社会イノベーション学部|PICK UPゼミナール

キーワード

  • 教員インタビュー
  • 社会イノベーション学部
  • 心理社会学科

人は情報をどう判断しているのか?
普遍的な心の働きを解明する

社会心理学ゼミナール
社会イノベーション学部 心理社会学科 村田 光二 教授

ビジュアルや感情が引き起こす
“無意識の行動”のヒミツを探る

みなさんは、洗剤のパッケージに印刷された商品名のフォントに注目したことはありますか?文字の大きさや色味、明朝体なのかゴシック体なのかなど、フォントはそれぞれの目的に応じて選択されているのです。人々の消費行動を分析すれば、その商品にはどのフォントが適切なのか推測できるかもしれません。
人間が情報をどのように受け取って理解・判断して行動するのか、その心理過程を読み解いていくのが、このゼミのテーマである「社会認知研究」のおもしろさです。

「利他性」の視点から
人間の心の性質に迫る

ゼミのある学生は、「他者からの善意の知覚が味覚に及ぼす影響」をテーマに研究に取り組んでいます。この研究では「他人から親切にされる」といった好意によって、食事がおいしく感じる可能性を調査します。「他者の振る舞いが、別の側面で自身の報酬になる」という性質を、人間は備えているのではないか――。その可能性を探っています。
経済学をはじめとする多くの分野では、自身の利益のために働く「利己性」が前提となっていますが、心理学では「利他性」という視点も重要なのです。

AIとの比較から
人の心の社会的性質を明らかに

人間が関わることであればたいてい、社会心理学の分野で研究できます。一般的に「心理学」は幅広い現象を扱う学問ですが、私たちのゼミが研究対象としているのは「人の心の社会的性質」です。最近ではAI(人工知能)の発達による技術革新のニュースも増えてきました。
例えば、AIを搭載した機械によるマッサージマシンは、機能的に優れているでしょう。しかし、生身の人間から施術を受けたときの「自分のためにしてくれている」という感情面のプラスの作用によって、人間によるマッサージの方が現段階ではAIを上回ると私は考えています。
AIとのこうした比較も「人の心の社会的性質」を解き明かすためには重要になってきます。

学生たちには
研究の楽しさを知ってほしい

ゼミの学生に研究の楽しさを味わってもらいたい、というのが私の願いです。そのため、学生たちと一緒にアプローチの方法を考えながら指導をしています。
中でも大切にしているのが「実験」。実際に授業の中でも、学生自身が被験者となって実験に取り組むこともあります。心理学は文系の学問と思われがちですが、理系的な側面も持つ分野です。
簡単なことではありませんが、卒業論文で学会に名を残すチャンスもあります。仲間とともに研究に励み、大きな成果につなげていきましょう。