陶久 明日香 准教授 「ヨーロッパの思想講義Ⅰ(独) ~ドイツ哲学入門~」

— “穴埋めプリント”と“対話”で理解を深め、身近なことから考えるドイツ哲学入門 —

陶久准教授 「ヨーロッパの思想講義Ⅰ(独) ~ドイツ哲学入門~」

教員基本情報

氏 名:陶久 明日香(すえひさ あすか)

所 属:文芸学部 ヨーロッパ文化学科

職 名:准教授

専門分野:ドイツ哲学

授業概要

対象者:文芸学部1~4年生、経済学部2~4年生

授業形態:講義

実施学期:2017年度前期

履修者数:19 名

※ページ内のpoint!は授業のポイントです
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授業内容と取材当日の授業状況について

 本授業は、文芸学部ヨーロッパ文化学科の専門科目(主に1・2年次生を対象とした選択科目)であり、ドイツ哲学に関心がある学生の導入的講義として位置づけられている。授業では、数名の哲学者たちの思索を、その時代背景を考慮に入れつつ概観することを通じて、ドイツ哲学に関する大まかなイメージを獲得することを目指している。授業の到達目標は、哲学の主要テーマとして挙げられた事象に関する問いを自分自身で引き受け、自分の立場から論じることができるようになることである。

講義の流れ

①前回講義の補足〈20分〉

②映像を見ながら、気になったセリフを書き留める(映画予告編『ハンナ・アーレント』)〈10分〉

③学生との対話および講義〈60分〉 ※穴埋めプリントを使用

陶久准教授 「ヨーロッパの思想講義Ⅰ(独) ~ドイツ哲学入門~」

 取材当日(2017年7月12日)の授業は、以下の流れで進められた。
 取材当日の授業は、まず前回の授業の補足として、ハイデッガーの後期思想における「存在」についての講義から始まった。
 つづいて、今回の授業のメインとなるハンナ・アーレントに関する講義に移る。初めに、アーレントの略歴について先生から説明があった後、アーレントの波乱に満ちた人生を実話に基づいて作られた映画『ハンナ・アーレント』の予告編の映像を視聴する。先生から、気になったセリフや場面があったら書き留めておくよう指示が出されると、学生は真剣に映像に見入りながら、ノートを取っていた。
 映像を見終え、先生から「映像を見て何かひっかかったことはないか?」との問いかけがなされると、学生からは、「裁判でアイヒマンが言った『命令に従っただけです。殺害するかは命令次第でした。』というセリフが印象的だった。」などの返答があった。
 その後、先生から、アイヒマン裁判の詳細、アーレントの悪の陳腐さについての報告、「集団責任」の問題などについての講義が行われた。受講学生は、熱心に耳を傾けながら、スクリーンに映し出されたパワーポイントスライドの記述の中から、赤字で表記されたキーワードを捉え、穴埋めプリントに書き写していた。大事なポイントでは、先生から学生に問いが投げかけられ、学生たちは自分の言葉で考えを述べていた。



教員インタビュー(Q&A)

Q. 授業のポイントを教えてください。

A. 履修者の大半が1年生のため、プリントは敢えて穴あきにしています。何も配布しないと内容が哲学だけに1年生には理解するのが難しく、とはいえ全ての情報を載せると自分で書かなくなるので、中間をとっています。プリントのまとめ方(要点の箇条書き、図式化、記号の使用等)を参考にして、ノートテイクの術を学んでもらうのも狙いの一つです。「こまめに手を動かす」という身体的行為を通じて、やる気が自ずと出てくれればと思っています。
時間がある時はディスカッションをしたり、コメントペーパーを書いてもらいます。一人で考えるのが難しいテーマについては、グループでコメントペーパーを作成してもらうこともあります。提出されたコメントペーパーの中で面白い意見があった場合などは、次の授業で紹介します。

  • 穴埋めプリント
    穴埋めプリント

  • 学生からのコメントペーパー
    学生からのコメントペーパー

Q. 授業で工夫されていることはありますか?

A. 学生には、素朴な違和感を大事にして、その理由を探してみてほしいと思っています。そのため、授業では、テレビコマーシャルを題材としたり、絵画を扱ったりもします。

学生インタビュー(Q&A)

Q. この授業のよいところは?

A. 哲学は難しい言葉や考え方が使われるので、板書をノートに書き写すのは大変です。この授業は、パワーポイントで赤字になったところを、穴埋めプリントに書き込んでいくので、何が重要なのか一目で分かりますし、復習する際に整理がしやすく、理解を深めたり、より多くのことを学んでみようという意欲が湧きます。


A. 難しい思想や哲学者の考え方を使って、お題として出された問題について、自分たちなりに例を作ってみなさいという課題が出されることもあります。時には、グループワークとして課題に取り組むこともあり、一人でやるより、皆で話しあった方が、考えが広まり、理解も深まります。


Q. 記憶に残った回はありますか?

A. 今日のアーレントです。アイヒマンが、組織人だからこそ犯してしまったような罪は、程度の差はあれ、今の時代や自分に通じるところがあると思いました。空気を読んだりしているうちに、同じようなことが起きているのではないかと感じました。


A. ショーペンハウアーの回です。ショーペンハウアーは、人間の人生を暗いものに捉えているのですが、ゲーテも似たような考えを持っています。ドイツの人たちは、努力して必死に思考をめぐらしても、結局迷うだけで、その先には苦痛しかないのかなと、感慨深く感じました。

Q. 履修前後で何か変化はありましたか?

A. 哲学がテーマにしているものはすごく抽象的で訳がわからないものだと思っていましたが、身の回りのことや当たり前で普段意識しないことを論理的に考えることだと分かり、哲学に対するイメージが変わりました。

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