成城大学

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共通教育研究センター開設10周年記念事業

出版企画

ICT教育再考
—文科系大学におけるICT教育の現状と課題—

共通教育研究センター開設10周年記念シンポジウム「文科系大学におけるICT教育を再考する
—アクティブ・ラーニングの視点から—」をもとにした書籍として、『ICT教育再考—文科系大学におけるICT教育の現状と課題—』が、noa出版から発刊されました。
本書は、大学教育の現場で主に実践的な立場から様々な形で行われてきた情報教育=ICT教育について振り返りながら、現状のICT教育のあり方を再考することを目的に、本センター開設10周年記念シンポジウムに登壇した講演者の方々が執筆されています。

(以下、「まえがき」より)
 大学教育の現場でも、当然のことながら、情報教育、現代風にいえばICT教育が行われてきました。大学の場合、コンピューター技術の専門的な研究や情報科学などの学問が研究される場でもあることから、最先端の情報技術にかんする教育が行われると同時に、コンピューターを活用するための普遍的な教育が、早い段階から行われるようになりました。そして、社会の情報化の名の下に、コンピューターが日常生活にまで普及してくると、特に教育が必要と考えられていた理科系の大学や学部のみならず、文科系の大学や学部でも、就職に必要であるなどの理由で情報教育は広がっていきました。
 このように、社会の情報化が進展するに伴い、「情報社会」に適応するための力を涵養するためにICT教育が必要だということは、様々な形で言われてきました。ただ、ここで言うICT教育も、例えばコンピューターの基本的な操作方法やソフトの操作方法の習得もあれば、プログラミング言語を学ぶものもあるでしょう。あるいは、統計データの解析について学ぶというのもあるでしょう。大学におけるICT教育といえば、このように個別具体的な内容は想像できるかと思われます。しかし、これらのICT教育も、技術の進化や機器の使われ方によって、その目的や内容などは変化しますし、それゆえに常に変革を求められてきました。ただ、ICT教育が変化せざるを得ないとしても、これまでICT教育にかんして、その目的や概念、内容、そして変革する場合の方向性などについて、いわば形而上学的に議論されることは多くなかったのではないでしょうか。特に、文科系の大学では、ICT教育にかんする専門の研究者が必ずしも多くないことから、文科系大学において必要なICT教育は何なのか、何をどこまで必要としているか、といった議論がなされることなく、進化する情報技術や実社会の要請に対して、いわば白紙委任する形で、ICT教育がなされてきたのではないでしょうか。
 本書は、以上のような問題意識をもとに、大学、とりわけ文科系大学におけるICT教育のあり方や位置づけ、内容などについて、改めて問い直すことをテーマとし、このテーマのもとに5人が議論を展開します。

目次


まえがき——文科系大学におけるICT教育を再考する

  • 1章 文科系大学におけるICT教育のあり方をめぐって——何がどのように求められているのか?
    (阿部 勘一)
  • 2章 文科系大学におけるICT教育を再考する——アクティブ・ラーニング(AL)から人工知能(AI)の時代へ(水野 義之)
  • 3章 文科系大学においてICT教育の果たす役割は何か——外国語学部「らしさ」の再検討(千葉 庄寿)
  • 4章 麗澤大学外国語学部におけるコンピュータ利用と情報利活用力に関する状況の変化——7年間にわたる大学初年次生を対象とした調査より(匂坂 智子)
  • 5章 反響しあう狭い世界をこじあけるために——ICT教育とメディア・リテラシーのあいだ(小川 明子)
あとがき

教養教育再考 —これからの教養について語る五つの講義—