荒畑 靖宏(Yasuhiro Arahata) 哲学(ドイツ哲学・現代哲学)
「何も知らないこの私が、なぜ最高の智者などと呼ばれるのか・・・」──ソクラテスのこのつぶやきから、西洋哲学は始まりました。あまりにも有名な「無知の知」のエピソードですが、私はこれをはじめて聞いたとき、「なんて・・・ラクチンな学問なんだ!」と感激しました。これが、私が法学を捨てて哲学に走った理由のひとつです(ホントです)。
しかし、とにかく人よりも速く、そして遠くまで達することを目標とする教育を受けてきた私たちにとって、素通りせず立ち止まって何にでも疑問をもつということは、実は、案外むずかしいものなのです。
「私」って、「時間」って、「心」って、いったい何なのか、あなたは考えてみたことがありますか?
有田 英也(Hideya Arita) 20世紀フランス文学とナショナリズム
どんな高校生だったのだろう。陸上部で800米を走り、文芸部で随筆を書くかたわら、裕福な保護者の家をまわって広告を集め、部費の足しにした。
高校3年の夏、カナダに滞在して、二ヶ国語併用のこの国では、フランス語と英語のどちらで書くか選ぶ人たちがいる、と知った。
大学では文学、歴史、思想で迷い、包容力のありそうなフランス文学に決めた。
外国にいても、テラスから街をぼんやり眺めることが多い。
北山 研二(Kenji Kitayama) 20世紀初頭前後の文学・芸術の研究
私は、フランス語初級、フランス語教授法、広域芸術論を担当しています。フランス語初級学習はスポーツと同じです。90分の間フランス語の重要な表現を、丸暗記で、会話で、文法で、作文で口頭反復練習をして、終わると汗だくになるからです。フランス語教授法は、フランス語を教える現場の裏舞台を見せて、楽しく厳しく授業運営をする方法を学生といっしょに研究します。広域芸術論(2008年度は「庭園の美学と風景画の誕生」、2009年度は「セルフポートレートとアイデンティティ」)は、芸術とその作者、芸術と社会、芸術と思想等の関係を探り出す研究です。一年後には芸術愛好家が増えて美術館通いや映画館通いも増えます。卒業後も継続するようです。
木畑 和子(Kazuko Kibata) ナチズムの時代
2004年にベルリンで1年間研修中、旧東ドイツについて強い関心を持つようになりました。それ以来、ナチ時代にイギリスに亡命し、戦後東ドイツへ帰国したユダヤ人の問題を通して、20世紀のファシズムや社会主義について考えるということを研究のテーマとしています。ナチ時代の「医学の犯罪」も、また私の研究テーマです。(写真はロンドンにある「子供の輸送(キンダートランスポート)」像。第二次世界大戦開始直前、1万人のユダヤ人の子供たちがイギリスに送られ、助けられたことを記念する像です。これも私の研究テーマです。)
末永 朱胤(Akatane Suenaga) ソシュール言語理論の問題と可能性
ちょっと考えてみよう。言葉がなければどうなるだろう。もちろん人とコミュニケーションをとることはできない(少なくとも非常に難しい)。だが,それだけでなく言葉なしではものを考えることもできないのではないだろうか。「遺伝子操作」という言葉を知らない人は,遺伝子操作について考えることはできないだろう。「ブラジル」という言葉を知らない人はブラジルには行けないだろう。言葉なしには個人としての人間も社会集団も存在出来ないだろう。もしそうなら,「人間」が「言語」を「使っている」のではなく,「言語」によって「人間」と「世界」が「ある」のかもしれない。20世紀,文学・芸術,人類学,精神分析,哲学など広範な分野に影響を与えた言語学、その先駆者といわれるソシュールという人の思想をとおして人間という不思議な動物について考えています。
高木 昌史(Masafumi Takagi) グリム童話の民俗学
私の専門分野は、独語・独文学と比較文化論です。ゼミなどでは、グリム童話と世界の昔話を、神話学、文芸学、民俗学、社会史、深層心理学、等、さまざまな角度から勉強しています。なるべく幅広い視点で対象を捉えるのがモットーです。他に、ドイツ語圏の美術批評や紀行文学、また柳田国男の著作などを研究しています。
高名 康文(Yasufumi Takana) 中世フランス文学(『狐物語』におけるパロディー)
