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  • 2026.02.27

    島根あさひ社会復帰促進センターを参観しました

2026年1月22日(木)に、センタースタッフで島根あさひ社会復帰促進センターを参観しました。
島根あさひ社会復帰促進センターは、官民協働で運営している全国に4か所あるいわゆるPFI刑務所の一つであり、犯罪傾向の進んでいない男子受刑者等を収容しています。2008年より運営を開始し、「国の経験」、「民間のノウハウ」、「地域の力」の3つを運営の柱としています。刑務所ではなく、「社会復帰促進センター」という名称を用いていることからも分かるように、社会復帰支援に力を入れている施設です。
参観者による感想が寄せられましたので、以下紹介します。

島根あさひ社会復帰促進センターを訪問して

令和8年1月中旬、最寄りバス停から歩いてきて、ちらちらと舞っていた雪が途切れて青空が出てきた頃に坂の上を見上げると、フェンスの向こうに白く大きな建物がありました。更生支援に関心のある弁護士や研究者の間では坂上香監督の映画「プリズン・サークル」で有名な、島根あさひ社会復帰促進センターです。広島から2時間程度となかなか簡単には行けない場所にあるので、今回訪問できたのはとても貴重な機会となりました。到着後、所長より施設の説明をいただき、施設見学もさせていただいて、「社会復帰促進センター」の名にふさわしく、社会とのつながりを意識したさまざまな取り組みがされていることを知りました。抜きがたく刑務所ではありながらも、集団行進ではなくICタグによる位置情報把握システムで施設内では受刑者が独歩できたり、夕方~夜の時間帯にユニットの多目的ホールでの余暇時間が与えられていたり、構外での農作業もあったりと、「人材の再生」に向け受刑者を信頼し、自主・自律を重んじるやり方が各所にみられました。盲導犬パピー育成プログラム、ホースプログラム、地域住民との文通プログラムなど、受刑者の内面の再生に重きを置いた取り組みも興味深かったです。施設見学中に特に印象深かったのは職業訓練で、地元伝統の石見神楽で使う神楽面の制作室では制作過程を説明担当の受刑者に直接説明してもらえたこと、理容学校の区画では資格試験に向け時間内に所定の作業をすべく受講者が真剣にハサミを動かしていたことでした。受刑者に限らず人は、信頼され、役目を任され、「できた」を積み重ねることが、自信になり今後の人生の足がかりになるのだと感じました。今後も、官民協働と地域との連携のもと、受刑者をエンパワーし社会復帰に向けてやさしく背中を押す刑務所でありつづけてほしいと思いました。

立川アジール法律事務所 弁護士
奥田 真帆

『高い塀』がない刑務所の存在感~島根あさひモデルを見学して~

大雪が西日本列島を白く染めた令和8年1月中旬、いつかは訪れたいと願っていた島根あさひ社会復帰促進センターへの訪問が叶いました。真っ白な雪景色を車で進み、同施設が近づいてきたその時の驚きが、今回の訪問で最も印象深い光景となりました。「あれって刑務所ですよね?」建物全体を敷地の外からも見渡すことができ、思わず確認してしまいましたが、国内外を問わず刑務所という存在のシンボルと言えるような『高い塀』が存在しません。代わりに刑務所をぐるりと囲むのは見通しのあるフェンスで、その外観から風通しの良さを感じました。刑務所の中からもフェンスを通してすぐそこにある地域を感じられる、その気持ちよさは計り知れないと感じました。到着後は所内で『島根あさひモデル』として地域と共に創る“社会復帰支援コミュニティ”の概要をご説明頂き、その後実際に施設をご案内頂きました。私にとって印象深かったのは、地域の方々の発案で『文通プログラム』(受刑者と地域の方々が文通で交流するもの)が行われていたり、農業や伝統工芸で地域と繋がりながら作業を行われているところでした。特に地元の特産である石州和紙は、所内で製造したものを地元の小中学校の卒業証書のために寄贈され、子供たちからお礼のメッセージが届いていると伺い、その日の寒さが吹き飛ぶような温もりを感じました。同所はいわゆるPFI方式から公共サービス改革法に基づく運営に変わる転換期と伺いましたが、地域と地続きの活動を続けられてきた同所の特色が損なわれることなく、さらに社会と刑務所の間に、見た目通りの風通しの良さを生かされた実践が積み重ねられることを大いに期待しております。

センター客員研究員・心理カウンセラー・弁護士資格保有
菅原 直美

刑務所運営を通した地域活性化

島根あさひ社会復帰促進センターは、地域振興を目的とした浜田市による誘致活動を経て開設されたと知りました。これまで法学を学ぶ中で、刑務所を単に受刑者を収容する施設としてしか捉えていませんでしたが、今回の参観を通して過疎化対策・雇用の創出といった刑務所が社会で担う別の役割に気付かされました。また、職業訓練で作ったコッペパンの市内の小中学校への提供、職業訓練としての地域の伝統工芸品である神楽面や石州和紙の制作、地域の方々との文通プログラムなど特色ある取組みを紹介していただきました。これまではPFI刑務所は経費削減や効率化を重視しているイメージがありましたが、地域との共生を一番重視しているとのご説明を受けて、PFI刑務所のイメージが大きく変わりました。

センターPD研究員
N. T.