木畑 和子研究室

研究室は3号館の西向きの7階。冬、快晴の日の朝は富士山が見えるかどうかを楽しみに出勤する。ブラインドを開けてそこに富士山が見えると、何かとてもよいことが起こったような気持ちになる。特に夕日に浮かぶ富士山は絶景だ。
早春、成城のお屋敷街が満開の桜に埋もれる光景には目を奪われる。いつか研究室でお花見の会を催そうと楽しみにしている。夏は西日で暑いのが少々難であるが、ゼミ生は教室よりこじんまりした雰囲気の研究室でのゼミのほうが好きなようだ。
書架には、私の研究テーマであるナチ時代の「医学の犯罪」、ユダヤ人の亡命問題、それに授業や卒論指導用に求めた本、美術展のカタログなどが並んでいる。研究室の引っ越しの際に本の一部を思い切って処分したものの、読みたい本を次から次へと手に入れているうちに、そろそろ書架の空きスペースも少なくなってきた。
ナチ時代にはユダヤ人だけでなく、障害を持つドイツ人も多く殺害された。そのような人々は社会の負担である、というような考え方が、大恐慌による経済危機のなかで、説得性をもつようになったためである。しかし「強者の論理」的考え方が支配したナチ時代は、強者の側に立っていると思っていた人々にとっても決して幸せをもたらしてくれる時代ではなかった。過去を学ぶことは、現在を学ぶことであるという言葉があるが、このようなナチ時代の歴史は現在の私たちにもさまざまな問題をつきつけ、興味がつきない。
(2009年6月)