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2024.05.31
SSS#1 SGEセンターの概要と活動
5月7日、成城大学スポーツとジェンダー国際平等研究センター(以下、SGE)は、YouTubeチャンネル『Sport for Social Solutions (SSS)』を開設しました。本チャンネルでは、専門家や行政関係者、アスリートなどの幅広いゲストとともに、社会課題解決のプラットフォームとしてのスポーツに光を当て、情報提供や意見交換を行います。
成城大学スポーツとジェンダー平等国際研究センター YouTubeチャンネル
記念すべき第1回のテーマは「SGEセンターの概要と活動」。SGEセンター長の山本敦久教授と副センター長の野口亜弥専任講師が、SSS開設の背景やSGEでの活動とその思いを話しました。
YouTubeチャンネル『SSS』開設のきっかけとこれから
野口副センター長からチャンネル開設のきっかけについて問われた山本センター長はまず、21世紀のスポーツのあり方の変化について解説しました。
競技性のみに注目が集められた20世紀のスポーツに対して、現代ではスポーツ界やアスリートの中で社会課題に応答する動きがあるといいます。人種差別、ジェンダー差別、性的マイノリティへの差別といった問題に対して、アスリートが社会正義のためにSNSを通じて自分の声を発信する動きなどもその一例です。
山本センター長はこのような動きがまだ新しいものであることに言及した上で「今スポーツが大きな転換期にあるということ、そしてスポーツが社会課題解決の大切な土壌になっているということをできるだけ多くの人たちにお伝えできれば」と、チャンネル開設に至った思いを話しました。
その上で、今後SSSで取り上げていきたいテーマとして「ジェンダー平等を実現するためにスポーツがどのように貢献できるのか」、「スポーツ界やアスリートの中でジェンダー平等に向けてどのような動きがあるのか」といったものの他、「運動部活動における課題と必要な変化」や「性的マイノリティの人々の包摂に対する専門家や現場の声」などの幅広いトピックを挙げました。
SGE設立の背景とその目的
続いて、今回の動画のテーマであるSGEについての説明が行われました。SGE設立の背景にある社会的な動きとして、山本センター長はまず、2010年代後半から活発化している女性アスリートたちによる社会課題解決に向けた動きについて言及しました。
2020年、テニスの大坂なおみ選手は、出場する全米オープンの試合を通じて黒人に対する警察官の暴力行為などの人種差別に抗議。白人警官に殺害された黒人の被害者たちの名前を記したマスクを着用したことで多くの注目を集めました。また、サッカーのミーガン・ラピノー選手は、スポーツ界に存在する賃金や待遇などの男女格差を指摘。プロアスリートとして男女平等の賃金を求めるイコール・ペイ(Equal Pay)運動の中心人物として、賃金格差の是正に貢献しました。
山本センター長は、こうした大きな国際的な動きの中で「ジェンダー平等」は非常に重要なテーマであるとした上で、ヨーロッパやアメリカ中心主義の視点で語られがちなこの分野で「日本やアジアの視点でスポーツの中の課題を見つけ出し研究していきたい」と新センター設立への思いを語りました。
また、野口副センター長は、SGE設立の目的として、スポーツとジェンダー・セクシュアリティ研究のアジアの拠点となること、ツールとしてのスポーツのあり方を再定義すること、東南アジアや東アジアの文脈を考慮した研究を国際的に発信すること、実践と研究を繋げること、そしてスポーツとジェンダー平等に取り組む教育機関・行政・企業等のハブとなることの5つを挙げました。
続いて、SGEの主要な5つの活動について触れました。SGEの事業の柱の一つでありスポーツ庁の再委託事業として推進するASEAN10ヵ国政府と連携した事業については、次回以降の動画で取り上げられるとのことです。
最後に、山本センター長は「研究活動を研究者だけに閉じず、企業やメディアの方など、いろいろな人と協力しながら前に進めていきたい。チャンネルを見て興味のある方は、是非一緒に活動のコラボもしていければ」と呼びかけました。
今回の記事のフル動画はこちらよりご覧いただけます。