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2025.10.08
10月6日、社会イノベーション学部山本匡毅教授による「地域政策論」では、山形県長井市長 内谷重治氏を講師としてお招きし、「長井市のまちづくりについて みんながしあわせに暮らせる長井~ずっと笑顔あふれるまち~」をテーマに講義をしていただきました。
山形県南部にあり人口約2.5万人の小規模都市である長井市。東京芝浦電器などを誘致し、製造業を中心とする企業城下町として発展してきました。近年は企業の撤退や人口減少等、課題が多い中、豊富な天然水や生産量日本一である競技用けん玉といった地域資源を活かして地方創生に取り組んでいます。
今回の講義では、地方の視点から見た世界の情勢、大きな課題である人口減少、そして厳しい現実の中で長井市がどのようなまちづくりを目指しているのかについてお話しいただきました。
現代はグローバル化が著しく進み、地域や国を超えて、経済、社会、政治がお互いに影響を与え合う時代となっています。このため、私たちは地域社会の課題だけでなく、世界の情勢に関心を持ち、世界平和の維持に貢献することが、結果として私たち自身の安心した暮らしにつながることを認識する必要があります。内谷市長は、SDGs(持続可能な開発目標)やカーボンニュートラル(脱炭素化社会)を例に挙げ、これらの地球規模の課題に対して、国、地方自治体、そして国民が一体となって意識を高めて取り組むことの重要性について話しました。また、次世代のことを考え他国と協調的な付き合いをしていく必要性についても語られました。
続いて、日本全体の大きな課題である人口減少に焦点が当てられました。内谷市長は、山形県内の人口は100万人を割るという厳しい現実がある一方で、地方が持つ固有のポテンシャルを上手に活かすことで、若者を地方に呼び込むチャンスがあると話しました。
長井市では、行政運営を市民・企業・団体と連携する地域運営として捉え直し、戦略を持って市の未来ビジョンとグランドデザインの再構築に取り組んでいます。その核となるのが、「スマートシティ長井」の実現です。これは、デジタル技術を活用して地域の課題を解決し、住民の生活の質を向上させる持続可能な都市・地域を目指すものです。具体的な取り組み事例として、買い物弱者のためのスマートストア(無人店舗)の導入、デジタル機器を活用した有害鳥獣対策、脱炭素地域づくりに向けたバイオガス発電等についてご紹介いただきました。
最後に長井市が目指す未来について、子育て支援の充実と、年齢、性別、国籍、宗教に関係なく、多様な人々が互いに支え合うまちづくりの実現を掲げた内谷市長。次世代を担う若者が望む長井市を、一緒につくっていきたいと展望を語りました。
講義後の質疑応答では、「市長になろうと思ったきっかけは何ですか」「市民の協力を得るために工夫したことはありますか」「長井市を良くしていこうと思う原動力は何ですか」といった多くの質問が寄せられ、一つ一つ丁寧にご回答いただきました。
内谷市長は「理想とするまちづくりの実現は、これからの日本の担い手である皆さん、一人一人の手にかかっています。これからも頑張ってください」と学生たちにメッセージを送りました。今回の講義で市長から直接お話を聞いたことは、学生たちにとって、自身が地域の未来を担う一員であるという自覚を持ち、地域の未来・まちづくりについて考える貴重な機会となりました。
山形県長井市長 内谷重治氏
長井市のまちづくりについて講義いただきました
質疑応答では、学生からの質問に一つ一つ丁寧に答えてくださりました
メモを取りながら長井市長の講義を聞く学生たち