成城大学

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イベントの記録

  • 2017.07.26

    【開催報告】国際ワークショップ グローバルとローカルが出会う場としての社会学の国際化 -東アジアの社会と社会学の共通基盤を探る-

開催日 2017.5.21

 本ワークショップは、日本学術振興会科学研究費補助金に基づく矢澤研究チームが主催し、成城大学グローカル研究センターが後援して開催されたものである。研究チームの研究は、3年に渡り、世界の社会学者と日本の社会学者の国境を越えた教育・研究活動の現状と課題を明らかにしてきた。今年は完成年度に当たり、研究成果を広く世界に発信すると共に、世界からコメントを受け、更なる研究プロジェクトを構成することを目指している。本ワークショップは、この目的達成の一環として開催されたものである。
 ワークショップは、矢澤チームから、Historical and Institutional Background of Sociology in Japan (Shujiro Yazawa), The Position of Japan and East Asia in World Sociology: Investigation into Academic Mobility and Involvement in International Research Activity (Hidehiro Yamamoto), How East Asians Fare: Patterns of Cross-Border Academic Transaction in East Asia daishiro Nomiya), Is It Better to Study Abroad?: Globalization and Career Paths for Sociologists in Japan Nobuko Hosogaya, Saeko Kikuzawa, Chika Shinohara)の4報告が行われ、それに対してSang-Jin Han (韓国)、Zhang Yi (中国)、Young Hee Shim (韓国)、Chen Jay Chih-Jou (台湾)が、自国の事例を紹介するとともに、個別のイッシュ—にコメントする形で、進められた。海外からの参加者はいずれも東アジアを代表するグローバルな視野を持った研究者なので、極めて質の高いコメントを得ることができ、また活発な討論が行われた。
 主要論点の一つは、日本の社会学者の教育・研究活動の国境を越えたトランスアクションが中国、韓国、台湾に比べて相対的に低いこと、そしてそれは研究者の経歴の初期段階で、海外留学して学位を取ることのメリットが相対的に無いことに関係がある、という点であろう。この点は、圧縮的近代化の要請に応えるべく、外国留学、学位取得、それらによる選抜、知的貢献を重視する中、韓、台の社会発展モデルとは、著しい対照をなすものである。
 研究チームは、今後中国、韓国、台湾において、社会学者の国境を越えた教育、研究におけるトランスアクションを調査研究する計画を持つが、本ワークショップは、東アジアに研究成果を伝え、将来の研究の基盤を作るうえで、大きな成果を得ることができた。