この春(2011年)、12年間住み慣れた福岡を去って、ヨーロッパ文化学科の一員になりました。研究室では古フランス語の参考書やパソコンに仕込んだ辞書を駆使しながら中世フランス文学のテクストと睨めっこして暮らすことでしょうが、教室ではフランス語(もちろん、現在のですよ!)の他、現代フランス事情演習、フランス現代事情をテーマとするゼミ(中世に興味がある学生も歓迎します)を担当します。福岡にいた時もそうでしたが、専門に閉じこもることなく、広い視野からフランスを見つめていきたいと考えています。
高原 照弘(Akihiro Takahara) 17・18世紀フランス文化
17・18世紀のフランス人が書き残した文章は、現代のフランス人に読みつがれ、大切にされています。日本人の私たちも、それらを正確に読み、親しむならば、それらから学ぶことがたくさんあります。しかし、彼らの生活の実際について、私たちはほとんど何も知らないと言っても言い過ぎではありません。彼らの生活状況について知識を深めながら、文章を読み、考える。私の好きな文章家は、デカルト、ラ・ロシュフコー、ルソーです。
戸部 順一(Junichi Tobe) ギリシア・ローマの古典文学研究
紀元前8世紀から紀元後4世紀ころまでに、ギリシア語、ラテン語で作られた韻文や散文を考察対象に、「古代とは何であったか」を明らかにしようと、日々、頭を悩ませています。最近は、アリストパネスという喜劇詩人の作品を、この10年間の研究動向を踏まえながら、もう一度、自分なりに考え直しているところです。その研究成果を授業に取り込み、皆さんに古い時代の魅力を伝えることができれば、と思っています。
富山 典彦(Norihiko Tomiyama) ハプスブルク帝国の歴史と文化
「文学は面白い」というのがぼくのモットーです。では、どのような点で面白いのか、それが問題です。ある作品を読んで面白いと感じたら、なぜ面白いと感じたのか、そのことについて考えてみましょう。
あるいは逆に、つまらないと感じたとしたら、なぜつまらないのか、そのことについて考えてみることにしましょう。文学作品は、「筋」だけでできているのではありません。さまざまなことが作品を構成する要素となっています。
例えば、歴史小説や歴史劇は、ある時代の歴史がテーマとなっていて、歴史書を読むよりはるかに生き生きとその時代の歴史を知ることができます。
食文化についても、ファッションや風俗習慣についても、文学作品には描き込まれています。どんな作品と出会い、どんな読み方をするか、それは、読む人にかなりの部分がゆだねられています。
具体的にある作品をいっしょに読んで、「読む」という行為の意味を探っていきたいと思います。
林田 伸一(Shinichi Hayashida) フランス絶対王政期の国家と社会
フランス史を担当しています。大学1年生の秋にトクヴィルという19世紀の思想家にして政治家でもあり、近代のフランスに鋭い分析を加えた人物の存在を知りました。トクヴィルの主著のひとつに『アンシアン・レジームと革命』というものがあり、それを読む過程で、私もアンシアン・レジームの勉強に少々深入りをして、今に至っています。学生さんたちには、本をたくさん読んでもらうことを希望します。それが学生の仕事ですから。大学の勉強はけっしてみなさんが卒業後そこに入っていく社会での勉強と無関係ではないと思っています。また、高校生の人たちにも、大学に入ったら本をたくさん読むようつとめて欲しいと思います。
村瀬 鋼(Ko Murase) フランス哲学、自我論、他者論、身体論、時間論
いまここで生きているということ。当り前のことですが、この当り前のことのなかに、どんな科学でも解き明かせない不思議があります。
哲学は驚きから始まるとは、古代の哲学者の有名な言葉ですが、当り前のことのなかにあるこの不思議をあらためて驚きをもって発見し、それがもっているさまざまな広がりや奥行きについて考えてみること、それが哲学だと言うこともできるでしょう。ヨーロッパの思想のなかには、そんな哲学の良いモデルがあります。ちょっと見には地味にみえても、じっくりつきあって考えていくと、まわりの風景がこれまでとは一変してしまう、そんな思想も少なくありません。いまここで生きているわけですから、いまここで生きていることについて、正当に理解し、実感したいと思う、そんな素朴な気持ちを恒常的な初心として、特にはフランスの哲学者たちの思想を素材にして授業をし、研究をしています。