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2025.09.01
2025年6月21日(土)14時より、成城大学文芸学部では、創設70周年記念事業の一環として、小田急電鉄株式会社のご協力のもと、「鉄道利用時のマナーから危機対応まで — 社会科学から学ぶ減災アクション」と題するイベントを開催しました。
本企画は、文芸学部マスコミュニケーション学科の山内香奈准教授が企画・進行を担当し、二部構成で実施されました。
第1部:「鉄道マナー・危機対応セミナー」
第1部では、日本女子大学の田中大介教授、関西大学の元吉忠寛教授、公益財団法人鉄道総合技術研究所・安全心理研究室長の村越暁子氏の3名を講師にお迎えし、それぞれの専門的な立場から講演をいただきました。
人には「これ以上近づかれると不快だ」と感じる“パーソナルスペース”と呼ばれる心理的・物理的距離がありますが、都市部の混雑した車内では、それを保つことが難しくなります。こうした状況下では、他者の存在をできるだけ目立たせないようにする“暗黙のマナー”が働く一方で、それがかえって緊急事態への気づきを遅らせたり、助け合いを難しくしたりする場合もあります。
講演では、2018年の大阪府北部地震の事例などをもとに、このような「暗黙のルール」を乗り越え、非常時において適切な行動をとるための心理的・情報環境的な工夫の重要性が紹介されました。
田中 大介 教授
元吉 忠寛 教授
村越 暁子 氏
登壇者討論の様子
第2部:「成城大学×小田急電鉄ワークショップ」
第2部では、山内ゼミナールと小田急電鉄が共同で作成した乗客向け啓発教材を活用した、体験型のワークショップが行われました。まず、小田急電鉄の早川課長より、今回のコラボレーションの企画の趣旨や意義についてお話しいただきました。続いて、山内ゼミナールの学生たちが、教材の狙いや工夫した点について発表し、来場者と直接対話しながら内容の紹介を行いました。
また、参加者には教材映像の視聴やクイズへの参加、車内の非常装置に実際に触れる体験などを通して、緊急時における基本的な対応行動について理解を深めていただきました。各コーナーでは、来場者が熱心に取り組む様子が見られ、安全に対する意識を高めるきっかけとなったものと思われます。
第2部講演の様子
多くの方にご参加いただき、鉄道という身近な空間におけるリスクとその備えについて、社会科学の視点から改めて考える機会となりました。また、別会場(3号館学生ホール)では親子に非常ボタンに触れていただく体験イベントを開催、小田急電鉄の子育て応援マスコットキャラクター「もころん」も登場し、来場者特にお子さまとふれあう機会は好評でした。ご来場いただいた皆さま、ならびに本イベントの開催にご協力いただいた関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。
非常停止ボタン模擬装置
踏切非常ボタン模擬装置
別室での模擬装置体験、山内ゼミナール学生作成の動画上映の様子
小田急電鉄もころんと小さなお子さんが交流しました