
阿部 勘一 教授「WRD2」
緻密に設計されたグループワークを通して大学での「学び」を涵養する

氏 名 :阿部 勘一(あべ かんいち)
所 属 :経済学部
職 名 :教授
専門分野:社会経済学・現代社会論
対象者 :経法社1-4
授業形態 :演習
単位数 :4単位
履修者数 :25名
本記事は、成城大学ピアサポーター広報部の学生が授業取材を通じて作成しました。
【特に活用しているツール】
・WebClass
・Google ドキュメント
【授業運営のキーワード】
①大学での主体的な「学び」
②グループワークによる場作り
③ピアチューターによる授業サポート(ファシリテーション)
【授業時間外の学習】(シラバスより抜粋)
授業で扱う時間がとれないスキル(方法・やり方)に関する学習内容、課題をWebClass を用いて授業時間外に学修する。
授業で扱う内容を事前に読んでおく。
【成績評価の基準と方法】(シラバスより抜粋)
平常点(授業への参加度) 60%
小レポート 40%
※授業への参加度は,グループワーク等での課題への取り組み姿勢、授業での発言回数等が評価対象。
授業内容(シラバスより抜粋)
この授業では,特に「書く」「話す」ことを中心にして、文章を「読む」ことや、読んだり書いたりしたことについて、他人と「議論」する方法について、実践的に学びます。そして、これらの実践を通して、「思考する」ことの大切さと「思考する」ことの訓練をしていきます。
到達目標(シラバスより抜粋)
高校までの教育によって「作られた自分」から,自分で考え「作る自分」になること、学問をする主体=大学生とはどのようなものであるのかを理解できるようになること、自分(達)で決めたテーマについて思考し、その成果を口頭で発表したり,自分自身の力で論文を書いてまとめられるようになること。
取材当日の様子(12月2日)
※チャイム前に机の移動
10:40 ~ 10:45 出欠
— いつもはここにグループ毎のフリートークが10分設けられる(取材当日は割愛)
10:45 ~ 11:00 前回の振り返り、グループワーク
11:00 ~ 11:05 本日のテーマ
11:05 ~ 11:10 次回授業テーマの紹介
11:10 ~ 12:10 講義(テーマの例文、実際の文章を提示してのグループワークの進め方)、個人グループワーク

この日は、先生が事前に決めたグループに分かれて授業が始まった。グループワークは、論ずる文章を書くために必要な要素を学ぶことを目的とし、先生が出した問いに対してあらかじめ課題として各自で取り組んだ文章を元に展開される。スクリーンにひとりの受講生の文章が取り上げられ、それに対して他の受講生がGoogleドキュメント上で文の構造を色分けしながら、良い点や改善できそうな部分があるかグループ単位で考えていく。各自が課題として取り組んだ文章や資料の配布プリントはドライブで共有されており、受講生全員が全員の文章を見ることができる。これにより複数パターンの回答を知ることができ、より説得力のある文章を書いていくためにはどこを修正していくと良いのか、どのような工夫をしたら自分の主張を書くときに効果的にできるのかということを客観視しながら考えられる環境が整っていた。
事前に各自で課題に取り組み文章を作成してくる。その上で授業において同じテーマで書かれた他者の文章を参考に「よい点」や改善点をグループで話し合うことによって、主体的に取り組むことの大切さを知ることができる流れが作られていると感じた。グループワークで取り組むことによって発言しやすい空気が生まれ、先生から提示されたポイントをおさえた文章が書けている際は、グループ内で賞賛を送り合う場面も見られた。資料を読む時や先生の講義を聞くときは静かに落ち着いた空気が流れ、メリハリをつけながらも終始なごやかに授業が進んでいる様子が印象的であった。

