「産学協働教育による主体的学修の確立と中核的・中堅職業人の育成」

事業概要

背景

社会が急激に変化する中、我が国が様々な危機を乗り越え、持続的な成長と発展を築くためには、主体的に考える力を持ち、社会の様々な課題を解決に導く多様な人材を養成することが求められている。そのためには大学教育の質的転換が必要であり、各大学の教育の充実、学修時間の実質的な増加・確保を行うとともに、大学を超えた連携を深め、それぞれの強みを生かしながら教育資源を結集し、多様かつ質の高い大学教育を提供することが重要である。文部科学省中央教育審議会大学分科会「審議のまとめ」(平成24年3月)でも、大学教育の現状を「学士課程教育の質的転換は喫緊の、いわば『待ったなし』の課題である。今求められているのは、この質的転換を進める具体的な行動を直ちに始めることである」と指摘している。
このような現状の変革を促す1つの始点が「産学協働教育」にあると考える。今日の多様化した学生の主体的な学修への動機付けは、学問的知的好奇心だけでは限界がある。「なぜこの勉強をする必要があるのか?」「今の学修が将来、社会でどのように役立つのか、つながっていくのか?」という大学教育と社会との関連を明示することで、大学教育で獲得する知識の有用性を実感させることが求められる。
これらの課題を解決するため、文部科学省「大学生の就業力育成支援事業」において、産学協働教育に先進的に取り組み、地域産業界等(ステークホルダー)と協働した社会体験(実践)型のプログラムを積極的に実践してきた、京都産業大学、新潟大学、成城大学、福岡工業大学の4大学が連携し、「産学協働教育」を始点として学生の主体的な学修を促し、その結果として、「地域社会の発展を担う中核的・中堅職業人」を育成・輩出することを目指すに至った。

※「地域社会の発展を担う中核的・中堅職業人」の定義
エリート的グローバルリーダーとしての役割を主に担うのではなく、日本の社会及び企業・組織において中核的・中堅的な役割を主に担い、堅実に支えていくグローバルな視点を持って活躍する人材。

概要

本事業の目的は、産学協働教育により学生の主体的な学修を確立し、地域社会の発展を担う中核的・中堅職業人の育成を目指すことである。4大学では共通して、「幅広い職業人養成」という機能に比重を置き、「幅広い職業人」を「大多数を占める『普通の学生』を『社会的・職業的に自立』させ、地域社会の発展を担う中核的・中堅職業人」と捉えている。
本目的を達成するために、具体的には、連携校が培ってきた産学協働教育に関する知見、実績を共有、融合させることにより、新たな社会体験と大学教育を融合するプログラムや長期型インターンシップ等を共同で開発する。さらには、開発した各種プログラムを検証する評価システムを構築する。加えて、産学協働教育のプラットフォームとなる「産学協働人材育成コンソーシアム」の設立及び産学協働教育を担い得る専門人材の育成等により、恒常的な産学協働教育の推進・拡大を目指す。その過程においては、先進的に産学協働教育に取り組んでいる諸外国の大学・機関等と連携・交流を推進し、国際標準のプログラム、教授法、枠組み(基準)等を積極的に取り入れ、我が国に適応した産学協働教育の質的向上に努めていく。

活動実績

4大学が連携し、5年間取り組んできた成果をまとめた「最終成果報告書」を作成した。