成城大学

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  • 2018.12.13

    成城大学経済研究所・私立大学研究ブランディング事業共催ミニ・シンポジウム 「金融自由化とマイクロファイナンスの役割 — メキシコのケース —」

グアダラハラ大学経済経営学部教授 柿原 智弘

2018年10月23日(火)に本学経済研究所において、「金融自由化とマイクロファイナンスの役割 — メキシコのケース —」をテーマとするミニ・シンポジウムが本学経済研究所と私立大学研究ブランディング事業との共催で行われた。当日は本学経済学部福光寛教授が司会を務め、グアダラハラ大学経済経営学部の柿原智弘による報告が行われた。

ミニ・シンポジウムでは、メキシコの金融自由化の下でのマイクロファイナンスの役割について報告が行われた。冒頭では、メキシコの金融自由化の経緯およびその影響について、主に銀行部門の再編に注目した説明が行われ、続いてマイクロファイナンスの現状およびその課題について説明がなされた。
メキシコの1980年代以降の2度の大きな金融危機において、メキシコ政府は外資の積極的な誘致による金融健全化を図った。その結果、地場金融機関のプレゼンスは低下し、外資系金融機関が金融市場を席巻することとなった。この点において、グローバル化が金融制度の安定に寄与したと言えるが、一方で地場金融機関のプレゼンスの低下により、メキシコ政府が自国の金融制度をコントロールする自由度が低下する結果となった点が指摘された。
同時に、メキシコでは、地場金融機関によるマイクロファイナンス機関の増加が観察されており、90団体以上が登録されている。マイクロファイナンスは、一般的な金融機関へのアクセスを制限された貧困層への金融機会の提供という側面が強いが、メキシコでは小口資金を提供する意味合いでも用いられており、所謂消費者金融的な側面も持ち、都市部でも利用者が多くみられる。この点から、マイクロファイナンスがローカル金融インフラの一端を担っており、ローカル化が進んでいると言える。また、貧困層を含め、マイクロファイナンスの返済原資には移民送金が多く利用されていることから、マイクロファイナンスと移民送金の間には密接な関係がある点が指摘された。
以上の報告に対し、ミニ・シンポジウムの参加者からは、金融危機におけるメキシコ経済への直接投資の影響の程度、マイクロファイナンス利用者と銀行口座所有率との関連性、移民送金を担う金融機関の役割と今後の方向性等、様々な観点から活発な議論が交わされ、盛況のうちにミニ・シンポジウムは閉会した。