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民法を知ることは、社会を知ること。
実際の判例から言葉の解釈を学ぶ

民法ゼミナール
法学部 法律学科 池田 雅則 教授

過去の判例を分析し、
民法の背景にある思想を知る

ゼミナールでは、「民法」の解釈について学びます。日本の民法は1条から1044条までありますが、これは実は海外の国に比べると少ない方です。つまり、さまざまなケースの紛争を少ない条文に当てはめなくてはなりません。そのため、条文の言葉を柔軟に解釈する必要があるのです。
そうした民法の解釈を、実際には、裁判所が判決という形で行っています。その実際の判例に基づいて民法の解釈の方法や背後にある思想を学ぶのが、私のゼミナールのテーマです。

法の論理を組み立て、
言葉の解釈に線引きをする

例えば、企業Aと企業Bの間で、企業Aが特許権侵害の賠償金を得るために、故意に企業Bに特許権を侵害させたという事例があるとします。企業Aに「違反しましたね、お金を払ってください」と言われても、企業Bは納得しませんよね。
しかし、日本の民法にはこうした事例に直接当てはまる条文を持っていませんでした。そこで、既存の条文に書かれた言葉の意味をどこまで無理なく当てはめることができるのか、どこからは無理なのか、その線引きを論理的に判断するのが民法学の役割なのです。

学生同士が質問をぶつけ合い、
自分の考えをさらに掘り下げる

条文は言葉で書かれているので、ある程度は解釈の幅もありますが、なんでもかんでも拡大解釈するわけにはいきません。言葉の解釈にもルールがあり、そのヒントとして過去の判例があります。ゼミでは学生一人ひとりが実際の判決を取り上げ、自分なりの考えをまとめて全員の前で発表します。
また、発表者以外の学生も『判例百選』という文献を読んで、全員が質問を用意してきます。質問を受けることによって「自分はなぜこう考えたのか」という理由をさらに掘り下げることができるのです。

いかに美しく論理を組み立てるか。
そのスキルは必ず社会で役に立つ

法学は、必ずしも裁判官や弁護士、検察官を目指す学生のためだけのものではありません。「よい/悪い」という価値判断は誰でもできますが、それをいかに美しく、論理を組み立てて他者を説得するか。その論理的な思考力は、社会で必ず役に立つはずです。
民法は、生活を送るうえでもっとも身近なルール。民法を理解するということは、社会を理解することにつながります。社会に興味のある学生にとって、法律学は非常におもしろい分野だと思います。