成城大学

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  • 2025.05.23

    成城大学社会イノベーション学部創設20周年記念 長庚大学との国際協働プログラム「グローバル・イノベーター育成プログラム」を台湾にて開催

 成城大学社会イノベーション学部(学部長:南山浩二)は、創設20周年を記念した特別企画として、台湾・長庚大学との国際協働プログラム「グローバル・イノベーター育成プログラム」を2024年3月に実施しました。本プログラムは、グローバルな課題に関心を持つ学生を対象に、台湾におけるナショナル・イノベーション・システム(NIS)に触れるとともに、英語を通じた国際的なコミュニケーション経験を提供することで、学生のキャリア意識と学習意欲を高めることを目的としています。

 本企画は、社会イノベーション学部教員と長庚大学・簡詩穎(Shih-Ying Chien)先生(インダストリアルデザイン学部助理教授)の協力のもと共同設計され、成城大学からは26名(うち教員2名)、長庚大学からは約10名(うち教員1名)が参加しました。長庚大学は台湾北部に位置する総合大学で、医療・技術・デザイン分野を中心とした高度な教育・研究機関として知られています。

プログラム概要

 本プログラムでは、社会課題の現場に関心を持ち、国際的な視野からイノベーションを捉えたいと願う学生を主な対象に設定しました。特に、台湾のナショナル・イノベーション・システム(NIS)における産官学連携や技術開発、デザイン思考の実践に触れることで、現地の制度・文化・技術を複眼的に理解する力の涵養を目指しました。

 語学力による選抜は行わず、志願理由書をもとに選抜を実施(応募者全員が参加)。参加者は、1年生7名・2年生17名で構成され、学科は政策イノベーション学科から8名、心理社会学科から16名と多様でした。約半数が海外渡航未経験者でしたが、現地での学びや交流に積極的に参加し、文化や価値観の違いに触れることを大いに楽しんでいました。

活動内容(2024年3月12日〜13日)

長庚大学との文化交流&協働ワークショップ

 長庚大学の学生と混成チームを組み、台湾伝統菓子(パイナップルケーキ)とタピオカミルクティー作りを体験。自然な英語でコミュニケーションをとりながら一緒に作業することで、笑い声の絶えないリラックスした雰囲気が生まれ、アイスブレイクとして大きな効果を発揮しました。

夢中になってパイナップルケーキを調理する学生たち。午後のディスカッションを見据え、正方形でナチュラルな一般的なパイナップルケーキとは異なる形や色、デコレーションのついたケーキをデザインしました。
夢中になってパイナップルケーキを調理する学生たち。午後のディスカッションを見据え、正方形でナチュラルな一般的なパイナップルケーキとは異なる形や色、デコレーションのついたケーキをデザインしました。

 午後にはその菓子を題材にした「商品ブランディング演習」を実施。ターゲット選定、ネーミング、ブランドストーリー、マーケティング戦略を英語でディスカッションし、グループワークの成果を発表しました。デザインが得意な長庚大学の学生と、イノベーションを学ぶ成城大学の学生が協働する姿が印象的でした。自分たちが調理したケーキを売るというビジネスの基本、それを工夫を凝らしたパッケージに包むというデザインの基本が融合した学びに、学生たちは深い満足感と、充実した疲労感を覚えたようです。

  • グループワークの様子
    グループワークの様子

  • 英語でのプレゼンテーションにも挑戦
    英語でのプレゼンテーションにも挑戦

優勝チームの記念撮影。食紅や抹茶パウダーなどを使ってカラフルなパイナップルケーキを調理したこのグループは、「ダイバーシティ」をテーマにしたマーケティングを考え、高評価を得ました。
優勝チームの記念撮影。食紅や抹茶パウダーなどを使ってカラフルなパイナップルケーキを調理したこのグループは、「ダイバーシティ」をテーマにしたマーケティングを考え、高評価を得ました。

技術・デザイン機関の見学

 台湾のイノベーション政策の中核機関であるITRI(工業技術研究院)では、バイオテクノロジーやスマート医療、グリーンエネルギーなど多岐にわたる研究開発の成果について説明を受けました。ITRIは台湾経済部の支援のもと、産業界との橋渡し役として世界的に評価されています。

特別にガイド・プログラムを提供してくださいました。台湾がテクノロジーをどう開発し、どう社会課題を解決しようとしているか、最先端の取組をご紹介いただきました。
特別にガイド・プログラムを提供してくださいました。台湾がテクノロジーをどう開発し、どう社会課題を解決しようとしているか、最先端の取組をご紹介いただきました。

 さらにTaiwan Design Research Institute(TDRI)では、デザインを通じた社会課題の解決や、公的サービスの向上に向けた取り組みについて紹介を受けました。展示された数々のプロジェクトは、デザインが単なる美的な要素にとどまらず、生活の質や政策形成に寄与する実践であることを学生たちに印象づけました。

デザイン・ミュージアムで記念撮影。こちらもガイド・プログラムをご用意頂き、台湾で花開きつつあるインダストリアルデザインの最先端に触れてきました。
デザイン・ミュージアムで記念撮影。こちらもガイド・プログラムをご用意頂き、台湾で花開きつつあるインダストリアルデザインの最先端に触れてきました。

 台湾における産官学連携の先進事例に直接触れることで、同国のナショナル・イノベーション・システムの特徴を多角的に理解する機会となりました。

ローカル体験と学生交流

 夜は、長庚大学生が饒河街夜市をガイドし、台湾の食文化を体験。滞在2日目には、両大学の学生が自然に打ち解け、英語を通じた率直な交流が生まれました。

饒河街觀光夜市(台北)にて、成城大学の教員2名が学生に促されて記念撮影。学生たちと一緒に最後の夜を楽しみました。学生と教員の垣根が低いのも、社会イノベーション学部の特徴の一つです。
饒河街觀光夜市(台北)にて、成城大学の教員2名が学生に促されて記念撮影。学生たちと一緒に最後の夜を楽しみました。学生と教員の垣根が低いのも、社会イノベーション学部の特徴の一つです。

おわりに

プログラム後のアンケート(回答率92%)では、次のような高い評価が得られました(5点満点)。

 自由記述では「拙い英語でも伝えようとする気持ちさえ十分にあれば、コミュニケーション出来ることを知り、それがとても私にとって楽しい事だと知る事ができた」「自分の考えを英語にでき英語で気持ちを伝えることは楽しいと実感することができた」、「長庚大学の学生が『言葉は違うけれど、会話して協力できてよかった』と話してくれたことはとても印象的で嬉しかった」などの声が寄せられました。

 本プログラムを通じて、参加学生たちは台湾におけるイノベーションの現場に直接触れ、多様な文化的背景を持つ仲間と協働しながら、自らの視野を広げる貴重な機会を得ました。語学の壁にとらわれず、自ら学び、問い、楽しむ姿勢が随所に見られたことは、社会イノベーション学部が育てようとする「自ら動き、他者と交わり、社会を考える人材像」に深く重なるものでした。

 今後も本学部では、こうした海外実践プログラムを継続的に展開し、学生の挑戦を支える学びの場を広げてまいります。