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  • 2026.07.23

    2026年度Seijo Career Program(SCP)レポート: ソーシャルアントレプレナー/イントレプレナーが投資家プレゼンテーションに挑む

 成城大学では、「働く×学ぶ×貢献する×生きる」をコンセプトにキャリア教育カリキュラム「Seijo Career Program(SCP)」1)を展開しています。他者と社会と関わりながら実践的に学ぶ「キャリア・プラクティス」(計6科目)の中で、今回は「キャリア・プラクティスⅡ〈社会起業と社内起業〉」2)の第14回「投資家プレゼンテーション」をレポートします。

日本の社会課題解決につながる新規事業を立ち上げる

 3ヶ月間という短い授業期間の中で、学生が日本の社会課題を解決する新規事業を考えました。一般企業(社内起業)であれば経営層に、スタートアップ(社会起業)であれば投資家にプレゼンテーションを行うという設定で、投資承認を得られるクオリティレベルの企画立案を目指してきました。学生は、チームメンバーをクラスの中から探し、チームで解決したい社会課題のテーマを設定。授業では講義は最小限に、課題を解決するためのサービスやビジネスモデルについてディスカッションしたり、定量・定性調査やフィールドワークを行いビジネスとしてのリアリティを高めたり、NTTデータで新規事業に従事する社員が伴走しながら、以下の全3チームが第14回(7月10日)に「投資家プレゼンテーション」に臨みました。
 投資家プレゼンテーションは、学内「データサイエンススクエア」にて実施。審査員は、本学学長の杉本義行、eXp Japan合同会社の田中謙氏、この2名からのコメントと質疑応答により審査を実施。翌回(最終回)の授業で、各チームが考えた事業・サービスに「投資する」・「投資しない」の最終結果を伝え、投資する場合の投資額(審査員1人あたりの仮想投資原資は1,000万円)をフィードバックしました。

各チームの事業・サービス

つなげ隊:60歳前後のアクティブシニアに着目。自分たちが地域のコミュニティとマッチングプラットフォームを作り、「ターゲット利用者がコミュニティの中で気の合う仲間を探し、継続して運動する機会をつくり、人とのつながりが切れないようにする」というビジネスを企画。高齢化社会における健康寿命の増幅といった日本の大きな社会課題にチャレンジしました。審査員からは「可能であれば成城大学周辺での実証実験を行い、事業成立のための課題を可視化したほうがよい」とアドバイスがありました。

継フェス:担い手不足のために消えゆく日本の地域の「祭り」に着目。担い手を探す地域の祭りの主催者と、祭りに参画して地域を盛り上げたい若手・外国人とを結びつけるといった、マッチングプラットフォーム。祭りの参画者には「オープンバッチ」を付与し、継続的に参加するためのインセンティブまで考えました。審査員からは「地域活性化という日本の社会課題を、祭りを切り口にした点が面白い」と評価された一方で、「具体的にどこからお金が出るのかを確認すべき」というアドバイスもありました。

若者の方向性、私たちが導きます:「若者の主体性を高めることで、世界的に低い日本の幸福度ランキングを上げる」という壮大なビジネス案。高校生をターゲットとし、オープンキャンパスでは体験できないような大学の授業や、普段は接しない職業の体験機会を提供することで意識変革を促す。そしてそれが個々の主体性を高めるという企画。審査員からは、ビジネスモデルや事業計画(数字)が高い評価を得ました。

  • 僅か8分間のプレゼンで事業の全貌を説明
    僅か8分間のプレゼンで事業の全貌を説明

  • 審査員から社会人と同レベルの質問が飛ぶ
    審査員から社会人と同レベルの質問が飛ぶ

学生のコメント(一部改編)

・社会課題を解決しようとすると儲からなくなってしまう。最後までこれを解消することができず、今でも悩んでいる。

・チームのリーダーを最初に名乗り出たが、各々が考えていることが違い、チームをまとめることの難しさを体感した。でも社会に出る前に体験できてよかった。

・起業したいと考えていたが、数字、ビジネスモデル、根拠集めなど、自分に足りないものがまだまだあることがわかってよかった。

・自分にはアイデアはあるが、それを人にちゃんと伝えていくことが下手だと思った。ロジック作りも自分の弱みであることが分かったので、改善していこうと思う。

・普段会えない社会人の方が大勢きて、会話できてよかった。

科目担当教員 岡本守弘(株式会社NTTデータ 社会DXコンサルティング事業本部)

 実際に私が会社で進めている「住まい」プロジェクトのプレゼンテーションをそのまま見てもらい、学生たちが目指す3ヶ月後の姿を示しました。経営層から私が受け取った厳しい指摘など “社会のリアル”も授業の中で伝えました。 “圧倒的な当事者意識”を持ち、「誰に、何を、どのように提供するのか、あなたはどんな世界にしたいのか」を問い続けること。AIの進化どれだけ素晴らしくても、それはAIが人間に勝てない部分だと思います。私も起業家として圧倒的な当事者意識を持ち続けながら、学生たちとこれからも向き合っていきます。

科目担当教員 森田寛彦(株式会社NTTデータ 社会DXコンサルティング事業本部)

 生成AIの進化により、情報収集や分析、資料作成といった作業は、誰もが短時間で高い水準まで実現できる時代になりました。一方で、「どの社会課題に向き合うのか」「誰のために、どのような未来を実現したいのか」という問いを立て、仲間を巻き込みながら新たな価値を創り出していくことは、人間にしかできない重要な役割です。本科目では、社会課題の設定から解決策の仮説構築・検証、事業計画の立案、そして投資家へのプレゼンテーションまでを、学生が主体となって進める実践型授業を行いました。理論のインプットは最小限に留め、現場で迷い、議論し、試行錯誤を重ねながら、自ら考え、行動し続ける力を養うことを重視しています。最初は戸惑っていた学生たちも、「投資家プレゼンテーション」では、自分たちが本気で解決したい社会課題への想いを、自信を持って語れるまでに成長しました。社会課題の解決には唯一の正解はなく、挑戦と失敗を繰り返しながら前へ進み続ける姿勢が求められます。AIと共創する時代においても、人だからこそ生み出せる価値を創造し、この授業で得た経験が社会に新たな変化をもたらす原動力になることを期待しています。

注)
1)成城大学のキャリア教育カリキュラム Seijo Career Program(SCP)
https://www.seijo.ac.jp/career/news/cvt4qu000000h94b.html

2) 2026年度「キャリア・プラクティスⅡ〈社会起業と社内起業〉」シラバス
https://lc.seijo.ac.jp/lcu-web/SC_06001B00_22/referenceDirect?subjectID=202900705712&formatCD=1

 社内起業:企業内において新しいビジネスを立ち上げること。
 社会起業:社会課題をビジネスにより解決すること。

2025年度の投資家プレゼンテーションの様子
https://www.seijo.ac.jp/career/news/cvt4qu000000ohez.html

執筆・撮影 岡本守弘・森田寛彦(科目担当教員)
執筆・文責 勝又あずさ(成城大学 キャリアセンター)