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  • 2024.07.05

    SGE YouTube チャンネル「Sport for Social Solutions (SSS) 」#2を公開しました

SSS#2 ポストスポーツ・フォー・トゥモローと日ASEAN事業について

成城大学スポーツとジェンダー国際平等研究センター(以下、SGE)は、YouTubeチャンネル『Sport for Social Solutions (SSS)』を運営しています。本チャンネルでは、専門家や行政関係者、アスリートなどの幅広いゲストとともに、社会課題解決のプラットフォームとしてのスポーツに光を当て、情報提供や意見交換を行います。

成城大学スポーツとジェンダー平等国際研究センター YouTubeチャンネル:

SSS第2回のテーマは「ポストスポーツ・フォー・トゥモローと日ASEAN事業について」。

SGEは、2023年度よりスポーツ庁委託事業「令和5年度ポストスポーツ・フォー・トゥモロー推進事業」再委託事業に選定され、日本とASEAN10ヵ国政府によるスポーツを通じたジェンダー平等を目指す「ASEAN-JAPAN Actions on Sport: Gender Equality」に取り組んでいます。

今回は、事業受託先である日本スポーツ振興センターの総合企画部連携企画課課長の阿部篤志さんをゲストに迎え、SGE副センター長の野口亜弥専任講師とともに、SGEの活動の柱でもある日ASEAN諸国とのジェンダー平等推進事業についてお届けしました。

日本からスポーツの価値を届ける。スポーツ・フォー・トゥモローとは?

最初の話題は、スポーツ・フォー・トゥモロー(Sport for Tomorrow: SFT)とは何なのか。

スポーツ・フォー・トゥモローを簡潔に説明すると「スポーツを通じた国際交流や国際協力を推進する取り組み」だと阿部さんは説明します。2021年に開催された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)に向けて、2014年から8年間、官民協働のコンソーシアムが形成され、日本からスポーツの価値を世界に届けていくためのさまざまな活動が行われてきました。

そして、この東京2020大会に向けて培ってきたスポーツのレガシーをその先に繋げていくために「ポストスポーツ・フォー・トゥモロー」が始動したそうです。

SGEが受託する「ASEAN-JAPAN Actions on Sport: Gender Equality」も、このポストスポーツ・フォー・トゥモローの事業の一つとして、推し進められています。


地政学的な観点からアジア太平洋地域の平和と安定、発展と繁栄のために密接な協力関係を50年にわたり築いてきた日本とASEAN。阿部氏は「ASEANの国々と協力しながら、ASEANにおけるスポーツの振興あるいは、スポーツを通じた社会課題の解決にいかに取り組んでいくのかというのが重要な課題になっている」と話します。

一方向から成る支援関係ではなく、相互の発展と理解を目指す包括的なパートナーシップの一環として、スポーツを通じた国際協力が位置付けられているそうです。

阿部氏は続けて、このスポーツ領域の優先協力分野として、SGEと取り組むジェンダー課題の他にも、質の高い体育やスポーツを普及していくための「体育教師および指導者の育成」やスポーツを通じて障がいのある人の社会参加を推進するための「障害者スポーツの推進」などがあることを解説しました。

ASEAN-JAPAN Actions on Sport: Gender Equality - 1年目の取り組みと成果

続いて、野口副センター長は、4か年計画の1年目となった2023年度の「ASEAN-JAPAN Actions on Sport: Gender Equality」の活動を紹介しました。

大きな取り組みとして挙げられたのは、ASEAN10ヵ国から政府とオリンピック委員会の代表者を招いたワークショップと各国の実態を把握するための調査事業。ワークショップでは、各国が自立しながらジェンダー平等を推進していくために、自国の現状分析やジェンダー別のデータ収集に関するテーマが取り上げられました。


野口副センター長は、性別に基づいて社会的・文化的に期待される性役割が、ASEANの女性のスポーツ参加の課題にも密接に紐づいていることに触れた上で、ワークショップ内では「ジェンダー課題を構造的に捉えて、組織として、社会としてアプローチしていきましょうという話をした」と話しました。

また、調査事業は、インドネシア、ベトナム、フィリピンで実施され、女性や女の子がスポーツに参加する意義やそれを阻害する要因についての質的データの収集が行われました。結果は今後、各国政府に共有されるそうです。

阿部さんは、SFTが重要視する各国の「オーナーシップ」を意識しながら、中期的に目指すものを明らかにできた1年目の取り組みを「非常に重要な一歩」と表現しました。

また、上記の取り組みは、UNESCOと協力しながらスポーツとジェンダー平等の推進に取り組む国際的研究機関「Global Observatory for Gender Equality and Sport」との連携の下、実施されました。野口副センター長は、この連携の中で、UNESCOがまとめている各地域の好事例集の中に、本事業の取り組みが掲載できたことに言及しました。

SGEでは、アジア地域における知見を国際的に発信することを設立当初より重要視しており「ポストスポーツ・フォー・トゥモローで行っている取り組みを、グローバルに発信できていることは大変ありがたいこと」と話しました。

加えて「この事業をきっかけに、アジアの状況に応じたいろいろな取り組みがグローバルに発信され、理論や実践の部分での新しい視点が社会全体に広がっていけば」と話し「ASEANの皆さんがどこに課題を感じていて、自分たちの優先順位の中でどのように(現状を)変えていきたいと思っているのかを丁寧にヒアリングしながら、次年度以降に繋げていきたい」と今後の展望を語りました。

そして最後に、阿部さんは「SFTは、2030年のSDGsのさまざまな課題目標に対して、官民協働で取り組みを進めています。ここまでいろいろな団体と取り組みを進めてこられたわけですが、さらにさまざまな分野における専門家の方と協働しながら進めていくことで、一過性の取り組みで終わらせずに、それぞれの課題が実際に解決されたり、そこからまた新しいレガシーが残っていくように発展させていきたい」とSGEとの協力を通じた更なる取り組みの広がりに期待を寄せました。

今回の記事のフル動画はこちらよりご覧いただけます。