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  • 2020.01.24

    学生インタビュー — 日本代表としてCOP25に参加した藤縄聖菜さん —

 社会イノベーション学部心理社会学科3年の藤縄聖菜さんは、気候変動に関する環境問題の取り組みに精力的な活動を行っています。昨年末、スペイン・マドリードで開催されたCOP25(国連気候変動枠組条約第25回締約国会議)、それに先がけて開催されCOY15(Conference of Youth 15)に参加するなど、日本の若者代表として国際的な活躍をされています。
藤縄さんが所属するClimate Youth Japan(以下、CYJという)とはどのような活動をする団体か、環境問題や気候変動に興味を持ったきっかけ、COP25に参加した感想など、藤縄さんにお話を伺いました。

Q.CYJとはどのような団体でしょうか。
 日本の若者が気候変動や環境問題への関心をもっと高めていけるように、若者の立場から環境問題への取り組みについて提言などをする青年NGOです。具体的には、ワークショップを定期的に開催したり、気候変動に関する勉強会を開いたり、大きなイベントとしては国連主催の国際会議COPにメンバーを派遣していることで、COP派遣は今年で10年目、計40名以上の日本の若者を送り出しています。メンバーは日本各地の大学生・大学院生約40名で構成されています。テーマが気候変動と環境問題なので理系の学生が多い中、私のように文系で心理学専攻の学生はとても珍しい存在です。

Q.組織について知るきっかけは?
 もともと、国連の仕事や国連の会議に漠然とした興味を持っていました。そんな中、2015年9月に国連総会でSDGs(持続可能な開発目標)が採択されました。各国のリーダーが集まる大きな国際会議では、さまざまな国の事情から大胆な決定がされにくい現状があります。にもかかわらず、地球の未来のために多くの国によって一つの目標が採択されたのは凄いことだな、と思う反面、それほど地球が危機的な状況なんだ!と衝撃を受けました。SDGsが採択されたことで、「こういう(地球規模の環境)問題に関わっていきたい」と漠然と興味を持つようになっていました。
 大学1年生の時にニューヨークの国連本部で開催されたYouth Assemblyに出席する機会があり、そこでSDGsに関連する活動を行うユース組織であるJYPS(Japan Youth Platform for Sustainability)の日本人の学生と出会いました。その活動に共感と興味を持ち、その組織で広報の仕事をするようになりました。そこでの活動を通して、今度はCYJの中心で運営していた人と出会ったのがきっかけです。CYJの活動を知り、気候変動に関する活動にも興味を持つようになりました。CYJで自分の力を活かせるのではないかと考えるようになり、2018年10月にCYJに活動の場を移し、現在は広報担当としてCYJの組織運営に携わっています。

Q.COP25に参加した経緯と現地での活動について教えてください。
 CYJのメンバーで、COP参加に興味のある人を募ります。その中で、自分の活かせる強みやスキル、どのように会議の場で貢献できるかなどをそれぞれが示してメンバーを選出します。今年は私を含め8名がメンバーに選ばれ、会議に参加しました。私たちはオブザーバーという立場で会議に参加していますので、実際の交渉に参加することはできませんが、会議を傍聴して情報発信することが主な活動になります。私は広報担当として他の派遣員からあがってきた報告をとりまとめてブログとして発信したり、facebookで会場の様子を発信するなど、現地での広報活動の中心を担いました。さらに、メンバーは各国パビリオンで開催されているサイドイベントにも参加しました。私は急きょ友人からの依頼を受けて、中国のパビリオンで各国のユース代表とともにパネリストとして登壇し、既存のユースプラットフォームの問題について発言しました。グレタ・トゥーンベリさんの台頭により気候変動問題において、若い世代の声を聞こうという動きがみられました。私が参加したパネルディスカッションにも中国の国営放送が撮影に入っていましたし、各ブースでユースに関連するイベントが多く行われて、世界各国のマスメディアも注目していました。

COP25 初日(一番左が本人)
COP25 初日(一番左が本人)

