


| 大森ゼミ | 市場経済の発展と自然・人間・社会の変容 |
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| 担当教員名:大森 弘喜 教授 担当科目:西洋経済史、外国史概説(平成23年度研修) | |
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| 戦後60年、日本は豊かになり飢えや貧しさからは解放された観がある。だがそれは二つのことを考えさせる。一は、我が国の物質的豊かさはこの半世紀に達成されたものにすぎないこと、二は、今でも発展途上国を中心に飢餓と貧困、伝染病などに苦しむ人々は数え切れないほど沢山いるということ、である。
前者について云えば、諸君の両親たちの世代が、農村から都会に出て必死に働いて今日の豊かな日本を築き上げたのだが、物質的な「豊かさ」が精神の「裕さ」を無条件で保障するものではないことが、分かってきた。精神を病む人が増えている。会社や学校に行けない人が沢山いる。児童を虐待する親や、家庭内暴力を振るう夫や男子が増えている。家庭が居心地のよい空間ではなくなり、破壊がすすんでいる。人々は自分の殻に閉じこもり対話を拒むようになっている。学生が教師に挨拶をしない。それ以上に若者は自分を構築できずに、徒に貴重な青春をやり過ごしている。 他方、第三世界を中心に貧困の蔓延は人間性そのものを破壊しつつある。それらの歴史的淵源をたどると多くの場合、欧米列強の新旧植民地体制による収奪と支配の歴史にぶつかる。過去数世紀の「負の遺産」から脱却できないどころか、欧米列強が民族間の対立と激化を助長し、不安定な政治体制は、いくら「北」側の援助があっても民衆の生活改善につながらず、支配階級の懐を潤すだけでしかない。 私のゼミは、こうした現実世界の歴史的淵源を批判的に考察することで、我々が生きている日本と我々自身を相対化したいと考えている。資本主義経済は市場経済という姿をとりながら、基本的には個人の自由に依拠しつつ、現実の世界を自分の思うように変える魔力を持っている。ごく単純化して云うなら、労働力の観点からは「役に立つ人間」と「役に立たない人間」に分類し、購買力の観点からは「カネを持っているかどうか」で富者と貧者を差別化する。諸君は市場経済社会に生きてゆく限り、自分を「役に立つ人間」に変えてゆかざるを得ないが、同時にそうした価値規範そのものを根本的に疑う批判的な教養をも身につける必要があると思う。 経済学部ではゼミは必修なので2年次から4年次まで私と付き合うことになります。4年次には卒論の制作がありますので、ゼミに入ったからには必ず出席し私の専攻分野から何かを貪欲に得てください。黙っていては何も得ることはないのです。テキストを読んで感じたこと、疑問に思うことをメモして私にぶつけてください。また今年は2年、3年の合同ゼミ合宿を上諏訪でやりましたが、そうした機会を通じて互いによく知り、自分を高めることを望みます。大学4年間はおそらく諸君の人生の中でもっとも自由で充実した時間です。貴重な時間を無駄にすることだけは避けたいですね。 | |