水澤 祐美子 准教授「英語学基礎ゼミナール」
-トランプの活用を通して、学生同士の活発な対話を生む授業-
氏 名:水澤 祐美子(みずさわ ゆみこ)
所 属:文芸学部
職 名:准教授
専門分野:社会言語学・英語教育
対象者:文芸学部英文学科1年生
授業形態:ゼミナール
実施学期:2018年度通年
履修者数:27 名
※ページ内のpoint!は授業のポイントです
授業内容と取材当日の授業状況について
本授業は、文芸学部英文学科1年生の必修科目であり、3年生に始まるゼミナールの三本柱となる「英語学」「英語文学」「英語文化」を選択する前段階として、各分野への興味・関心を広げ、基礎を固める役目を持った科目である。授業の到達目標は、英語学の中核的分野(音声学・音韻論・形態論・統語論・意味論)と関連領域(英語史・語用論・社会言語学・心理言語学・応用言語学など)について、幅広い専門的知識を理解することを目標とし、さらに、英語学の議論の仕方を修得することも挙げられている。
取材当日(2018年12月18日)の授業は、以下の流れで進められた。
毎回、授業開始の際にはトランプを使用してグループ分けを行い、グループごとに座って授業を受けてもらうスタイルで進められている。今回はプレゼンテーション実施日であり、すでにグループに分かれて着席した状態から授業が始められた。
プレゼンテーションは3つのグループが行い、「アメリカ英語」「シンガポール英語」「オーストラリア英語」をテーマとして順番に発表を行っていた。各発表内容は、構文、音韻、語彙等、多岐にわたり、各グループで話し合って調べた結果がPower Pointにまとめられて発表されていた。発表方法は、グループのメンバーが1人ずつ順番で発表し、全員が必ず発表者になるように設定されていた。また、発表を聞く側は「評価シート」に各発表者の評価を記入しながら聞く流れで進められていた。そのため、教室にいる全員が発表に集中して聞き入る環境が整えられていた。
プレゼンテーション終了後、オーストラリア人のゲストスピーカーから、実生活におけるオーストラリア英語について、英語でスピーチが行われた。生きた英語に触れ、学生たちの表情はとても輝いており、授業終了後にもゲストスピーカーに質問する姿が多くみられた。
教員インタビュー(Q&A)
Q.授業のポイントを教えてください。
A. 授業ではトランプを活用しています。授業ごとにトランプを使ってグループ作りを行い、座席を移動してもらうところから始めます。毎回グループ作りを行うと必然的にクラス全員と知り合うことになり、その結果、授業中の“ピアプレッシャー”もなくなりますから、学生たちがのびのびと授業を受けられるようになります。授業中に発言を促す際にトランプを使用する時もありますよ。 いつ自分が当たるか、学生たちはハラハラするようですが、クラス全員と顔見知りの環境でもあるので、臆せず、安心した気持ちで発言をしてくれています。発言後はトランプを戻すので、またすぐに当たる可能性があります。授業中に油断せず、集中して取り組んでもらうための工夫でもあります。
Q.通常の授業の流れについて教えてください。
A. トランプを活用して、席替えをした後机を動かすことはせずにグループ作業を行ってもらいます。テキストの該当ページを事前の授業で伝えておき、学生たちには時間外学習でテキストを要約してきてもらっています。授業当日にはグループで答え合わせをする、という流れです。
私の授業準備は、テキストの内容に合わせて理解を促せるよう、身近な事例やプリントを準備して持って行くことです。
本授業は、1年次必修である「英語学」「英語文学」「英語文化」の基礎ゼミナールのうちの1つであり、3年次のゼミ選択に向けての知的好奇心を育てるための授業であるため、私自身が一方的に話すだけではなく、学生主体で話し合ってもらうことを意識しています。
Q. 今回のプレゼンテーション準備については、どのような指導を行われたのですか?
A. グループ分けは2週間前に行い、各グループが担当するテーマについてもトランプを使って決めました。資料探しについては、現在はインターネットで何でも調べることができますが、参考にすべき本を紹介し、必ず本の情報を基にしてほしいという点、図書館を利用してほしいという点を伝えました。内容については特に細かく伝えてはいませんが、これまで受講した授業内容を踏まえて、学生たちが自ら考えてくれました。発表を聞く側が記入する「評価シート」については、自分の発表準備に没頭して他の人の発表を聞かない、といった人が出ないように、という考えと、発表者のいい点を見つけ、自らの発表にも活かしてほしいという考えがあって実施しました。
Q. 学生への期待を教えてください。
A. 視野を広げてほしいと思っています。日本文化にも触れ、英語に対する各自の考えも持ち、日本に留まらず、ぜひ活躍の場を海外にも広げてほしいと思っています。
学生インタビュー(Q&A)
Q. この授業のよいところは何ですか?
A. グループで授業を受けられるところです!授業ごとにトランプを使用してグループを組むので、毎回違う人とグループを組むことになり、結果的にクラス全員と知り合うことができました。この結果、今ではみんなと協力したり、補い合ったりしながら授業を受けることができています。水澤先生は包み込むような優しさがありつつも、メリハリを持って授業を進めてくれるので、安心して授業が受けられます!
Q. 印象に残った授業はありますか?
A. イギリスの方言に関する授業で、水澤先生が地図を配って説明をしてくれましたが、その際に、イギリスの国旗の成り立ち、歴史的背景も教えてくれました。こうした先生の配慮が、英語学にとどまらないよう、学生の興味を広げてくれるような授業につながっているのだと思います。
Q. 今回のプレゼンテーションの準備等を教えてください。
A. 前期にも一度プレゼンテーションがありましたが、Power Pointを作成して発表するのは今回が初めてでした。グループのメンバーで、休み時間や空き時間に学生ホール等に集まり、資料作成を進めました。
Q. 他学生へのメッセージがあれば教えてください。
A. 水澤先生の授業はとてもおススメです!授業で教えてもらった知識が他の授業にも応用できたり、英語圏の歴史的な背景や、英語学だけではない知識も豊富なので、いろいろ教えてくれますよ!
授業の流れ
①連絡事項(通常は席替えも行う)〈5分〉
(2)プレゼンテーション〈20分×3チーム〉
③ゲストスピーカーの登壇〈20分〉
④連絡事項〈5分〉