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  • 2025.05.23

    成城大学社会イノベーション学部20周年記念講演会「伝統を壊してつなぐ地域のイノベーション: 新たな価値の創造」を開催しました

 成城大学社会イノベーション学部では学部創設20周年を記念して、2025年5月16日(金)に「伝統を壊してつなぐ地域のイノベーション: 新たな価値の創造」をテーマとする講演会を開催しました。今回の記念講演では、株式会社 田谷漆器店代表で漆器プロデューサーの田谷 昂大(たや たかひろ)氏と、株式会社 ウテナ銘酒代表で醸造家・天文学者である松岡 健太(まつおか けんた)氏のお二人を講師としてお招きしました。
 今日のビジネス環境では、イノベーションによる革新が求められる一方で、地域文化の創生や伝統の継承を通じて持続可能なビジネスモデルを構築することが重要とされています。そのためには、単に地元の特産物や伝統工芸を取り入れた新たな商品開発を行えばよいというわけではなく、新たな視点を取り入れつつ、そのうえで地域の特性や歴史を活かした商品やサービスを提供することが必要となります。
 以上について、まず田谷氏からは能登半島で200年以上にも渡って続いてきた輪島塗の塗師屋(ぬしや)としての取り組みをご紹介いただきました。そこでは伝統は伝統のままでよいが、それでもゆっくりとした、しかし新たな価値を付与するための事業を通じて、(2024年1月1日に震災による被害を受けた)能登の復興と共に漆器文化をいかにして発展・継承していく道を切り拓いていくべきであるかということが、熱意をこめて語られました。もう一方の松岡氏は、イタリアのフィレンツェにて、超巨大ブラックホールの学術研究をされていた経歴をお持ちの天文学者です。そうしたバックグラウンドを有しながらも、地元の愛媛県松山市にて酒造業を開業するに至った経緯や事業の展開について、緻密でありながらもロマンと好奇心にあふれた体験談をお話しいただきました。
 いずれも一企業の経営という視点を超えて、いかにして地域に新たな価値とそれに基づく文化を根付かせるかという、まさに「社会イノベーション」についての素晴らしい講演でした。講演後の質疑応答のセッションでは、社会イノベーション学部教員、大学院生、学部生から数多くの質問や感想が寄せられ、大変好評のうちに講演会が終了しました。
 また、お二人には講演会に先立ち、本学部の1年生向けの科目として開講されている「イノベーション概論[a](戦略領域回 担当:遠藤健哉 教授)」にもゲスト講師としてご登壇いただきました。そこでは、両氏がそれぞれの事業活動において大切にしている経営戦略とそれを実現するためのイノベーションの取り組み、そしてそれらの背後にある狙いなどが語られました。履修者の中からはイノベーションに関する鋭い質問や、経営のためのユニークな提案があり、これから学びを深めていくことになる学生にとって、大きな刺激となったようです。

  • 南山 浩二 教授(社会イノベーション学部長、写真左)による開催のあいさつ
    南山 浩二 教授(社会イノベーション学部長、写真左)による開催のあいさつ

  • 記念講演の様子(中央スクーン前 左より、稲垣佑典 准教授、松岡健太 氏、田谷昂大 氏、山本敦久 教授)
    記念講演の様子(中央スクーン前 左より、稲垣佑典 准教授、松岡健太 氏、田谷昂大 氏、山本敦久 教授)

「イノベーション概論[a]」にて講義する田谷氏(左)と松岡氏(右)
「イノベーション概論[a]」にて講義する田谷氏(左)と松岡氏(右)