上杉研究室
メッセージ

大学院の授業(「文化人類学研究」)では「同時代の人類学」を標榜し、「明るい人類学」を目指して2005年度以来以下のようなテーマ・トピックを設定して授業を行っている。

2005年度 「同時代の人類学-同性婚論争から見る現代の『親族』-」
1990年代半ば以降、欧米ではゲイないしレズビアンカップルたちが公然と「結婚」(同性婚:same-sex marriage)の認定を要求し始めた。また、アメリカでは今やレズビアンカップルの3分の1、ゲイ・カップルの5分の1が子どもを持ち、家族を形成しているという報告もある。ゲイ・レズビアンたちはなぜ今「結婚」を要求し「家族」を形成し始めたのか?このような動きは果たしてどのような社会・文化的意味を持つのか? G.Chauncey, Why Marriage (2004),A.Sullivan (ed.), Same-Sex Marriage Pro & Con (revised ed. 2004),E.Gerstmann, Same-Sex Marriage and the Constitution (2004)などを手掛かりとして、同性婚論争を人類学の観点から検討してみたい。

2006年度 「クイア理論の検討」
離婚・再婚家族や同性カップル家族など、ますます多様化・多元化する現代の親子・家族関係を包括的に理解する有力な理論として、もともとセクシュアリティ研究ないしゲイ/レズビアン・スタディーズの中で提示された、クイア理論が最近注目されている。本授業では、クイア理論そのものの概略を確認するとともに、クイア理論の親子・家族研究への応用、さらにはエスニシティや移民研究への応用事例を検討し、クイア理論のさらなる応用の可能性を探る。導入として、V. Lehr, Queer Family Values: Debunking the Myth of the Nuclear Family (Philadelphia: Temple University Press, 1999)をまず講読する。

2007年度 「戦後民族学/民俗学理論の検討」
周知の通り,日本の民族学/民俗学は第二次世界大戦前や戦中,そしてまた戦後の一時期はドイツ民族学/民俗学に多大な影響を受けていた。しかしながら,近年,日本の民族学(文化人類学)/民俗学はアメリカ流の文化人類学やカルチュラル・スタディーズの影響が著しく,ドイツの民族学/民俗学の最近の動向はほとんど紹介されていない。そこで,本授業では,アメリカの民俗学者たちが編集した上記論文集を講読し,戦後のドイツ民族学/民俗学の理論的転換とその背景を確認する。また,そうした作業を通して,アメリカ流の文化人類学/民俗学を相対化する。J. R. Dow & J. L .Bloomington (eds. & trs.):German Volkskunde: A Decade of Theoretical Confrontation, Debate and Reorientation (1967-1977),(Indiana: Indiana University Press, 1986)を手始めとして、内外の関連文献を適宜選定・講読し、民族学(文化人類学)/民俗学の今後の課題と展望を論議したい。


上杉富之教授の主要著作

上杉富之教授の主要著作




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