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2025.06.04
社会イノベーション学部の専門科目である「イノベーション・マネジメント実践演習」は、企業からイノベーションの現場の最前線で活躍している講師を招聘し、社会にある課題をイノベーションでどう解決するか、社会・経済へのインパクトをどう考えるか等をグループで考察するアクティブ・ラーニング型の授業です。テーマに沿った特別講義・グループワーク・プレゼンテーションという一連の流れを前半・後半で2回行います。
今年度も、昨年に引き続き富士通株式会社のご協力により授業を実施しました。AIや最新技術を応用して医療や健康に関する社会課題を解決することをテーマとし、6人程度のグループに分かれて課題を設定しました。その後、富士通の講師の方からアドバイスをいただきながら課題の解決策を検討し、発表に向けて提案をまとめました。
5月27日に行われた最終発表では、それぞれが設定した課題とそれを解決するためのアイデアについて、既存の製品との差別化や、ユーザーを増やしていくための方法などを含め、具体的な提案が発表されました。
例えば、重複投薬を避けるため、服薬記録や薬への疑問をAIで要約し医師と共有するアプリの提案をしたグループは、診察時における患者と医師のコミュニケーションに重点を置いた設計にすることで、既存の服薬管理アプリとの差別化を図りました。また、高齢者による病院の過剰受診が多いことに注目したグループは、顔認識や音声操作などの機能を搭載した鏡を使って、顔色や声、体温などの健康状態をスクリーニングし、病院を受診すべきか否かの初期判断をする製品「スマートミラー」を提案しました。「スマートミラー」を導入することの懸念点に触れつつ、AIの性能を向上させ、将来的には認知症をはじめ様々な病気の予兆を検知し、早期の治療へつなげていくといった展望も示されました。このほかにも、子育てへの不安や生活習慣病の改善を目的としたアプリ、高齢者の健康と安全を見守る「ヘルスケアリモコン」、健康管理アプリや体内ICチップを使って医療費の負担を軽減するといった独創的なアイデアが発表されました。
それぞれの発表の後には質疑応答や講評の時間があり、学生からは、課題を深掘りする鋭い質問や、より良いものにするための改善案があがり、議論を深めました。
どのグループも分かりやすい資料と説明で、市場性やユーザーのメリット・デメリットまで考えた独自のアイデアを提案し、グループで話し合い丁寧に準備をしたことがよく伝わる発表でした。
6月からは後半の授業が開始され、受講者たちは新たな課題に挑戦していきます。
発表前に最終確認をする学生たち
堂々と発表する学生
客観的データに基づいて課題を提示
独創性のあるアイデアを提案
各発表後は、質疑応答や講評の時間を設けました
提案に対する疑問や改善案があがりました