外池研究室
メッセージ
 日本の歴史における天皇のあり方について考えるためのひとつの方法として天皇陵の問題を設定して、主として近世史・近代史の視点から研究しています。
 皆さんは、天皇陵を中心とする陵墓が宮内庁によって管理され、「文化財保護法」の適用を受けていないことはよくご存じだと思います。かたや「文化財保護法」の適用を受け発掘調査がなされる古墳があるのに、それよりもはるかに巨大な古墳が学術調査の対象とならないのです。古墳時代はこの国の国家形成期にあたります。当時「倭」と呼ばれたこの国がどのようにして成り立ったのか。その謎を解くのに重要な鍵が巨大古墳にあるであろうことは、充分推察されます。
 しかし、このような陵墓の管理にはそれなりの歴史的経緯があると言わざるを得ません。古くから朝廷にあっては陵墓は祭祀の対象とされてきましたが、一般からも天皇陵は大きな関心を持たれてきました。蒲生君平著『山陵志』は最も知られた天皇陵研究書です。幕末の文久年間以降宇都宮戸田藩主導の「文久の修陵」によって荒廃していた天皇陵は整備されました。明治年間以降には、陵墓をめぐる法体系が整えられました。つまり、祭祀の対象としての「皇室祭祀令」(明治41年)、葬儀の場としての「皇室喪儀令」、そして日常管理のための「皇室陵墓令」(ともに大正15年)です。それが昭和22年5月3日の「日本国憲法」施行に伴って廃止されました。陵墓についての当面の法的根拠としては「皇室典範」(昭和22年)がありますが「文化財保護法」ができたのは遅れて昭和25年です。この間の経緯に含まれるさまざまな事柄が私の研究テーマです。
 もっとも、大学院生の皆さんとはより幅の広いテーマで研究の楽しみを分かち合いたいと思っています。学問を取り巻く今日の環境はとても厳しいものですが、確かな根拠に基づいて順を追って議論を構築する経験は、学問に接することによってはじめて得られるものと思います。

外池昇教授の主要著作

外池昇教授の主要著作




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