小島孝之(こじま たかゆき)研究室
メッセージ
私の研究テーマはほぼ3つの分野に分かれます。

1つ目は、説話文学の研究です。古くは平安時代の初めに作られた『日本霊異記』があり、平安時代の終わりごろの12世紀の初めには日本最大の説話集である『今昔物語集』が作られました。それら前代の説話集なども視野に入れながら、主に鎌倉時代の説話集を対象に研究を進めています。これまでに、『閑居友』の注釈を新・日本古典文学大系(岩波書店)の一冊として、『沙石集』の注釈を新編日本古典文学全集(小学館)の一冊として刊行しました。また、『撰集抄(せんじゅうしょう)』の注釈を友人との共編で刊行(桜楓社)、『宇治拾遺物語』の抄訳を出しました(ほるぷ出版)。現在は『宇治拾遺物語』と『古事談』の注釈作業を継続中です。おもしろい話がたくさん含まれているのに、まだあまり研究されていなかったり、現代語訳がない説話集作品を出来るだけ普及できるように努めたいと思っています。

2つ目は、中世文学を中心とする新しい視点からの文学史の研究です。上の第一の研究テーマとも重なりますが、文学が生れる根底に、社会の変動がもたらす世界観の動揺があると考えていますので、そうした問題点を、異界・他界・移動・遍歴(旅)といった視点から検討し、中世文学史を動的に捉えてみたいと思っています。この観点から、今まで書いてきた論文を中心に一冊にまとめようと、現在準備中です。

3つ目は、古筆切と呼ばれる資料の研究です。昔の人の書いた書物の一ページ一ページが切り取られて、掛軸に表装されたり、アルバムのように台帳に貼り付けられて、たくさん伝えられていますが、これまでは、高価な骨董品のように扱われて、あまり充分な研究が行われてきませんでした。しかし近年、それらが複製されたり、美術館で展示されたりして、研究者たちの目にも触れ易くなって、急速に研究が進み始めました。私はかなり早い段階で、こうしたものの資料的な価値に着目して、資料収集や紹介を行なってきましたので、そろそろ資料の集大成のような形で整理して世の中に提供しようと考えています。

2年前に東京大学を退職して成城大学に着任しましたので、現在の大学院のゼミには、成城大学の大学院生のほかに、東京大学時代の大学院生も数人、あるいは他大学の外国人留学生も参加して、一緒に研究を行っています。



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