千足伸行研究室
メッセージ
人類が残した美の遺産は時代や国、地域に関係なく興味深いものですが、一人の人間がすべてを見て、調査し、研究するというわけにもゆかず、専門とする、あるいはできる対象は限られてきます。昔、ドイツのミュンヘン大学に留学していた頃は、デューラー、グリューネヴァルトをはじめとする16世紀のドイツ・ルネサンスの画家に興味を持ち、今でもそれは基本的に変りませんが、日本に帰ってからはどちらかというと近代(19-20世紀)美術に興味がシフトしました。ロマン主義→リアリズム→印象派→後期印象派→世紀末(象徴主義、アール・ヌーヴォーなど)→20世紀の前衛芸術と続く近代美術の流れは複雑かつ多様ですが、どこを取っても興味深いものがあります。したがって研究対象も特定の国、時代、グループ、様式に限定する必要はないのですが、ある程度専門的に研究するとなると、「あれもこれも」とは行かず、「あれかこれか」となります。目下のところは19世紀末、いわゆる世紀末の様々な芸術に関心を持っています。この時代は芸術と社会との関係が非常に密接になった時代で、芸術家も芸術作品もその時代や社会を抜きにして語ることはできません。つまり美術だけに限定されない幅広い視点が要求されますが、世紀末という時代は今で言うグローバリゼーション(国際化)、あるいは異なる分野のクロスオーバー(例えばヨーロッパ美術が日本美術の影響を受けた現象、いわゆるジャポニスムや、音楽と美術の交流など)が本格化した時代で、そうした意味からもこの時代は特に興味深いものがあります。

千足伸行





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