辻 智 特別任用教授「データサイエンス概論」

— 成城学園「教育改革の“3つの柱”」のひとつ、
「理数系教育」の推進を具現化する授業 —

辻 智 特別任用教授「データサイエンス概論」

教員基本情報

氏 名:辻 智 (つじ さとし)

所 属:データサイエンス教育研究センター

職 名:特別任用教授

専門分野:データサイエンス

授業概要

対象者:1〜4年生(全学部)

授業形態:講義

実施学期:2018年度後期

履修者数:54 名

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授業内容と取材当日の授業状況について

 本授業は、全学共通教育科目のデータサイエンス科目群として、全学部1~4年生を対象に開講されている。本科目群開設のねらいは、ソーシャル・ネットワークやスマートフォンといった身近な話題から、その背後にあるビッグデータの存在や価値を知ることで、自分たちの生活と社会との関わりを改めて認識できるようにすることである。
 本授業の到達目標には、理系でなくても、ビッグデータの利用技術や適用技術を広範囲に学び、それらの利点や問題点を理解して、初歩のデータサイエンスの知識を身につけることができる、と掲げている。また、文系の視点で科学を考えられる人材、あるいは科学的視点で文系の専門分野を考えられる人材の育成を目指している、とのことである。

取材当日(2018年10月26日)の授業は、以下の流れで進められた。

授業の流れ

①導入〈5分〉

②スライド投影〈15分〉

③演習〈10分〉

④講義と動画の投影〈50分〉

⑤連絡事項〈10分〉

辻 智 特別任用教授「データサイエンス概論」

 教室に伺うと、学生全員がパソコンを立ち上げ、準備ができていた。本授業では、講義を受けながら、その途中で実際にクラウドにつなげて学生自身でアプリを作成するといった演習も行われるため、全員がパソコンを使用する
 講義の内容は、人工知能、サイバーセキュリティー、ソーシャル・ネットワークなどに関連するコンピューター・サイエンスや、記述統計、推測統計などの統計学の基礎を学ぶなど、一見、理系分野に聞こえがちなテーマを文系の視点で学んでいく。本学のデータサイエンス科目は、全国の文系大学の中では早期(2015年)に開設された授業であり、今までで、延べ300名以上の学生が受講している。
 この日の授業では、「AI」の使い方についての講義が進められ、その後、実際に学生たちがパソコンを使ってAIのひとつであるWatsonの機能を試す演習の時間が設けられた。その際、学生たちが間違いなくWatsonにアクセスできるよう、スライドで一緒に動作確認をしながら進められていた。Watsonの音声認識(日本語などからテキストへ)がすぐにできるよう、あらかじめ辻先生が例文を設定しており、学生たちはそれを活用して、それぞれWatsonの機能を体験していた。
 その後、Watsonの使い方の具体的な事例が動画で紹介され、医療や金融、その他いろいろな分野で活用できることが分かりやすく説明された。こうした分野には理系も文系も関係なく、ディープラーニングが重要であること、文系学生の強みである発想力は、データサイエンスの世界でも重要である、といった説明もあり、大学卒業後にどのような分野でも活躍の場がある!といった将来像が学生たちの中に広がっている様子が見受けられた。

教員インタビュー(Q&A)

Q.授業のポイントを教えてください。

A. 授業の開始10分程度は学生にアプリを使用してもらい、授業への導入を行います。リンクが分かれば家でも使用できるため、授業終了後に学生が自宅で家族と一緒に利用しているケースもあるようです。
 普段の授業では、コンピューターサイエンス(人工知能)に特化して授業を進めていますがプログラミングや人工知能の作成部分ではなく、それらをいかに社会で使っていくか、どのような場面で利用できるか、といった文系の視点や考えを活かせる場である、ということを強調して教えています。今後は震災復興やサイバーセキュリティー、ソーシャル・ネットワークにどのようにデータサイエンスが関われるのか、といった内容も学生に教えていく予定です。
 成城学園では、「教育改革の“3つの柱”」のひとつである「理数系教育」としてデータサイエンスに力を入れているため、幼稚園や初等学校でも子供たちに向けて授業を行っています。幼稚園や初等学校の子どもたちはもちろん、大学生たちも実際にアプリを動かしたり、簡単なプログラミングを作ったりするので、それらがおもしろいと感じてもらえているようで、授業の欠席者はとても少ないです

Q. 授業の準備について教えてください。

A. Watsonの各機能を学生たちにすぐに使ってもらえるよう、各リンク先のためにあらかじめ例文などデータも用意しておきます。

辻 智 特別任用教授「データサイエンス概論」

Q.学生への期待を教えてください。

A. AIは脅威な存在ではなく、人間がうまく利用していくものだと伝えています。プログラミングについては、文系でもできる!ということを伝え、実際に学生に取り組んでもらい、自信を持ってもらいたいと思っています。また、データサイエンスの知識があったおかげで話題が広がり、就職活動に活かせた!採用につながった!という話も聞き、とても嬉しく思っています。

学生インタビュー(Q&A)

Q. この授業を履修したきっかけは何ですか?

A. シラバスに書かれた「ビッグデータ」「Watson」等の記載を見て、興味を持ったので受講しました。 AIは危ない面もあると思いますが、すでに社会で発展もしていますし、これらをどのように活かして、どのように使用するか、ということを授業で教えていただきました。文系でもこれからの時代はこうした分野に挑戦しなくては!と思っています。

A. 私は大学院生ですが、自分の研究・論文につなげることができるのではないか、と指導教員に教えていただき、特別聴講生として受講しています。もともとアンケートやインタビューをもとに論文を書く予定でしたが、ビッグデータで分析する方が説得力もあると思います。受講してみて、Watsonの存在をもっと早く知りたかった!と思うくらい充実した内容です。

辻 智 特別任用教授「データサイエンス概論」

Q. 印象に残った授業はありますか?

A. 普段の授業を通して、Watsonの構造が実は単純である、ということを教えていただき、びっくりしました。文系なので機械に疎く、手が出せない分野だと思い込んでいましたが、そういった先入観が壊され、さらに興味がわくようになりました。

A. Watsonによる「性格診断」をした授業が印象に残っています。今後の就職活動に活かせると思いましたし、自己アピールにもつなげていきたいと考えています。

Q. 他の学生へのメッセージがあれば教えてください。

A. 1年生などの早いうちにWatsonを知ってもらいたい!授業は動画による解説も多く、理解しやすい導入がさくたん仕掛けられていますよ。文系学生もこうした分野に参入する時代がきっと来るから、知っておいて損はないですよ!今後のビッグデータの活躍にも注目しています。個人的に、この授業は必修にしてもらいたいくらいです(笑)。

A. 自分は文系だから…と思っている人、自分から壁を作らずに、ぜひ受講してみてください!早いうちに知る方がいいですよ。授業はとても分かりやすいから安心してください!

Q. 辻先生へのメッセージはありますか?

A. 来年度以降も受講したいと思っています!先生よろしくお願いします!

A. AIに対して漠然としていた考えが、受講をきっかけに深く理解できるようになりました。先生、ありがとうございます!

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