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  • 2017.03.06

    【開催報告】公開国際シンポジウム(プレ・シンポジウム)
    「Glocal Perspectives on Intangible Cultural Heritage Local Communities, Researchers, States and UNESCO」

 本学の文部科学省・私立大学研究ブランディング事業、「持続可能な相互包摂型社会の実現に向けた世界的グローカル研究拠点の確立と推進」の一環として、2017年2月18日(土)の午前9時30分から午後4時30分過ぎまで、成城大学7号館731教室において、グローカル研究センター主催による公開国際シンポジウム(プレ・シンポジウム)、Glocal Perspectives on Intangible Cultural Heritage Local Communities, Researchers, States and UNESCO(「無形文化遺産をグローカルに見る——地域社会と研究者、国家、ユネスコの相互作用——」)が開催された。
 シンポジウム当日のスケジュールと発表者・発表題目、コメンテーターは以下の通りであり、シンポジウムは予定通り進行した。

 また、招待発表者、参加者は以下の通りであった。

 シンポジウムでは、元ユネスコ・パリ本部無形文化遺産課課長のNoriko AIKAWA氏がユネスコの無形文化遺産保護条約成立の経緯や成立後の変遷の経緯の概要について述べ、特に無形文化遺産を保持・継承するコミュニティーやグループ、個人が当該無形文化遺産の保護や継承において関わる何らかの経路を回復すべき時期にきていることを明らかにした。ブラジル・カンピーナス大学のAntonio A. ARANTES教授は、ユネスコの無形文化遺産保護条約の批准(導入)により無形文化遺産を保持、継承する当事者の存在がクローズアップされるとともに発言権が増大した事例等に触れ、ユネスコの無形文化遺産保護条約が地球規模で各国の文化政策にさまざまな影響を及ぼしていることを指摘した。中国社会科学院のChao Gejing教授は、中国において中国独自の季節観(1年間の区分法)、二十四節季とそれに基づく様々な民族のさまざまな儀礼や祭礼がユネスコの無形文化遺産に登録されてきた過程を具体的に示し、ユネスコの無形文化遺産への登録において当該無形文化遺産を保持・継承する当事者のみならず地方政府や各種学会、マスメディア等が重要な役割を担っていることを明らかにした。韓国全北大学のHanhee HAHM教授は、韓国がユネスコの無形文化遺産保護条約を批准(導入)するに当たり、韓国議会が新たな法律を策定して当該無形文化遺産を保持・継承する当事者たちの発言権を保障することになった経緯を報告し、グローバルレベルのユネスコの文化政策がナショナルレベルの立法にまで影響を及ぼしていることを明らかにした。ベルギー、ブリュッセル自由大学のMarc JACOBS教授は、ユネスコの世界遺産委員会/無形文化遺産委員会において、近年、当該世界遺産や無形文化遺産を保持・継承する当事者たちがCGIs(Communities, Groups, Individuals)として明確にその存在を認められ、また、CGIsの人々が当該遺産の保護に関与し、発言する権利を認められるようになってきたことを指摘した。アメリカ、カリフォルニア大学デービス校の民俗学者、Michael D. Foster教授は、日本各地の来訪神行事がユネスコの無形文化遺産に登録された事例を取り上げ、地方や地域に固有の無形文化遺産がユネスコの無形文化遺産に登録されるに当たり、当該遺産を保持、継承する当事者たちの意見や思いが往々にして捨象されてしまうことを明らかにした。
 以上の報告に対し、成城大学の俵木悟准教授並びに国立民族学博物館の飯田卓准教授は、ニュアンスは異なるものの、無形文化遺産の保護をめぐっては、今後、当該遺産を保持、継承する当事者(CGIs)の関与を増大させることがきわめて重要になるであろうことを再確認した。
 その後の総合討論では、ユネスコや文化庁、東京文化財研究所、アジア太平洋無形文化遺産研究センターの実務者、あるいは一般参加者を交えて、今後の無形文化遺産保護のあり方をグローカルな観点(グローバルかつローカルな観点)から多角的、多面的に議論し、盛況の内にシンポジウムは閉会した。
 なお、今回のシンポジウムの成果は、Glocal Perspectives on Intangible Cultural Heritage Local Communities, Researchers, States and UNESCOと題して、近日中にグローカル研究センターから刊行する予定である。

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