成城大学

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  • 2024.02.26

    「ASEAN-Japan Actions on Sports: Gender Equality ワークショップ 2024」報告

1日目(1月10日)

 初日のオープニングは、共催ホスト国であるベトナムの Viet Nam Sports AuthorityからチェアマンのDang Ha Viet氏による開会の挨拶で始まりました。続いて、本ワークショップの主催者である成城大学のスポーツとジェンダー平等国際研究センター(International Research Center for Sport and Gender Equality:SGE)から副センター長の野口亜弥が挨拶を行いました。野口は、ワークショップ開催実現への感謝の意を表した上で「スポーツにはジェンダー問題を乗り越えるポテンシャルがある」と、今回のワークショップがスポーツにおけるジェンダー平等達成に向けた主要な原則に対するアプローチを議論する機会となることへの期待を示しました。さらに、ASEAN事務局のSenior Officer of Education Youth and Sports DivisionのLarasati Indrawagita氏は「スポーツは、ジェンダー平等を促進し女性や女の子に力を与える強力なプラットフォームとなる」と話し、ワークショップを通じた議論がジェンダーの視点を取り入れた各国のスポーツ政策策定の後押しとなるよう、期待を込めて開会の挨拶としました。

 第1セッションでは、SGE副センター長であり、成城大学文芸学部専任講師の野口が「Introduction of Gender Mainstreaming & Gender Issues in Sport(スポーツにおけるジェンダー主流化とジェンダーの課題)」のテーマを担当しました。冒頭に、2021年から2025年までの「ASEAN-Japan Actions on Sports: Gender Equality」プロジェクトの背景とこれまでの取り組みを解説しました。2021年に実施した第1回目のワークショップで各国が特定した、スポーツにおけるジェンダー平等を推進するための政策策定に向けたアクションポイントを振り返りながら、スポーツ政策の中でジェンダーに特化した取り組みがこれまでほとんど行われてこなかったことを共有しました。その上で、ASEAN諸国のスポーツにおけるジェンダー平等を推進するために、今回のワークショップのテーマでもある「ジェンダー主流化」に取り組むことの重要性を説きました。また、「Equality(平等)」と「Equity(公平)」の違いについても説明。社会的構造の結果として生まれたジェンダー課題にアプローチする時、すべての人に同様の機会や資源を与える「Equality(平等)」ではなく、その構造の中で脆弱な立場に置かれる人たちの状況に合わせた特定の必要機会や資源を提供する「Equity(公平)」の観点を持つことの必要性を強調しました。

 次のセッションは「Concept and Framework of Gender Mainstreaming in Sport(スポーツにおけるジェンダー主流化の概念と枠組み)」のテーマで行いました。前セッションに引き続き当センターの野口が情報提供者として登壇。各国の政策の中にジェンダーに関する基本計画があるのか、それがスポーツの基本計画とどのように結びついているのか、そして性暴力やセクシュアルハラスメントに関することがそれらの政策に組み込まれているのかを理解し、問題を特定することが具体的なアクションに繋がると話しました。また、取り組みの効果をモニタリングし評価するための指標を導入することの重要性を説き、セッションを締めくくりました。

 午後には、参加国のすべてが自国のスポーツにおけるジェンダーに関する現状について、発表する場を設けました。各国の発表を受けて、今回のワークショップで情報提供者を務めるGlobal Observatory for Gender Equality & Sportのリサーチ・ディレクター、Dr. Lombe Mwambwa氏は「政府の多部門にわたる包括的な政策へのコミットメントは、スポーツだけでなく、あらゆる行動領域および生活のすべてにわたる政策を立案するための基盤になる」と話し、スポーツ分野以外の関係団体との連携やソーシャルメディアの活用の有効性について言及しました。

 初日の最後のセッションでは、Dr. Mwambwa氏が「Media Representation(スポーツにおけるメディアの表現と描写)」について解説しました。メディアが無意識に持つ二つの問題点として、「①Misrepresentation(誤った報道)」と「②Underrepresentation(報道数の不平等)」を挙げました。その上で、メディアにおけるジェンダー主流化のためには、組織のコミュニケーションのすべての側面にジェンダーの視点を取り入れ、取り組みのプロセスや意思決定、コミュニケーションの実践がジェンダー課題にどのように影響するのかを考える必要があると強調しました。そして、セッションの締めくくりとして、メディアにおいてジェンダー平等を推進するために個人やステークホルダーが実現可能なアクションについてグループディスカッションを行いました。

2日目(1月11日)


 2日目は、Brenda Matafwali Chipande氏による「ジェンダーに基づく暴力(Gender Based Violence:GBV)」をテーマとしたセッションでスタートしました。Chipande氏は、はじめにGBVの定義を解説。暴力やハラスメントにはさまざまなタイプがあり、それらを知らないことで暴力やハラスメントに加担してしまうリスクがあることを説明しました。また、ジェンダーに基づく暴力を根絶することの難しさについて言及した上で、スポーツに関わるそれぞれが知識を持つことで、暴力やハラスメントに無意識に加担するリスクを軽減し、対策を講じることの重要性を強調しました。

 すべての情報提供を終え、残りのセッションでは、各国毎のディスカッションとグループワークを実施しました。各国毎の優先課題、スポーツ政策におけるジェンダー主流化に向けた戦略的計画、日本とASEAN加盟国の協力関係におけるスポーツに関する方針の提言を話し合い、発表を行いました。各国の発表後、情報提供者を務めた3名は「とても勇気づけられた」「性別毎のデータの不足や政府の意思決定層のジェンダーへの理解も強調されており、計画には利害関係者との協議が含まれている」などとコメント。さらに「ASEAN諸国は、スポーツそのものの推進だけではなく、その中にジェンダーの視点も取り入れてほしい」と述べた上で「このワークショップでまとめたことを各国文書にまとめ、お互いに情報を共有することで、今後も連携してアクションしていくことが大切」と、今後への期待を示しました。

 全セッションを終え、関係団体の代表者からの挨拶でワークショップは締めくくられました。はじめに、Vietnam Sports AuthorityのMs. Le Thi Hoang Yen氏はジェンダー平等の達成と持続可能な開発に向けてスポーツが果たす役割に触れ「今回のワークショップがこれらの達成に向けて、管理者や関係者に有益な示唆を提供できたことを願っています」と話し、関係者へ謝辞を述べました。続いて、SGE副センター長の野口は「今回のワークショップが各国がジェンダー課題に取り組む上でのヒントになっていればうれしい」と話した上で、今後のフォローアップやワークショップの計画について共有しました。最後に、日本スポーツ振興センターのスポーツフォートゥモロー事務局から佐藤翔氏が挨拶を行いました。「ポスト・スポーツ・フォー・トゥモローは、東京2020大会のレガシープログラムであり、ジェンダー課題への取り組みを重要視している」と話し、継続したコミュニケーションの重要性とワークショップ実施への謝辞を述べ、ワークショップの全日程が終了しました。