
村瀬 鋼 教授「ヨーロッパの思想演習Ⅱ b <仏>」
仏語の哲学の文章を通じて読解力・思考力等が身に付く授業

氏 名 :村瀬 鋼(むらせ こう)
所 属 :文芸学部
職 名 :教授
専門分野:哲学、倫理学
対象者 :文芸学部 3・4年生
授業形態 :演習
単位数 :2単位
履修者数 :25名
【特に活用しているツール】
・教科書『フランス語で読む哲学22選』
・ネイティブによるフランス語音声
・WebClass
・小レポート
【授業運営のキーワード】
①仏語で読む哲学
②フランス思想の知識と理解
③読解力・思考力・表現力
【授業時間外の学習】(シラバスより抜粋)
予習2時間(テクストの下読み)、復習2時間(テクスト内容の再確認、小レポートの作成)等。報告担当の際には資料作成等の準備に別途相応の時間を使う。
【成績評価の基準と方法】(シラバスより抜粋)
小テスト 30%
小レポート 39%
その他(報告担当) 31%
授業内容(シラバスより抜粋)
フランス語初級以上の既修者を対象とした授業。教員からの基礎的な導入を受けて、19~ 20世紀にフランス語で書かれた著名作家たちのごく短い哲学的な文章を各回一つずつ講読する。履修者による報告と討論を中心に進め、フランス思想およびフランス語読解に関する一定の知識と理解、哲学的話題に即した一定の思考力を身につけてもらう。
到達目標(シラバスより抜粋)
1)フランス思想に関する知識と理解の面で、19~20世紀のフランスの哲学的思考について、ある程度の理解を以て語ることができるようになる。
2)フランス語の哲学の文章に慣れ、辞書を用いて初見の文章を解読できるようになる。
3)文章の多様な話題のなかから、自分なりに重要な事柄を選択的に見て取りそれを表現できるようになる(読解力・思考力・表現力一般)。
取材当日の様子(12月2日)

毎回、フランスの著名な思想家の仏語を読む授業であり、取材当日はボーヴォワールという思想家の「第二の性」をテーマに進行した。
授業の開始時には、前回授業において受講学生から提出されたコメントシートに対し、村瀬先生からフィードバックが行われ、前回のテーマであったメルロ= ポンティの思想である「両義性の哲学」について、板書とともに解説が行われた。人間の存在や世界には、はっきり分けられない曖昧さ(両義性)を本質としていることや、世界も自分も固定的ではなく、相互作用のなかで成り立っていることなど、解説図とともに説明があったことで、受講学生にとっては復習の時間となり、熱心に聞き入る姿が見られた。
その後、本講義の教科書である『フランス語で読む哲学22選』を使用し、本日のテーマに入った。教科書には、各思想家の短い原文が解説つきでまとめられており、毎回1 人の思想家を取り上げて授業が進行していく。今回のテーマとなる思想家ボーヴォワールの紹介と彼女らを取り巻く世の中について、村瀬先生からの説明が行われた後、ボーヴォワールの思想について具体的な解説が行われた。現代社会において、ジェンダーに関する課題は広く関心を集めているが、19~ 20世紀に活躍したボーヴォワールの思想は、このジェンダーに関する先進的な考えと捉えることができるとの説明があった。

解説の後、教科書の原文が音声で流れ、全員で真剣に聞き入り、いよいよ受講学生からの発表時間となった。
発表者は2名であり、各自がレジュメを印刷して持参し、他の受講学生に配付していた。発表は、それぞれが担当している範囲の仏語を音読し、和訳に加え、自分なりに考えた考察を紹介するという流れで行われた。各発表に対し、村瀬先生から単語の確認や文法の解説、よく出る仏語のフレーズ、細かな言葉のニュアンスの違い等が紹介された。仏語で書かれた19~20世紀の哲学の文章を購読するという経験を通じ、読解力・思考力等に加え、当時のフランス文化や思想についても知識を身につけることができる授業であるといえる。
教員インタビュー(Q&A)
Q. 授業準備の詳細について教えてください。
A. 各回の授業で報告者(2名程度)を割り当てています。遅くとも前日までにはWebClass を通じて報告資料(レジュメ、ハンドアウト)を提出してもらい、必要に応じて修正やコメントなどのフィードバックをしています。
Q. 授業のポイントを教えてください。
A. フランスの著名な思想家たちの仏語の文章を講読する授業です。各思想家の短い原文を簡単な解説つきでまとめた教科書『フランス語で読む哲学22 選』を用い、各回、一つの文章を講読します。各回2名前後の履修者が報告を担当し、その回の課題文の訳と主旨とを報告します。それを受けて教員が解説を行います。
ポイントをまとめると、以下の3点です。
1) 内容が濃く読解力を必要とする仏語原典の文章を通じ、フランス思想に馴染みながら思考力・理解力を向上させる。
2) 独習では理解困難なフランス思想の重要な内容を履修者に理解させるため、できるだけ噛み砕いて説明する。
3) 毎回小レポートを課し、翌週の授業でフィードバックするという双方向性を採り入れることで、学生の興味と学習との深まりを促す。
Q. 授業での学生との関わり方について教えてください。
A. 報告者の報告に対し、適宜コメントや質問を挟んでやり取りをするのが主要な関わりです。学生間の活発な意見交換が増えるような授業展開にすることが、今後の課題だと考えています。
Q. 学生への期待を教えてください。
A. 与えられた文章を自分でちゃんと読み、自分の頭で考え、自分の言葉で文章を書き、また報告・発表してほしいと願っています。このことで身につく理解力・思考力・表現力は社会で自分の足で生きていくために必要かつ十分な能力で、必ず役立ちます!
AIの使用は禁止していませんが、適切に使用することが肝心。今後のAI との付き合い方は教育にとっても重大な課題です。
学生インタビュー(Q&A)
Q. この授業を履修したきっかけは何ですか?
A. 前年度に村瀬先生の授業を受けていましたし、哲学にも興味があったので受講を決めました!この授業はヨーロッパ文化学科の選択必修の授業でもあります。
A. 最初は哲学に関心はありませんでしたが、前年度に村瀬先生の授業を履修してから哲学に関心を持つようになり、受講することにしました。
Q. この授業のよいところはどんなところですか?
A. 内容は難しいけど、発表の際には、事前提出したレジュメに先生がアドバイスをくれるので、安心して発表に挑めます。
A. 毎回1人の哲学者を取り上げ、じっくり幅広く基礎を学べると思います。フランス語の音声を聞いた後に学生の発表、最後に村瀬先生による解説という流れなので、理解しやすいです。
Q. 授業での報告(発表)の準備はどのように進めましたか?
A. 報告は1回の授業で50分間、2名ほどで担当します。教科書の見開き2ページについて、文章のピリオドごとにペアで交互に発表しました。フランス語から日本語に訳するだけではなく、哲学としての訳もあるので、難しい部分がありました。発表時の村瀬先生からの質問に答える時は緊張します。
インタビューは文芸学部ヨーロッパ文化学科3年生(取材当時)の学生さんにご回答いただきました。