第12回コミュニティー・カレッジ・デー

ミニ講義

今回、ミニ講義をご担当いただきました下記3名の先生方は、2018年5月から始まります
「成城 学びの森」コミュニティー・カレッジ春夏講座の講師もご担当いただきます。
下記は、当日の講義風景、講義内容となります。

A 語りのマジック・ランタン — 『遠野物語』所々 —

 山田 直巳 講師(社会イノベーション学部教授)

「柳田國男—「農政学」から「民俗学」へ、その転換のきっかけは?」

 明治41年5月、当時、農商務省で少壮官僚として働いていた柳田國男は、九州四国地方へ90日間の視察講演旅行に行った。
阿蘇山麓、天草、五木、とりわけ椎葉の山間の生活、「山民」の充足した生活に触れ、それまでの「平地」を立脚点とした画一的な改革を目指した農政学に疑問を抱いていく。
この椎葉の山村に寝泊まりし、話を聞きながら過ごした日々の経験は、「衝撃的な椎葉体験」となって國男を動かすこととなった。
同じ年の10月、この体験を水野葉舟に話したところ、類似の話をできる人として東北の山村遠野生まれ、佐々木喜善(鏡石)を紹介され、彼からの話の聞き書きが始まる。
出版された「遠野物語」序文には、「願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ」とあり、「文明」とは別のもう一つの<今>に触れた彼が、心を外国にのみ向ける「文明開化人」=平地人たちに、この献辞をもって呼びかける。

話は、講師のマジック・ランタン(幻燈)の思い出から。その体験は花祭りの日。本堂で聴く、声朗々とした住職の<有難い>お話。それが、「幻燈」の始まり。不鮮明で、薄暗く、したがって朧な映像。であるがゆえに、印象は鮮やかで、くっきりとした像を結んでいる。思い出は尽きない。このような冒頭をもって、受講者を『遠野物語』へと誘った。
國男がかつて聞き取ったであろう話、そして物語となった『遠野物語』を、春の暖かな夕べ、一緒に学んでみませんか。


ミニ講義A 山田 直巳 講師

B バロック時代の舞踏と舞曲

 赤塚 健太郎 講師(文芸学部准教授)

「音楽史における舞踏の役割は極めて大きい」

 「ダンス」が「舞踏」だけでなく「舞曲」をも意味することから分かるように、西洋音楽史において音楽と踊りは切り離せないものである。
17世紀のフランス国王ルイ14世は音楽と踊りをこよなく愛し、自らアポロン(太陽神)の衣装をまとって踊りを披露したほどだった。ヨーロッパ各地の舞踏会ではフランス風のダンスが踊られ、音楽においても様々な舞曲が花開いた。
ルイ14世は、振付やステップなどを紙に記す技法の考案をP.ボーシャンに依頼し、舞踏記譜法が生まれた。この記譜法を用いて振付を書き留め、さらに紙の上部に舞曲の旋律を記した舞踏譜もこの頃登場した。

講義では「王のガボット」の舞踏譜の一部について紹介があり、記号の意味やその動きの一部が解説された。
また、プロのダンサーによる復元された踊りの映像も紹介され、18世紀の貴族たちが躍っていたであろう優雅な踊りを目にすることができた。
最初は「もやしのひげ」が並んでいるようにしか見えなかった舞踏譜が、素敵な舞曲・舞踏となって心に残った。
この続きを春夏講座で学ぶことが楽しみである。


ミニ講義B 赤塚 健太郎 講師

C 日本社会と国際化 — 日本への移動者/日本からの移動者

 西原 和久 講師  社会イノベーション学部教授

「社会学とは、現代の日常生活の中で人々の関係性を調べていくことです。」

 国際社会学の対象は、人間の相互行為、移動・交流・共生です。人の営みですから背景には、政治⇒「国家・権力」、経済⇒「企業・貨幣」がありますが、国際関係⇒「国と国の際」という視点から、そこに暮らしている「人間」に注目した人際関係(にんさいかんけい)⇒「人と人の際」に重きをおき、「人の移動」を中心に、日本社会の過去・現在・未来を考えていきます。
キーワードは「多文化社会」「トランスナショナリズム」、「ナショナルな枠」を超えていくという視点です。

「人々の交流と生き様を描く」ことを目標にやってきたと語る西原講師、ご自分の問題意識の原点として、「引揚者」というルーツがあり、出発点としての日本とアジアとの関係、家族アイデンティティとアジアの関係に興味を持たれたとのこと。
講義では、日本への移動者たちの現場において、人口4千人の長野県川上村でレタス栽培を担う外国人農業・研修生=実習生=労働者(現在900名程)と交流し、被災地・宮城県女川町での中国人従業員(研修生・実習生)と実際に対面する中で、文化の違う人と人とのつながりを活性化していく人、媒介する人の存在がとても大切であるということが語られた。
また、日本からの移動者の現場として、カナダに渡った「オイジン移民」、ハワイに渡った18万人の日系移民の中で、5万5千人と突出して人数が多かった沖縄出身者の、渡航時から戦争を経て現在に至るまでの生き様が語られた。
 世界の流れは、国家よりも強い力を持つ地域統合が進んでおり、ヨーロッパにおいてはEUが存在するが、東アジアと環太平洋地域においては、経済的依存は高まっているものの、政治的対立が続いており、地域統合された組織はまだない。
50年後100年後、はたしてアジアでは地域統合ができるのか?
続きは春夏講座で考えていきたい。


ミニ講義C 西原 和久 講師

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