成城大学

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在学生の方へ

  • 2023.05.29

    ChatGPTなど生成系AIの利用についての本学の基本的な考え方

学長 杉本義行

 生成系AIの代表例であるChatGPTは、昨年11月にリリースされて以来、ユーザー登録数が史上最速のスピードで増加しており、さまざまな分野での利用も急速に進んでいます。本学の授業の中にも、すでに生成系AIを積極的に活用し、効果をあげている先進的な事例があることを承知しています。以下では、主としてChatGPTを例に、生成系AIの利用についての本学の基本的な考え方を述べたいと思います。
 生成系AIは、従来の検索エンジンとは異なり、AIがこれまでに学習したトレーニングデータをもとに、人間から投げかけられた質問などに対する回答として「もっともらしい文章」を返す、という仕組みになっています。生成系AIとの質問・回答のやり取りを繰り返す中で、たとえば思いもよらなかった視点に気づくといったことにより、私たちの創造的な営みを支援したり、効率化したりする可能性があります。
 他方、どんなにすばらしい技術であっても、その利用にはリスクがつきものです。生成系AIの利用におけるリスクには、一般につぎの3つが指摘されています。
 第1は、質問に対する生成系AIの回答は時として間違いがあるというリスクです。これは、先述したように、生成系AIは大量の文章などを学習したトレーニングデータをもとに、もっともらしい文章を回答として返す仕組みだからです。このことから、生成系AIを使いこなすには、従来の大学での学びと同様に、「本当か?」と回答の妥当性を疑う『批判的思考力(Critical thinking)』と当該分野に関する知識が必要です。生成系AIの利用にあたっては、文献などの信頼できる情報源にてらして回答の妥当性を確かめる態度が重要となります。
 第2に、生成系AIからの回答をそのままの形で使用することは、従来の文献や検索情報のコピー&ペースト(コピペ)に相当し、情報倫理に反します。言うまでもなく、課題に取り組むことは、みなさんの資質・能力(知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性)を伸長させる大切な学びの機会です。課題等の作成に際し、コピペをするのは資質・能力を伸ばす貴重なチャンスを放棄する残念な行為であることに留意してください。
 第3に、生成系AIとのやり取りを通じてみなさんが入力するデータは、トレーニングデータとして活用されるリスクがあります。したがって、みなさんの個人情報や機密情報等の入力はしてはいけません。また、生成系AIでは、利用者が気づかないうちに著作権を侵害するリスクもあります。
 成城大学での学びは、大学の中に閉じるのではなく、広く社会、地域、産業界などとつながっています。この立場からは、生成系AIの利用を制限的にとらえるのではなく、上記のリスク等に注意を払いつつ、賢く利用することにより、みなさんが自らの学びを深め、支援することを期待します。
 以上が、現時点での生成系AIの利用についての本学としての基本的な考え方です。なお、みなさんが受講している個々の授業科目での生成系AIの利用については、担当教員の指示に従ってください。