久保田 達也 准教授 「基礎ゼミナール(戦略)」
— 学生どうしの対話を主とした手法 —
氏 名:久保田 達也(くぼた たつや)
所 属:社会イノベーション学部 政策イノベーション学科
職 名:准教授
専門分野:イノベーション・マネジメント、新製品開発論、経営戦略論
対象者:2 年次(社会イノベーション学部)
授業形態:ゼミナール
実施学期:2016 年度後期
履修者数:17 名
※ページ内のpoint!は授業のポイントです
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授業内容と取材当日の授業状況について
授業の主な目的は、経営戦略についての知識を深く理解するとともに、自分の主張を他者にわかりやすく説得的に伝えるための基本能力(読む・調べる・書く・話す能力)を学生に身につけてもらう、とのことである。毎回の授業は、経営戦略論の文献を輪読しながら、その理論や考え方が実際の企業や製品にどのように応用できるか、戦略を策定する上でのポイントは何かを全員で議論し、その後はグループに分かれて実際の企業を対象にした戦略分析を行う、という流れで行われる。
毎回、学生たちを「発表グループ」と「議論グループ」に分け、発表グループの学生が文献の担当部分の発表を行い、議論グループが授業中に全員で行うグループワークの議論テーマを決め、当日の発表時に提案している。 グループ発表において、発表者にあいまいな点があった場合には、久保田先生が「なぜそう考えたのか?」「他の言葉で言い換えるとどうなるか?」などと質問を繰り返し、“対話”を通じて学生自身に自分の考えを整理させ、より深い思考に導いていることが印象的であった。
教員インタビュー(Q&A)
Q. 授業のポイントを教えてください。
A. 経営学や戦略にいかに興味を持ってもらうか、という点を常に考慮し、実際の現象を知ってもらうこと、教員が分かりやすい説明をすること、等を重視しています。学生にとっては、他の授業や他の学問領域との関係性が明確になると全体図がわかりやすいようなので、それらとの関係を明確にしながら説明することを心がけています。 本学の教員・学生向けの学習サポートシステム。 授業と宿題の役割を「反転」させた授業形態。授業時間外にデジタル教材等により知識習得を済ませ、教室では知識確認や問題解決学習を行う。
文献の輪読については、ゼミのメンバーそれぞれに役割を与えています。本の内容を発表するグループ、議論テーマを決定するグループ、納得できなかったことや疑問点をWebClassにアップする人、等に担当を分けることで、全員が課題に取り組めるようにしています。発表グループ・議論グループの学生たちには授業時間外にグループで集まってもらい、課題を進めてもらいます。その他の学生にも文献の中で疑問に思ったことや、発表グループに質問したいことをあらかじめWebClass にアップしてもらっています。WebClass にアップされた内容は私がまとめ、授業前にWebClass 内で全員に配付しています。そうすることで、授業当日にはすでに学生たちが各々の考えを持って授業に挑むので、効率的にディスカッションを進めることができています。
用語説明①
WebClass
授業の補助教材や小テスト、レポート提出等に使用できる。
×
用語説明②
反転授業
×
Q. 学生同士が打ち解ける秘策はありますか?
A. 開講時、名前をどう呼ばれたいのか、いわゆるあだ名を学生それぞれに聞くようにしています。学生同士も打ち解け、教員との距離も近くなると思います。
Q. 学生の発表に対し、教員が質問するときの注意点はありますか?
A. 学生本人の中であいまいになっていたり、まとまっていない考えを、きちんと言葉で表現できるように誘導することを重視しています。考えた道筋や理由を自分の言葉で説明できることが重要であり、分かっているつもりでも、実際には分かっていないということが往々にしてあるからです。「なぜ?」を考えるクセをつけておくことは、批判的思考をする上でも役立ちます。
また、議論のテーマを学生が決めていることについても、議論しやすいテーマや議論に必要な材料を学生自身で考えてもらいたいので、このように決めました。この授業を通して、学生に自分自身で考える力をつけてほしいと思っています。
Q. 学生への期待はありますか?
A. グループワークや予習・復習など、日々の時間をもっと勉強に充ててほしいと思っています。将来のためになりますから。
ただ、通常の講義で時々アンケートをとると、「もっと課題を出してほしい」「もっと発言したい」といったコメントが少なからず出てくるので、自分の学生時代と比べると、学生は意欲的だと感心しています。授業に積極的に参加する姿勢は、今後も継続して欲しいです。
学生インタビュー(Q&A)
Q. この授業のよいところは?
Q. 履修前後で自分の中に生じた変化はありますか?
Q. 授業時間外でのグループの集まり方は?
Q. 授業準備に充てるのはどれくらいの時間?
取材当日(2016年11月9日)の授業は、下記の流れで進められた。
①グループ発表(20分):発表グループが文献(テキスト)の担当部分を事前に作成したパワーポイントをもとに発表。
②質疑応答(15分):
③グループワーク(15分):議論グループから提案された「新形態のコンビニエンスストア」という議題について、4つのグループに分かれて話し合う。
④各グループの意見発表と全員でのディスカッション(20分):
⑤事例や理論の紹介・説明(20分):文献の内容に関連する事例や理論を教員が説明し、議論をまとめる。次回の課題も提示。