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  • 2017.04.10

    【開催報告】成城大学経済研究所・私立大学研究ブランディング事業共催ミニ・シンポジウム 「日系企業のグローバル化とトランポノミクス - メキシコ経済への影響 -」

グアダラハラ大学経済経営学部教授 柿原 智弘

2017年3月21日(火)15時より16時半まで本学経済研究所において、「日系企業のグローバル化とトランポノミクス - メキシコ経済への影響 -」をテーマとするミニ・シンポジウムが本学経済研究所と私立大学研究ブランディング事業との共催で行われた。当日は本学社会イノベーション学部内田真人教授が司会を務め、グアダラハラ大学経済経営学部の柿原智弘による報告が行われた。

ミニ・シンポジウムでは、2017年1月に誕生したドナルド・トランプアメリカ新大統領の政策がメキシコに及ぼす影響について、日系企業のグローバル化と関連付けた視点からの報告がなされた。冒頭では、1990年代以降の家電メーカーを中心とする日系企業のグローバル化において、メキシコ投資誘致政策や進出状況の経緯について説明が行われ、次に近年顕著である日系自動車関連企業のメキシコへの投資状況や特徴について、特にバヒオ(Bajío)地区と呼ばれる中央高原地域の産業集積の概要やその要因について説明がなされた。その後、ドナルド・トランプアメリカ新大統領の主な対メキシコ政策である、①メキシコからアメリカへの輸出に関する国境税創設の可能性、②アメリカの新移民対策、③為替相場への影響、④メキシコの製造拠点としてのプレゼンスの低下の可能性等、について説明がなされた。
 メキシコの対アメリカ貿易依存度は80%を超え、直接投資においてもアメリカ依存度は極めて高い状況にありいわばアメリカ依存の経済構造になっている。今回のトランプ氏の政策が実行された場合、メキシコ経済にとって多大なインパクトを与えるものと推定されるものの、アメリカ経済もメキシコに依存している部分は少なくなく、製造業における対アメリカ輸出品の内、約40%はアメリカ製品を使用していることから、トランプ氏の政策実施はアメリカ経済においても相応のインパクトを持つと推測されることが指摘された。
 NAFTA加入後、グローバル化を糧に着実に成長を遂げてきたメキシコ経済ではあるが、今回のトランプ氏の政策は、メキシコに進出している外資企業、とりわけ近年顕著である自動車関連企業へマイナスの影響を及ぼすことが懸念されている。自動車産業は現状ではメキシコ経済の牽引役であり、こと自動車産業の究極の形が現地化であると仮定すると、グローバル化における変化がダイレクトにメキシコのローカル化へ影響を及ぼすものであり、グローバル化とローカル化の密接な関係を証明し得る事象であると言える。
 以上の報告に対し、ミニ・シンポジウムの参加者からは、NAFTA解体の是非およびその可能性、国境税創設の可能性およびその効果、為替変動による販売価格上昇リスクの相殺の可能性等、様々な観点から活発な議論が交わされ、盛況のうちにミニ・シンポジウムは閉会した。

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