「広域芸術論研究は資料が勝負だ」
2007年9月までは、研究室は狭いがすべての本が手が届くという長所があったが、学部の学生には評判が悪かった。本が書棚や床に2重3重においてあり、少しでも触れると数十冊の図書やカタログが一気に崩れたからだ。しかし、大学院生は少しもくじけなかった。崩れても崩れても、探している本が見つかるまで探し続けた。その根性に負けて結局はいっしょに探したり、見つからない場合は手を尽くして他所から見つける工夫をした。しかし、新館の研究室は少し広くなり、本も2重の配置ではあるがはるかに見やすくなった。大学院の授業が終わると、院生がよく本を探しにぼくの研究室にやってくる。前より分かりやすいですね、と言って、欲しい本を探し出す。ぼくはもともと好奇心の固まりなので、シュルレアリスム周辺の文学(ジャリ、ルーセル、シュルレアリスト)から現代文学、マルセル・デュシャンから始まる現代美術などの関連文献や書評で評判の本は収集してきた。おかげで、研究・教育分野としては新しい広域芸術論研究関連(現代文学・文学理論、芸術・芸術論、映画・映画論、写真・写真論等)の文献がそうとう増えた。インターネットが普及して、関連文献の情報が多くなったとはいえ、すべての関連文献の内容がインターネットから入手できるわけではない。やはり実物を手にしないと内容はよく分からない。そのためにも関連文献の収集に終わりはなさそうだ。せっかく少し広い研究室に移っても、狭くなる日はそう遠くはない。 |
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