成城大学

成城大学

Twitter FaceBook instagram YouTube LINE note
CONTACT EN

NEWS

  • 2026.03.16

    第一回 スポーツ×ジェンダー×国際協力 勉強会 実施報告

成城大学スポーツとジェンダー平等国際研究センター(SGE)は、スポーツと国際協力、とりわけジェンダー平等の推進に関する知見の共有を図り、関係者間の更なるネットワーク強化を目的として、日本国内のスポーツ国際協力に携わる関係者を招待し、第2回スポーツ×ジェンダー×国際協力勉強会を実施しました。

勉強会では、行政、国際開発機関、非営利団体、民間企業、研究者が参加し、ジェンダー分野を主としたスポーツ国際協力について学びを深めました。

日時:2026年1月22日(木) 18:00-19:30
場所:成城大学 (オンラインハイブリッド形式)

■ SGEからの情報共有

1.ASEAN地域のスポーツとジェンダー平等に関するSGEの取り組み
(SGE副センター長 野口)

 副センター長の野口から、SGEがこれまでASEAN加盟国に実施してきた取り組みを紹介し、スポーツにおけるジェンダー平等政策の重要性を共有しました。プロジェクト全体の進捗の他、加盟各国のスポーツ分野におけるジェンダー平等の現状と取り組みが示されました。
 野口副センター長からは、重要な概念として「ジェンダー主流化」と「ジェンダートランスフォーマティブアプローチ」の2点の共有を行いました。前者に関しては、形式的な男女平等の推進ではない分野横断型に統合された政策プロセスの重要性について、後者に関しては、既存の権力格差や資源分配、機会の不平等を是正する取り組みの重要性について言及がなされました。
 加えて国際的な政策トレンドや東南アジアにおけるジェンダー規範の構造、その変遷について情報提供を行いました。その上で、個人レベルでの女性の主体性強化、関係性レベルでの態度の変容、構造レベルでの制度的変革という3層の取り組みが不可欠である旨、説明を行いました。

2.ASEAN3カ国調査報告(SGEポスドク研究員 古田・高田)

 ポスドク研究員の高田から、2024年度にSGEが実施したカンボジア、ブルネイ、マレーシアでの現地調査について報告しました。
 調査の理論的枠組みとして、Bronfenbrennerのエコロジカルシステムセオリーを援用し、女性のスポーツ参画や持続的な参加に対する阻害要因を4つのカテゴリー(個人、関係、組織、文化社会)に分類した分析が行われました。
 国別の特徴として、カンボジアでは、伝統的な性別役割による分業意識の高さの一方で、2023年に開催されたSEA Gamesがジェンダー規範を含めたスポーツを通じた社会変革の契機となっていること、ブルネイでは、男性中心的な文化において女性のスポーツ継続に困難が見られるものの、スポーツへの参画が女性の人権保証や能力拡大といった側面の可能性が見られること、マレーシアでは多民族が共生する社会における相互理解や固定観念の変革に一助をもたらす可能性がある旨、共有を行いました。

3.ASEANをめぐるスポーツと国際協力(SGE 日ASEAN事業 PM 佐藤)

 PM佐藤から、ASEANをめぐるスポーツと国際協力の現状について、域内の政策文書であるASEAN Workplan on Sportの概要に関する説明を行いました。併せて域内の国際協力をめぐり多様化するアクターの動向、併せて提言として、国際的なマイルストーンを活用したマルチセクター連携による日本のプレゼンス向上、中長期的な外交成果を見据えた人材育成の検討の必要性について言及を行いました。
 とりわけ、これまでスポーツ庁を中心に実施されてきた事業の成果が有機的に連動し、SGEの受託する日ASEAN事業にも効果をもたらしており、着実に日本のソフトパワーとして機能していることと、今後の可能性について情報提供を行いました。

■ 参加者からのコメント

独立行政法人 国際協力機構(JICA)

「第二回 スポーツ×ジェンダー×国際協力 勉強会」に参加する貴重な機会をいただき、スポーツを通じた国際協力に携わる者として、大変多くの学びと示唆を得ることができました。成城大学SGEセンターが蓄積してきた研究知見と、国内外の多様な関係者を巻き込みながらジェンダー主流化を推進する姿勢は、国際協力分野における政策面・実務面の双方において、今後ますます重要な役割を果たしていくものと感じています。JICAとしても、JICA海外協力隊派遣やその他の「スポーツと開発」事業において、スポーツとジェンダーの視点をより一層組み込み、持続的かつ包摂的な社会づくりに向けた取り組みをさらに強化していきたいと考えています。

独立行政法人 日本スポーツ振興センター(JSC)

今回、ASEAENのスポーツ国際協力に関する全体の動向が共有されましたが、ASEAN Work Plan on Sportsの改訂や多様化するアクターの動向を踏まえ、スポーツを社会課題解決の「ツール」として位置づける国際的潮流を的確に捉えた内容であり、大変示唆に富むものでした。とりわけ、Sport and Youth Crime Prevention Initiativeの紹介からは、スポーツ・法務・外交が連携するマルチセクター型の枠組みの重要性が明確に示されていたと感じました。

ASICS Foundation

ASEAN諸国における女性のスポーツ参加の障壁などに関する調査報告を、大変興味深く拝聴いたしました。弊財団の今後の活動にとっても大変有意義な学びとなりました。

株式会社JIN

本勉強会では、ASEAN地域におけるスポーツとジェンダー平等の推進に関する具体的な取組や調査結果を共有いただき、スポーツ政策の制度的枠組みだけでなく、女性の参加を阻害する社会的・文化的要因を含めた体系的に理解することができ、大変貴重な学びとなりました。また、弊社が関わったJICA技術協力プロジェクト「南スーン国スポーツを通じた平和促進プロジェクト」での経験と比較しながら拝聴することで、地域ごとの背景を踏まえたアプローチの重要性を改めて認識いたしました。また、多様な関係機関との連携を通じてジェンダー平等を推進していく必要性が強調されており、今後の国際協力におけるスポーツ事業の企画・実施において重要な示唆を得ることができました。
本勉強会で得た知見を、今後のスポーツと国際協力分野の事業企画・実施に活かしていきたいと思います。貴重な機会をいただき、改めて御礼申し上げます。

株式会社国際開発センター

JICAより受託して実施した調査で、各国の省庁関係者と意見交換した際には、ジェンダー分野に関して問題意識を持っていなかったが、この勉強会では異なる調査結果だった為、そのギャップがどこで発生しているのかより知りたいと思いました。また発表者お一人当たり15分という時間は少し短い為、どの講義もより詳しく知りたいという印象を持ちました。

SGEは今後も、より実務的・政策的な議論を深めるため、継続的な対話の場を創り出していきます。