宮﨑 修多 教授 「素読Ⅲ<漢文>」
"身体を使った"朗読と暗誦
氏 名:宮﨑 修多(みやざき しゅうた)
所 属:文芸学部 国文学科
職 名:教授
専門分野:近世国文学、江戸~明治前期の文芸思潮と人物研究
対象者:1年次(文芸学部国文学科)
授業形態:演習
実施学期:2016年度後期
履修者数:31名
古典や近代の名文の音読・暗誦を中心とする授業。江戸時代の学問においては基礎であり、今日もその有効性が論じられている。文芸学部国文学科においては、学科開設科目を「素読(1 年次)・講読(2 ~ 3 年次)・会読(4 年次)」と位置づけ、基礎的教育から専門的研究までの段階的な成長が促せることを目標としている。
※ページ内のpoint!は授業のポイントです
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授業内容と取材当日の授業状況について
文芸学部国文学科の1 年次に開設された必修の授業であり、授業の主な目的は、日本人に親しまれた『論語』の有名な章を訓読という形で朗読し、暗記することで、漢文特有の句法、口調を体得することである。これらの経験を通して、漢文の訓読体に自然と慣れることを到達目標とされている。
授業の方法としては、事前に学生に割り振りを決め、授業当日までにいくつかの注釈書を使って担当部分の注釈を作成し、授業に臨んでもらう形式である。授業当日は、学生が全員に向けて自分なりに考えた注釈を説明し、全員で意味の理解を進めていく、という流れである。朗読・暗誦時は、「正しい姿勢(背筋を伸ばす)」、「大きな声」で行う、という点を繰り返し指導していたことが印象的であった。学生の発表時は、宮﨑先生から学生に問いかけを行う形式であり、その間、机間巡視も多く見られた。
教員インタビュー(Q&A)
Q. 授業のポイントを教えてください。
A. 『論語』の句を暗誦して朗読することが一番のポイントであると考えています。文法よりも口調、内容に親しむことを重視しています。 暗記したことを声に出して正確・明晰・流暢に読む。さらに、作品の価値・特性を音声で表現することを意味する。
論語の雰囲気を肌で感じてほしいので、文字から離れ、アタマを使わずにカラダを使って漢文を体感できるよう、学生に繰り返し指導しています。
なお、漢文法を学習したい学生には、別途授業を開設しているので(「漢文」)、そちらの履修をお勧めします。
定期試験についても『論語』の句を暗誦して朗読する試験を課したいところですが、必修科目で履修人数も多いため、定期試験は筆記試験としています。授業で扱った句の訓読を書かせる、学生自身の気に入った句を選んで記述させる等の問題を取り入れています。
用語説明②
暗誦・朗読
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Q. 授業準備の詳細を教えてください。
A. 配付用のプリント作成が主な準備です。授業で取り扱う内容は、『論語』の中でも日本文学によく出てくるトピックスを中心に選ぶため、中国古典ではなく、日本人がどのように読んできたか(訓読)という視点を重視するようにしています。
Q. 学生授業評価アンケートの活用方法について教えてください。
A. 活用はしていません。授業での学生とのフェイストゥフェイスの対話を重視しているためです。成城大学の規模を考えると、アンケートは匿名ではなく、記名式にしてはどうかと感じているほどです。匿名では、せっかくの師弟のコミュニケーションの機会を奪っているように思うからです。
Q. 学生への期待を教えてください。
A. 「調べることとは、誰かが調べたことを調べるわけではない」。『論語』の解釈については、今なお解明されていない部分があるため、古典の世界はまだまだ未開拓といえます。学生自身が調べることで新しい解釈を発見できる可能性があるのです。新しい解釈を見つけたら授業中にぜひ紹介してもらいたいですし、多くの文献を読み、自論を展開するような学生になってもらいたい。そして、訓読にも慣れてもらいたいです。
学生インタビュー(Q&A)
Q. この授業のよいところは?
Q. 履修前後で自分の中に生じた変化はありますか?
Q. 授業を通して記憶に残ったことはありますか?
Q. 先生へのメッセージがあれば教えてください
取材当日(2016年11月14日)の授業は、下記の流れで進められた。
①出席確認(名簿読み上げ)
②配付プリントを基に担当箇所割り振り
③前回授業の復習(朗読・暗誦、ポイント解説):「正しい姿勢(背筋を伸ばす)」、「大きな声」で朗読・暗誦を行うことを指導。
④配付プリントを基に講義:該当箇所の句を担当学生に訳してもらい、その解釈について教員が指導を行う。