授業サポートを行うピアチューターは、ファシリテーターとして、自分自身で資料を確認し、各班を観察しながら適所を見極め話しかけていた。受講生同士が自主的・主体的に、円滑に話を進められるように心がけているということが伝わってきた。
グループワークで学ぶ中で自分の意見に固執することなく、他の人の意見を知った上で自分で考える能力を身につけられる形で授業が展開されている。
また、事前課題の問いがYESやNOの先の視点から考えられるようになっていたり、先生が授業の中で何度も主体的に取り組む際のポイントを声掛けしたりと、受講生がこの授業を通して、大学での「学び」を身に付けられるよう工夫されていた。
教員インタビュー(Q&A)
Q. 授業のポイントを教えてください。
A. 大学での「学び」を身に付けてもらう授業です。前期は思考力の養成、後期は文章作成と添削を通して「書く」力を身に付けます。
授業はグループワークを中心に進めています。教えられたことを理解するという授業ではなく、学生自身が自分たちの持っている知識や知恵の中で主体的に考え、話し合い、学び合うことを通して、「書く」「読む」「議論する」スキルを身に付けることを授業の目的としています。
事前課題を前提に、授業中に一人一人が課題に対する自分の考えを書き、各自が書いた内容をGoogleドキュメントで共有し、グループ内でレビューし合う、というフリーライダーが生まれない流れを作っています。
Q. 授業での学生との関わり方について教えてください。
A. 授業において教員は黒子です。学生の主体的な学びを促す役割を担っているため、グループワークやディスカッションが滞らないよう学生の文章添削や個別指導等で補完したり、教材を学生の身近な話題を中心に選ぶことで学生が経験から考えられるようにしています。
授業中のグループへの参加状況、課題の進捗は教員が管理しています。
教員が授業全体の状況を把握し、常に進行方法やルールの見直しを行うことで学生の積極的参加を促進しています。
Q. 学生への期待を教えてください。
A. 教わったことを真似する、吸収する、消化する、ではなく「身に付ける」学びをしてほしいです。
課題に取り組み、教員からの技術的指導も取り入れ自分で考える。それを元に学生同士で意見交換し更に考える。それを繰り返す事で読む力、書く力、考える力を、スポーツや楽器演奏を身に付けるように体に染み込ませ、自分で自在に使えるようになってほしいと思います。
学生インタビュー(Q&A)
Q. この授業を履修したきっかけは何ですか?
A. グループワークがあるということで、交友関係を広められるというのと、成績評価の中で「授業への参加度」の割合が高いというところで選びました。
A. 文章を書くことが苦手なので、この授業で文章を読む力や書く力をつけたいと思ったからです。WRDにもいろいろありますが、先輩達から聞いていた評判が良かったので阿部先生の授業を選びました。
Q. この授業のよいところはどんなところですか?
A. 先生が悪いものはちゃんと悪いと言うし、良いところはちゃんと褒めてくれるのがいいです!以前、先生が一人ずつ文章を添削してアドバイス等くれたことがあって、結構ズバズバ厳しく添削してもらいました。
A. 学生同士で意見を交わしながら答えを探っていくため、「自分で考える」力が自然と身に付きます。他の授業にはないほどグループワークが充実していて、より協働して学ぶ心地よさや、仲間のつながりが強いところが魅力だと思います。
先生へのメッセージをお願いします。
A. 授業の冒頭にある10 分間フリートークが、クラスの雰囲気を明るくし、学生同士の距離を自然に近づけてくれるきっかけになっています。また、文章の組み立て方や考えの整理の仕方を丁寧に教えてくださるおかげで自分の表現力が確実に伸びていると感じています。
いつも有意義な学びをありがとうございます。
インタビューは3名の学生さんに回答いただきました。
授業カタログ取材を行ったピアサポーターの感想
授業カタログの取材を通して、他の講義と比べて特徴的な授業の内容だけでなく、先生がどのような意図や狙いをもって授業を組み立てているのかを知ることができました。また、学生への取材では、受講者だからこそ感じる授業の魅力や学びを聞くことができました。担当者同士で手分けして仕上げたこの授業カタログが、読んでいただいた皆さんの参考になれば嬉しいです。
ピアサポーター 岩崎、竹村、久保、中井