私の研究室では東洋美術の研究を行っていますが、研究対象としては日本を含む東洋の仏教美術が主要な位置を占めています。
私は、これまで東京国立博物館に24年間、文化庁に2年間在職し、仏像を中心とする日本彫刻の保存、管理、展示、調査、研究に携わってきました。従って、これまでの専門は日本彫刻史に重きを置いていましたが、東洋美術の研究室を担当することによって、アジア世界に視野を広げて、アジアの中での日本彫刻史を考えていきたいと思っています。日本の仏像の歴史は、朝鮮・三国時代の百済から仏教が伝来することによって始まることでもわかるように、朝鮮、さらには中国の強い影響を受けながら展開しました。現に日本には中国や朝鮮の本国ではすでに失われてしまった古い仏像の優品がそのまま伝世してきた例が多く見られます。このことはいかに日本が中国や朝鮮からもたらされた文物を大切にし、そこから多くを学んだかをよく示していると思います。つまり、日本美術は中国や朝鮮さらにはアジア世界の理解なくして、深まっていかないことになります。本研究室ではそうした視点から東洋美術の研究を進めていきたいと考えています。
現在、本研究室の大学院生は博士課程1名と修士課程1名で、それぞれ吉祥天の研究と十王像の研究を進めています。授業では対話を重視し、対話を通してお互いの問題意識が深まっていくような環境作りに努めています。
また、私自身、文化財を扱う業務に長く携わってきたこともあり、美術史を学ぶ者が、文化財を守るために果たすべき社会的な役割についても常に念頭に置きながら研究を進めていきたいと思っています。
|
|