成し各々テーマに沿って活動を行いました。「ONE」について課されたテーマは、小田急沿線に愛着をもち、使いつづけられるONEのサービスの提案。「EMot」について課されたテーマは小田急沿線に住む学生や若い子育て世帯が抱える日常生活のお困りごとを解決するために、小田急グループを活用したサービスの提案。学生はこれらの課題に沿って活動を行い、その成果を発表し、小田急グループの有識者より各チームへ評価と講評をいただきました。一連の活動を通して学生は、企業の経営とビジョン、社員の職務について学ぶとともに、職業観・仕事観に触れる貴重な機会になりました。
 尚、2023年度は、小田急のESG経営について学び、昨年同様チーム活動を行う予定です。授業の前半には広報・環境部によるESGに関する講義、後半は小田急が開発した「WOOMS」について学び、学生の立場に立った提案を行います。
昨今、企業ではSDGsを達成するためのESG経営が推進され、一方で個々の働き方も進化し、人々は単に利益のためだけでなく、個人の貢献が社会にどのようにインパクトを与えるか考えながら仕事をする時代となりました。本科目では小田急に協力をいただき、このようなESD/グリーンガイダンスを実現し、学生は、ワークキャリア、ライフキャリア、ソーシャルキャリアに関する理解を深めていきます。

キャリア形成Ⅳ〈チームワーク・協働〉2022年度「EMot」に関するプレゼンテーションの様子


参考
・小田急のサスティナビリティ(経営ビジョンとESG) https://www.odakyu.jp/sustainability/
・EMot(小田急のMaaSアプリ) https://www.emot.jp/
・ONE(小田急のサービスプラットフォーム) https://one-odakyu.com/
・WOOMS(資源・廃棄物の収集・運搬・排出作業の効率化と資源循環を高めるサービス) https://www.wooms.jp/


用語の説明:
・CSR(Corporate Social Responsibility):企業の社会的責任
・ESG(Environment Social Governance):環境・社会・企業統治を考慮した投資活動や経営・事業活動
 参考:ESGネットワーク https://esg.or.jp/ 
・SDGs(Sustainable Development Goals):持続可能な開発目標
・ESD(Education for Sustainable Development):持続可能な開発のための教育
 参考:文部科学省 https://www.mext.go.jp/unesco/004/1339957.htm
・グリーンガイダンス:下村・高野(2022)を引用、筆者により一部改編

デンマークのキャリア教育の研究者Plantは、キャリア教育(キャリアガイダンス)を、エコノミーの観点からではなく、エコロジーの観点から定義し「グリーンガイダンス」を提唱している。グリーンであることは、単に環境の持続可能性だけではなく、すべての人のための正義、公平性、公正さへのコミットメントを必要とする。
グリーンガイダンスは具体的にどういうものであるべきかについては次のとおり、

・職業選択は、環境に与える影響を考慮し、認識を深めるべきである。
・環境にポジティブに貢献できる教育訓練機会を確保するために、積極的な役割を果たすべきである。
・経済的な基準だけでなく、グリーン・アカウンティング的な面でも評価されるべきである。
・キャリア発達の問題に取り組む際、個人主義的なアプローチに加えて、進路選択が環境に与える影響に焦点を当てるべきである。
・キャリア教育を行う者自身が自分の実践を点検すべきである。
・ほとんどの仕事が潜在的にグリーンになりうるため、グリーンジョブを学生に進め、グリーンジョブに連なる教育訓練を進めること。

下村英雄・高野慎太郎(2022)「グリーンガイダンス -環境の時代における社会正義のキャリア教育論-」『キャリア教育研究』日本キャリア教育学会40,2 pp.45-55

文責:キャリアセンター 勝又あずさ