Q.会議に参加した感想を聞かせてください。
 会議へ参加する大きな目的の一つは世界各国の若者たちとの横のつながりを作ることでした。国同士は政治的に壁や隔たりがあっても、若い世代のプラットフォームに来ると、若者同士は何の垣根もしがらみもなくお互いの存在を認めて交流できるのが面白くもあるし、感動的だなと感じました。こういった国際会議に若い子たちが参加することは、こういう(垣根を越えて各国の問題や立場を話し合える)ことに意味があるんだなと改めて思いました。
特に今回は、グレタさんの存在により気候変動問題に関する若い世代の動きが活発でした。

  • COP25中国パビリオンでのパネルディスカッション(一番左が本人)
    COP25中国パビリオンでのパネルディスカッション(一番左が本人)

  • COY15 東アジアの若者達とともに(後列右から3番目が本人)
    COY15 東アジアの若者達とともに(後列右から3番目が本人)

Q.英語のコミュニケーションスキルのどのように習得しましたか?
 「英語を使えた方が良い」という親の考えで幼少の頃から英語に触れる環境で育ってきました。そのため、英語を使って何かを伝えることや英語で何かをするということに抵抗がありませんでした。高校生の時には交換留学生に選ばれ、アメリカへ渡り現地の公立高校で勉強しました。小さいときから英語を話す環境で育てられてきたことで、英語でのコミュニケーションのベースが作られました。その子ども時代の環境が、今自分がやりたい活動にちょうどコネクトしていて役に立って良かったなと思います。

Q.プレゼンテーションのスキルはどうやって身につけましたか?
 特別にプレゼンの勉強をしたことはありませんが、普段から、自分の意見ってなんだろう、伝えたいことって何だろうっていう視点で見てみるようにしています。一つのテーマに対して「あなたはどう思うの?」と聞かれたら「私はこう思う、なぜなら…」ということが言えればいいのかな、と。賛成意見があれば反対意見がでることも当たり前なので、批判されることを恐れず、周りに流されることなく自分主体でものを見ることが一番スキルに直結するのかなと思います。プレゼンや議論は、スキル以前に自分がまず何を伝えたいかをはっきりさせているからできることだと思います。

Q.大学の授業で得たことで活動に活かせたことはありますか?
 一般的な高校ではプレゼンテーションをする機会はあまりないですよね。私も日本の高校時代は知識を詰め込むような勉強が多く、英語を話す練習どころかプレゼンをする機会もありませんでした。成城大学へ進学して、特に社会イノベーション学部では英語の必修時間が多く、必ず英語でプレゼンする機会があります。英語での論文を書く機会も多いですし、自分の意見を伝えるということが求められる学部でもあります。授業でプレゼンをすることもたくさんあり、限られた時間内で最大限自分の伝えたいことを伝えるにはどう表現したら伝わるか、構成を考える勉強になりました。また、クラスメイトの発表から、この子のこういうところを真似したい、とかこういう点が改善点じゃないか、と気づけるのも授業の良いところでした。日本語でも英語でも、プレゼンスキルは間違いなく大学の授業で磨くことができたと思います。

Q.これからのCYJの活動やご自身の目標について教えてください。
 CYJでは、これからCOP25の報告会を都内、仙台、福岡などで予定しています。そのための準備を進めているところです。私自身の目標としては、昨年さまざまな国際会議に参加させていただき、その活動を評価していただけたのは嬉しいのですが、ここでこの流れを終わらせたくない、という気持ちが強くあります。自分の後に続くような人にもっと出てきてもらいたい。そのためにも、国際会議で得たこと、見たこと、経験したことを日本の若者に伝えていきたい。気候変動に関する活動を若い子も巻き込んでこの流れを止めないように寄与したいと思っています。
 気候変動の問題にかかわらず、世界で起こっていることのごく一部しか日本のメディアでは報道されません。世界で何が注目されているのか、日本は世界からどう見られているのか、ということを積極的に発信して、日本の若者にワールドワイドな視点を持ってもらうきっかけになれたら、と思います。

藤縄さんの環境問題に関するこれまでの活動と、国際的に活躍した功績を称えて、2019年度の学長賞特別賞が授与されました。

Climate Youth Japanホームページ
https://climateyouthjapan1.wixsite.com/mysite