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フランス社会の研究を通じて、
日本社会を見つめ直す

現代フランス論ゼミナール
文芸学部 ヨーロッパ文化学科 高名 康文 教授

教育格差、ジェンダー、少子化……
日本とフランスは意外と似ている?

フランス社会を知ることで、日本社会のあり方を捉え直す。これが、大学で現代フランス論を学ぶおもしろさです。フランスは海の向こうの遠く離れた国ですが、教育格差や少子化、女性の社会進出などの視点から見ると、日本社会との比較対象としてとてもわかりやすい。
いい部分はモデルになりますし、悪い部分は反面教師にもできる。フランス社会のいい面も悪い面も学ぶことで、自分の国のこともよく理解できるようになります。

さまざまな視点で移民問題を考え
自分の答えを見つけてほしい

卒業論文では、フランスの移民問題を取り上げる学生が多いです。フランスは共和国モデルといって「フランスの価値観を受け入れる人は誰でも受け入れる」というスタンス。
しかしフランス社会にうまく溶け込めない移民が目立つようになると、「フランス共和国の価値観を受け入れられないのなら出ていけばいいのに」という言論が台頭します。そうした問題に対して、自分で文献を探し、読み、考えて、自分の答えを見つけることが大切だと考えています。

日本ではあまり知られていない
フランス社会の教育格差

また、フランスの教育制度の問題を取り上げる学生もいます。フランスは革命により身分制度を撤廃した国。でも、社会階層が歴然と分かれていて、日本よりも強烈な学歴社会です。フランスには「大学」とは別に「グランゼコール」があります。
バカロレアという共通テストに合格すればどの大学にでも入れますが、グランゼコールは、さらに2年間の準備級で学び、入学試験に合格した人にだけ開かれています。大企業の幹部や政治家、大学教授の多くは、その卒業生です。
子どもの学業の成功には、親の教育ノウハウが影響しますが、親の社会層による教育格差が問題になっています。超エリート主義がもたらす弊害に関心を持つ学生がいます。

異なる価値観を受け入れ、
尊重できる人になってほしい

研究を通じて参考文献を読み込み、自分の考えをしっかり持つことはもちろん大切です。しかしその一方で、自分とは違う考え方の人、反対意見を持っている人がいるということを常に意識してほしい。
異なる価値観を持った人の意見を理解し、尊重できるような人になってほしいと思っています。大学で現代フランス論を学ぶ大きな意義はそこにあります。